• このエントリーをはてなブックマークに追加
有名SF映画で耳にした効果音の知られざる珍制作秘話10選
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

有名SF映画で耳にした効果音の知られざる珍制作秘話10選

2014-06-24 22:30
    女性の叫び声やブタの鳴き声だけでなく、ドッグフードにピスタチオなども!? 

    古い名作SF映画で観られるのは、マット・ペインティングやブルーバック合成、特殊メイクやコマ撮りなどといった特殊効果が全てではありません。


    【大きな画像や動画はこちら】

    現実の世界で聴こえる音の再現や、この世に存在すらしない未来の道具が出す効果音などもまた、古くから音効さんが創意工夫で作られてきました。

    今ではほとんどがデジタル音源からコピペして、ホホイッと出来てしまう効果音ですが、昔はザルに大量の小豆を入れて波の音を生み出したり、逆さに持ったお椀で馬の歩く音を再現したりしました。

    では、ライトセイバーやフェイザーガン、『プレデター』や『ターミネーター』などは、どんなアナログ方式で音を作ったのでしょうか? 今回は「io9」でまとめられたSF映画作品を10選、ご紹介したいと思います。

     

    ライトセーバー:『スター・ウォーズ』

    R2-D2の電子音やダース・ヴェイダーの呼吸音なども手がけた、サウンド・デザイナーのベン・バートさんが生みの親。宇宙空間で繰り広げられる銀河戦争の音響効果を任され、米英で20以上のアカデミー賞音響賞を受賞されてきた方です。

    私たちは昔から口真似だけでなく、ダンボール製の筒を振り回した時の空気抵抗音でマネしたりもしましたが...本当はテレビと35ミリのプロジェクターを使って、あの音を生み出したのだそうです。


    動画内で語っておられる、ご本人のコメントによりますと...。

    ---------------------------------------
    実を言うとライトセーバーは、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』で一番最初に作った音なんです。(コンセプト・アーティストの)ラルフ・マッカリーのペインティングから閃きましてね。絵を観た時にもう頭の中でこの音が鳴ったんですよ。


    南カリフォルニア大学の映画学科にあった、古いフィルム・プロジェクターの連動装置モーターの音を使ったんですよ。卒業したばかりのその学校では、そこでプロジェクター係をやっていたのでね。内部にはモーターがふたつ内蔵されていて、アイドリング時のとある段階になるとモーター音が戦っているかのように共鳴していたんですよ。

    それがインスピレーションだったんですよね。でもそれだけでは充分ではなく、ジジーっと言って破裂するような音が足らなかったんです。


    そしてある日、何かを録音していた途中、そのマイクロフォンを持って録音室と別の部屋を行き来していた時に、たまたま床の上で電源の点いたテレビのブラウン管の後ろを通り過ぎ、そこでマイクがテレビの共鳴音を拾ってね。意図せず普通じゃないトランスミッション音を拾ったのがきっかけで、50/50の割り合いでミックスしたらライトセーバーのトーンが出来たんですよ。


    さらにその音を室内でスピーカーから流して、手に持ったマイクロフォンを左右に振ったり、近付けたり遠退けたりして録音したのが、ライトセーバーが中空で振り回される時の音なんですよ。


    ---------------------------------------

    なるほど! アナログ機材の多重録音と、ベンさんが映像に合わせてマイクを振ったおかげで、あの音が出来たんですね。ほかにもダース・ベイダーの呼吸音の裏話や、『スター・ウォーズ』のサウンド・デザイナーとしてのインタビューが、別のサイトで掲載されていますので、気になる方はそちらもどうぞ。


    緑色の殺人光線:『宇宙戦争』


    「SFの父」と呼ばれる、ハーバート・ジョージ・ウェルズ氏が原作を書かれた『宇宙戦争』。1953年に、初めて映画化された作品に登場する未確認飛行物体が、緑色のレーザー光線を撃ってきます。

    とても電子的な音に聴こえるのですが、これはアンテナ塔などにピーンと張られたワイヤーを、ハンマーで叩いた時の音なんですって。

    この手のレーザー光線は、アメリカン人が「ピゥピゥ」と口で表現するのですが...実はこの映画が全ての始まりで、後の『スター・ウォーズ』などにも、同じテクニックで録音して使うように受け継がれていったんですって。


    フェイザーガン:『スタートレック』


    『スタートレック』オリジナル・シリーズでは、これまた『宇宙戦争』で火星人が撃つヒート・ガンの音に使われた、ユニークなテクニックが使われています。

    『宇宙戦争』のプロデューサー、ジョージ・パルさんが書かれた記事では、ヒートガンの音はサウンド・デザイナーが3本のエレキ・ギターを、逆から弾いてハープの音を加えて出来たのだとおっしゃっています。

    『スター・ウォーズ』だけでなく、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』にも関わった、ベン・バートさんがおっしゃるには、当時オリジナル・シリーズのサウンド・デザイナーが、大の『宇宙戦争』ファンだったため、侵略してきた火星人のヒート・ガンをアレンジしたものをフェイザーガンに採用したのだとか。聴き比べてみると、確かにソックリです。


    火星人の悲鳴:『宇宙戦争』

    またしても『宇宙戦争』ネタが続いてしまいますが、先出のジョージ・パルさんいわく...。

    ---------------------------------------
    スタッフは長いことどうやってその音を作ろうか考えていたのですが、ドライアイスを引っ掻く音をコンタクト・マイクロフォンで録音して、甲高い女性の叫び声を逆回転にしたものと掛け合わせたっていう、普通じゃないやり方を思いついたんですよ。


    私が撮った映画で一番キテレツなやり方で録られたサウンドですね。


    ---------------------------------------

    ふむ、こうして字面を読んだだけで、鳥肌が立ちそうな音ですね。


    プレデターの心音:『プレデター』


    赤外線サーマル・ヴィジョンで人間の熱を感知する時に、その緊張感を高めるべく鳴り響く、プレデターの不思議な鼓動

    サウンド・デザイナーのデイヴィッド・ストーンさんは、この異形のエイリアンがどんな心臓を持っているのかと、心音を作るのに長い時間を掛けたのだそうです。

    ---------------------------------------
    大きく口を開けた古い花瓶に、水とスポンジを入れて、そのスポンジを絞って音を出したんです。人間のようだけど何かが違うリズムだと、どんなものになるのかと話し合った末、プレデターには人間よりも多く心室が備わっているんじゃないかってことになったのです。
    ---------------------------------------

    なるほど、異星人の心臓の構造まで想像して、あのリズムが出来たのですね。元になった音源はさらに編集されて、いろいろと味付けされて完成したんですって。


    転がってくる巨大な石の珠:『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』


    ウソみたいなホントの話...あの音は、サウンド・エディターが道路で運転するホンダ・シビックの音を拾っただけなんですって。マジですか? 


    鉄格子をすり抜けるT-1000:『ターミネーター 2』


    上の動画でご覧いただいたように、先にちょっと液体っぽい音がして、次に何かが通り抜ける感じの音が重なって聴こえてきますよね。

    アカデミー賞を受賞したサウンド・デザイナー、ゲイリー・ライドストロムさんいわく、これはウェット・タイプのドッグフードが、缶の中からゆっくり出てくる時の音なんですって。言われてみると意外なような、でも納得するような? そんな音です。


    踏み潰される頭蓋骨:『ターミネーター 2』


    映画開始早々に映し出される、核戦争後の荒廃し切った2029年のロサンジェルス。ここでT-800が踏み潰す頭蓋骨のシーンは、けっこう印象的ですよね。

    ここの音は、お酒のおつまみとして良く食べるピスタチオを、鉄板で潰している音なんですって。

    他にもショッピング・モールでシュワちゃんがブっ放すショットガンや、凍りついたT-100が崩れ落ちる時の音の秘密がこちらのインタビューで明かされていますので、こっちもチェックしてみてください。

     


    ジェット・モーターサイクル:『THX 1138』


    25世紀の世界が描かれている、ジョージ・ルーカス監督のデビュー作『THX 1138』では、車もバイクもジェット・エンジンが搭載されている、という設定になっています。

    しかしながら、その両方が同じシーンに登場すると区別がつかなくなってしまう...と言うことで、バイクのエンジン音を違うものにしようとなったのだです。

    車の方はF1のような爆音で良いとして、バイクは何か叫び声のような感じが良いんじゃないか? という製作総指揮を担当されたフランシス・コッポラ監督の思い付きにより誕生したこの音。

    サウンド・デザイナーのウォルター・マーチさんは、スタッフの女性4名を浴室に集め、「とにかく出来るだけ全力で金切り声を上げて叫んでくれ」とお願いして2~3テイクを録り、テープレコーダーのツマミを、音が割れるほど回したのがバイクのジェット・エンジン音となったのです。

    考え無しに聴いた感じでは、メカニカルなようでもあり、電子オルガンのようでもあるこの音。その正体が生身の女性の叫び声だったとは、想像もつきませんね。


    マーシュメン:『ドクター・フー』


    1980年から81年まで制作されたシーズン18の、エピソード4『Full Circle』で、沼の中から湧き出てくる半魚人マーシュメン。彼らの発する声は、サウンド・デザイナーのディック・ミルズさんが養豚場へ出向き、ブタの鳴き声を録音してスロー再生したものが使われているのだそうです。(トレイラー動画では確認できませんが)。

    ちなみに、電子音楽研究所として知られるBBCレディオフォニック・ワークショップには、特殊な音響効果で作られた音源がたっぷり揃っているそうで、『ドクター・フー』のタイムマシーン「ターディス」には、サウンド・デザイナーのブライアン・ホッジソンさんが壊れたピアノに張られているピアノ線の上を、家の鍵でこすった音が使われていたりするそうです。

    さすがに800話近いエピソードが作られた世界最長寿SFドラマですので、作られた音響効果も数えきれないくらいになっているのでしょうね。

     


     

    ということで以上、「有名SF映画の効果音の知られざる珍制作秘話10選」はいかがでしたでしょうか? 音効さんは色んな苦労をして、それぞれのシーンに最適な音を創り出しているんですね。

    こうした記事でまとめられなければ、ぜーんぜん気にすることもなかったかもしれない効果音...これからは、映画やドラマを観る時には耳も使ってちゃんと聴いてみると、また違った楽しみ方ができるのではないかと思います。


    10 Weirdest Origins Of Classic Science Fiction Sound Effects[io9]

    岡本玄介

    関連記事

    RSSブログ情報:http://www.kotaku.jp/2014/06/classic-science-fiction-sound-effects.html
    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。