アカトンボが赤い理由。それは色素が還元型タイプになっているから、という今までに知られていなかったメカニズムが明らかになりました。
アカトンボがどうして赤くなるのかを解明:産総研
これまでは、体色は体表に蓄積する色素の「種類」によって変わるものと思われていました。ヒトでもメラニンが蓄積していくことで、より黒い肌になっていきます。
ところがアカトンボのオスでは元々オモクローム系色素をもっており、これが還元型、つまり水素が多めにくっついた状態になることで、体色が黄色から赤色に変化することが分かりました。
アカトンボのオスは自分の縄張りをパトロールし続けるため、紫外線のダメージをこの還元型オモクローム系色素の抗酸化作用で緩和しているのではないか、とのこと。UVカット色素ですね。まぁ、ありそうな話ではありますが。
ところで論文の方を読んでみると科学論文らしからず、アカトンボをモチーフにした日本の伝統工芸品などをもちだして「アカトンボは日本人の詩情を誘う存在である」みたいなことが書いてあり、ああ、著者はこれが書きたかったんだな、してやったぜ!って満足感を味わってるんだろうな、というのが伝わってきて羨ましいです。
★むしコラム「森山和道インタビュー(第6回)」
森山さんと初めてお会いしたのは、2006年12月に東京大学で開催された「第1回クマムシ研究会」でした。僕が発表を終えた後に、名刺をいただいたのを覚えています。
その時はそれっきりで終わったのですが、後に慶応大のクマムシ研究者、鈴木忠さんと共著でクマムシ本を出すなど、クマムシ周りでは有名なサイエンスライターさんでした。
「クマムシを飼うには」鈴木忠/森山和道 著
僕がブログやtwitterを始めてからもたまに絡んだり、こちらのブログ記事を紹介してくださったりと、ネット上でゆるい交流をしていましたが、今年の3月に久々にお会いして今回の対談となりました。
森山さんはサイエンスメールというメルマガに、研究者へのインタビューをコンテンツとして載せているのですが、今回は研究者である僕からインタビューを受けるというユニークな形になっています。
サイエンスメール
それでは、どうぞお楽しみください。
☆プロフィール☆
森山和道(もりやま・かずみち)
http://moriyama.com/
フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。
1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。
メールマガジン「サイエンス・メール」、
http://www.mag2.com/m/P0003148.html
「ポピュラー・サイエンス・ノード」編集発行人。
http://www.mag2.com/m/0000014382.html
共著書に『クマムシを飼うには 博物学から始めるクマムシ研究』(鈴木忠、森山和道 /地人書館)。
第6回「科学雑誌が売れない理由」
森→森山
堀→堀川
堀: ところで、今は科学離れとか言われていますが、ああいう科学雑誌が売れなくなっているというのはどういう理由だと思われますか?
森: 日本で売れない理由ですか?いや、僕、逆に堀川さんに話を聞きたいんですけど、そのへんアメリカやフランスではどんな感じですか? 相当売れてるんですか?
堀: 相当売れているんじゃないですかね。アメリカはやっぱり凄いですね。科学雑誌がスーパーとか空港の売店で必ず売られていますから。日本ではまず見ない光景ですよ。それくらい科学が市民に浸透しています。
フランスでも、駅のキオスクとか、スーパーに科学雑誌が並んでます。これが日本だと、ある程度の大きさの書店でないと科学雑誌は見ないですからね。日本に比べると人々の科学に対する関心は高いんじゃないでしょうか。
森: まあ、前に日経サイエンス、あれはアメリカのサイエンティフィック・アメリカンの翻訳版ですけど、この雑誌の編集者からも聞いた話なんですけが、アメリカの方の編集者から「なぜ日本ではもっと売れないんだ。日本は科学技術大国だろう。」と言われたらしいんです。でも現に、キオスクで日経サイエンス見ないですもんね。
堀: ニュートンもないですよね。
森: ニュートンもせいぜいコンビににあるくらいですよね。
堀: コンビニでもニュートン見ない方が多いですよね。でも、科学に関心がある人は日本でも一定の割合でいますよね。ネットやってても、僕なんかのブログにも結構人が来たりしますし。
森: そこは、出版業界でも前から言われているらしくて、マジックワード3万。マックス3万。
堀: マックス3万?