「全ての映画にツッコミ所あり」をモットーにあらゆる映画に厳しいツッコミを入れまくるCinemaSinsが、アカデミー賞を7部門も獲得した名作『ゼロ・グラビティ』に噛み付いたとio9が伝えています。

しかも、今回は伝説的なアメリカの天文物理学者であるニール・デグラッセ・タイソン氏に協力を仰いだという気合いの入れようなんです!


【大きな画像や動画はこちら】

では、以下からCinemaSinsと専門家がツッコミを入れまくる『ゼロ・グラビティ』のおかしな部分動画をご覧下さい。



---------------------------------------

■この映画を見る前に宇宙の基本を勉強

ニール・デグラッセ・タイソン(以降:ニール):45年も前に『2001年 宇宙の旅』であれだけ感動して、何故、今になってこうも無重力を題材にした映画に驚くのでしょう?

■ジョージ・クルーニーの絶え間ないおしゃべりを聞いていたら、どんな女性でも出すだろうと思わずにはいられない

■データなのかデイタなのか? 

■「望遠鏡に博士のシステムをインストールするのが、このミッションの目的」わざとらしいくらいに説明的なセリフだ

ニール:医療技師役を務めるサンドラ・ブロックが、何故、ハッブル宇宙望遠鏡の修理を行っているのか?

■ライアン博士の開発したシステムは、この時点ではプロトタイプ。コワルスキーは「NASAはプロトタイプにはお金を出さない」と言っているが、冒頭で「背負っているジェットパックはプロトタイプ」だと繰り返し話していた。そのジェットパックだってNASAが金をだしたものではないのか?

■無音だと言うが、コワルスキーは元妻の話を延々と話しているし、カントリーミュージックはかかっているし、絶え間なくヒューストンから状況確認されている。映画開始以降1分程度しか無音状態なんて無いと思うが...

■高速でスペース・デブリが向かっているという一刻を争う時、しかも退去命令まででているにも関わらず、どうして作業をやめない?

ニール:『ゼロ・グラビティ』はスペースシャトルがスペース・デブリに衝突されるというシナリオですが、それは実際に起こりうるのです

■スペース・デブリの衝突が原因で殆どのシステムが破壊されたと聞いたコワルスキーは、北アメリカの半分はFacebookが繋がらなくなっただろうと呟いているが、それは大した問題ではない

■吹っ飛ばされるのはそんなに珍しいことではない。最善の策は、ソーダとポップコーンをおかわりして落ち着く事だ

ニール:衛星通信は230マイル上空で途切れますが、通信衛星は100倍の高さで周りを回ります

■宇宙は非情だ

■この顔に穴が開いた男には家族が居たということを知ってほしいらしい

■マービン・ザ・マーシャンとルービックキューブのお陰で、宇宙飛行士がオタクだという認識を植え付けている

■宇宙では死体は静かに浮いている。驚かせたい場面以外では...

■ストーン博士の酸素の残量が8%だった時には、ゆっくりと呼吸し喋るのを止めろと言っていたにも関わらず、2%にまで下がった時に会話を持ちかけるなんて、どうにかしてる!

■「娘がいた」、過去形で言わなくてはならないなんて、なんて可哀想なんだ。

■鬼ごっこをしていて頭を打って死ぬなんて、どんな場所で鬼ごっこをしていたんだ? 風呂場か、ツルツルに凍った駐車場か、バナナの皮だらけのホッケー場か?

■『ゼロ・グラビティ』は、『Zero Gravity』に改名すべきだ。(タイソン氏が、邦題にすることを勧めてる!!)

■ストーン博士のタンクの残量は、コワルスキーの後ろを数秒漂っているだけで2%から1%に減少している。それからほんの数秒で、ほぼ空になって「ワインを飲むようにちびちび酸素をすえ」と指示されているにも関わらず、その後のISS着地で残量なんて気にすることなく、荒々しく呼吸したり軽く叫んだりしている。酸素は大丈夫だったのか?

■これは『ミッション・トゥ・マーズ』だったのか?

ニール:クルーニーがブロックのテザーを離すと、漂流していきます。しかし、無重力ではぐいっと1回引っ張るだけで引き寄せることが出来ます

■ジョージ・クルーニーは『エグゼクティブ・デシジョン』のスティーブン・セガールだったようだ

■あれだけ酸素を無駄に使って、今更酸素残量問題を蒸し返す? もう随分前に無くなっているのでは?

@ニール 宇宙飛行士であるクルーニーが、医者のブロックに酸素欠乏の説明? 

■350マイル上空のハッブルと、230マイル上空の国際宇宙ステーション、そして天空が並んで見えるのか?

■酸素が足りないと散々言っているのに、彼女の士気を高める為だからって時間を無駄にするな

■ライアンの父親は猛烈に男の子を欲していたらしい。でも、お腹にいるのが女の子だと分かっても尚、男の名前をつけるなんて酷過ぎる

■「目が奇麗」はこの映画の決まり文句

■しかし、このロマンチックなセリフをゼーハーゼーハーしながら言う為に、生きるか死ぬかに関わる貴重な空気を消費していいのか? 

■いいからクルーニーもISSの中に入ってくれよ!

■ついさっきまで、観客はストーン博士の手が如何に滑り易いかというのを見せつけられていたにも関わらず、このドアを開けた時の衝撃には、吹っ飛ばされることなく耐えられている

■ドアを閉める時、大きな音がしていなかったか? 宇宙は無音のはずでは?

■20秒間の喘ぎ

ニール:無重力状態にも関わらず、サンドラ・ブロックの髪の毛が四方八方に乱れていないのはおかしい

■子宮内の胎児をイメージしている描写かもしれないが、なんだかぎこちない

■宇宙服の下は裸足なのか?

■消化器が飛んでくるのはラッキーとしか言いようが無い(そして、後のシーンに繋がる重要なアイテムだ)

@ニール ほぼ全ての衛星が太陽の周りを西から東に回っているにも関わらず、残骸は東から西に飛んでいる

■この映画を3Dで見ていたら、この爆発シーンの迫力を心行くまで楽しめただろう。個人的(CinemaSins的)には3Dに価値を見出せないけど!

■『ゼロ・グラビティ』は有料ケーブルテレビのHBOで延々と放送される事になるだろう

■これだけ多くのスペース・デブリが飛んでいるのに、何故エスケープポッドにぶつからないのか。そう言えば、他の映画でも悪役が撃った弾は主人公には当たらない。そういう法則なんだろう

■「宇宙なんて大嫌い」。とても共感できるセリフだ。こんなドラマティックなスペース・デブリの嵐に巻き込まれちゃ、大嫌いにもなる

■医療技師が、たった1回の挑戦で完璧に13度ずれている軌道を修正することが出来るなんて! なんて御都合主義...ゲフンゲフン

■ゲージを叩くと、実際の燃料レベルが表示されるなんて...。こんな古いギャグみたいな演出、久しぶりに見たぞ

■宇宙で癇癪

■宇宙では叫び声すら届かない。だが、エスケープポッドを外から見たら、ストーン博士がヒューストンに向かって叫んでいるらしき姿は見える

■宇宙は恐ろしい、しかし間違いなく美しい(使い古された表現だが...)

ニール:どうして人々は本物の宇宙で活躍する人達よりも、本物の宇宙に見えるサイエンス・フィクション映画の方を楽しむのでしょう?

■これでもかというほどストーン博士が悲劇に見舞われるが、娘まで死んでいるという設定で或る必要はあったのか? そんな堪え難い苦しみまで与えなくてはいけないのか?

■機会仕掛けのクルーニー登場

■大物俳優のクルーニーをあっけなく殺してしまうわけにはいかない

■「目を閉じればひとりきり、君を傷つける者も居ない」とクルーニーは言うが、90分毎にデブリがもの凄い勢いでやってくるのだが...

■クルーニーの影響力の大きさと言ったら!

■映画が盛り上がっている所でツッコミを入れるのは申し訳ないが、靴をベッドの下に隠すだって? 随分変な所に隠すもんだ

■『ゼロ・グラビティ』に『ウォーリー』が?

ニール:『ゼロ・グラビティ』は『アンギュラー・モメンタム(角運動量)』というタイトルにするべきだったのでは? 

■スペース・デブリは、まだ元々の軌道にのっているはずなのに、何故か地球の大気に突入する中国の宇宙ステーション周辺を猛烈な速さで飛んでいる。

■宇宙ステーションに入る難しさを描写することで緊張感を出そうとしているようだが、同じような場面を既に見ている我々としては、もう少し別の形で盛り上げてほしい所だ

■ドアを開けた時の衝撃に再び耐え抜いただって? キングコング並みの握力だ。でも、その力はドアを開ける時にしか発揮されないらしい

■卓球? 宇宙で卓球をすることに意味があるのか? それとも、中国だから卓球という安易な考えか?

■中国語のチの字も知らない女性が、「神様の言う通り」で当てずっぽうに押したボタンが奇跡的に「脱出ボタン」だったなんて...!

■ボタンを押すと表示された数字が残り55秒。その後、ストーン博士はヒューストンに向けて「このミッションは嫌な予感が〜」と約2分程話し始める。切り離しまでにそんなに時間をかけたいのであれば、最初から「残り時間1分55秒」と表示させるわけにはいかなかったのか

■クライマックスに『アルマゲドン』のシーンが?

■あんな適当な操作だったにも関わらず、脱出ポッド湖に穏やかに着地するなんて、映画史上稀に見るラッキーな地球帰還だ

■ストーン博士は約11回も危機的状況を脱して来ている。もう、ポッドに水が入り込むくらい、彼女にとってはたわいもない事だ


---------------------------------------


以上、68点でした。言いがかり的なツッコミもありましたが、そこはCinemaSinsの持ち味ということで。タイソン氏の矛盾を指摘するコメントが少なかった事は以外でした。それと、「『ゼロ・グラビティ』に改名すべき」という意見には多少なりとも驚きました。邦題の『ゼロ・グラビティ』について、少なからず批判の声があがっていたようですが、専門家からしてみたら、むしろ原題に問題ありと感じるんですね。

なお、以前紹介した『ジュラシック・パーク』の36の矛盾もあわせてどうぞ。


[via io9

中川真知子

関連記事

RSS情報:http://www.kotaku.jp/2014/06/whats-wrong-with-the-movie-gravity.html