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サバイバルゲームする女子高生たちを描いたアニメ『ステラ女学院高等科C3部(しーきゅーぶ)』のオンエアがいよいよ始まります。

サバイバルゲーム、通称サバゲーといえば、マニアックで、クラくて、アブナいもの、と見られている時期も長いことありました。しかし、それはもう過去の話。いまやサバゲーは女子も楽しめる、もちろん男子ならばココロ踊る「スポーツでありホビー」なんです。
  

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ゲーム開始前の風景


サバゲーが日本発祥で、いまや世界中で楽しまれ受け入れられていることが、なぜか本家本元の日本ではあまり知られていません。ためしにYouTubeで「airsoft」と検索してみましょう。280万件を超える動画がUPされていることに、そしてどれもが本格的であることに驚くと思います。例えばこちら。



海外ではサバゲーは「Airsoft」、「Airsoft War」と呼ばれています。由来は、日本で生まれたエアソフトガンです。銃の所持が厳しく規制されている我が国で、60年代にモデルガンという文化が生まれました。リアルな外観とフィーリング、言い換えればロマンが詰まったモデルガンは少年マンガ誌の裏表紙を飾り、映画やハードボイルド小説のヒーローに憧れる男の子たちの心をとらえました。

そして、子供のオモチャだった「弾の出るトイガン」は、80年代頃にモデルガン並みのリアルな外観と大人をも唸らせる性能を与えられます。エアソフトガンの誕生です。そして、それを使用した「コンバットゲーム」、「バトルゲーム」......今で言う「サバゲー」が生まれたのです。

草創期のサバゲーは確かに危険でした。重いBB弾を強力な空気圧で遠くまで飛ばす際限ないパワー競争。河川敷や夜の公園などでゲリラ的にゲームを行うチームもありました。専用のフィールドも数えるほどしかなかったのです。

ところが90年代に入り、次々と革新が起こります。電動ガンが出現し、それまで銃の外にあったパワーソース(圧縮空気のタンクなど)を一気に過去のものとなり、安全性命中性能信頼性が一気に高まります。それいに大して、コストは劇的に下がりました。そして、BB弾にバックスピンをかけて遠くまで直線的に飛ばすホップアップシステムは、危険なパワー競争からプレイヤーを解放してくれたのです。ガスブローバックは、あたかもホンモノのような迫力のアクション撃ち応えをもたらしました。

残念ながら、それでもパワーにこだわる人は残り、いくつかのイタズラや事件を経た2006年、改正銃刀法が施行されます。エアソフトガンのパワーは法律で制限されることになりました。多くの心あるプレイヤーにとって、それは大きなメリットでした。目を保護するゴーグルを着用し、ルールとマナーを守れば、サバゲーは誰でも楽しめる安全なスポーツになったのです。

今や専用のフィールドは日本中に数えきれないほどあります。トイレや着替え室、テーブルや観戦席など、設備も充実し、どのフィールドも毎週末の定例会は大盛況。仲間や対戦チームを探さなくても、ぶらりとフィールドに行くだけでサバゲーが始められるようになったのです。

歴史の勉強はここまで。では何故、今、サバゲーが盛り上がっているのでしょうか?


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ゲーム中の一コマ


サバゲーは「スポーツ」と「ホビー」さらに「ファッション」の要素を併せ持った、他に類の無い遊びです。統一ルールや競技団体は無く、フラッグ戦と言われる陣取り合戦を基本に、日々新しい遊び方が生まれています。勝つためにはサッカーのように作戦や高度な連携プレー、臨機応変な判断力が必須です。

しかし体力や年齢、性別による個人差はほとんど影響しません。ひとりひとりが個性に応じた役割を演じればよく、それは気分や体調次第で変えても良いのです。

例えば、思いっきり走りたい人は、スタートダッシュで敵と撃ち合う「アタッカー」が良いでしょう。撃たれることを承知で敵を引きつけ、後続の味方にチャンスを作る「ポイントマン」という役割もあります。静かに楽しみたければ、息をひそめて存在を消し、その一瞬をひたすら待つ「スナイパー」になっても良いのです。


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様々な武器や装備


道具となるエアソフトガンは、もはや把握できないほどの種類がリリースされています。ハンドガン、サブマシンガン、アサルトライフル、ショットガン、スナイパーライフル......とプレイヤーの役割によって選択の幅は広がります。コレクションやカスタム、モディファイといったホビーとしての楽しみも見逃せません。


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この絵はサバゲーでないと見られない!?


サバゲーはいわば一種のコスプレ。変身願望も満たしてくれます。ここには時代や国籍、現実とフィクションの壁はありません。着たいものを着て、なりたい自分になることができます。普段着とあまり変わらない人がいるかと思えば、アニメやゲームのコスチュームの人もいます。現代のミリタリートレンドをキッチリ押さえている人がいると思えば、1944年6月のノルマンディー上陸作戦時の装備を出来る限り忠実に再現している人もいます。


オシャレに決めるのもアリ


テーマ性のあるイベントを除けば、ウェアは自由です。たとえば最近の僕は、軍服や迷彩服にこだわらず、個性的で動きやすい服を好んで着ています。この日はほぼ全身ゴルチエ。この格好で街を歩くのはちょっとテレますが、ここでは誰も笑う人はいません。

「戦争」と「サバゲー」は一見似て見えますが、本質は全く逆です。戦争は人の自由や個性を奪い、憎しみを生み続けます。しかし、サバゲーでは個性フェアさが重んじられ、チームメイトや対戦相手をリスペクトする気持ちが生まれます。BB弾が当たったら「ヒット!」とコールしてセーフティ・エリアに戻ります。それはあくまでも自己申告ですから、フェアでなければ競技が成立しません

現実に紛争状態の国々ではサバゲーはできません。本物の銃を持つことができる国ではエアソフトガンの一部ないし全部を、すぐにオモチャと分かる色にしなければなりません。中国ではエアソフトガンはおろか、銃のカタチをしたものを持つことすら禁じられています。そう、サバゲーは自由と平和、そしてモラルが無ければできないものなのです。


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サバイバルゲームを楽しもう


誰もがその場でヒーローになれる。いつの間に仲間が増え、液晶モニターの中では味わえないリアルな体験を共有できる。「カッコ良かったな......今日のオレ」と帰宅後に飲むビールも格別! そんなサバゲーの世界を、ちょっと覗いてみませんか?

次回からはソフト/ハードの両面から、サバゲーの始め方と楽しみ方をお伝えします。


ステラ女学院高等科C3部

(スミソン・レンズマン)

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