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・サービスのハイパーインフレが日本を滅ぼす
早いもので、海外生活も通算で3年を超えました。アメリカで2年、フランスで1年ちょっと。
海外で過ごしていると嫌でも日本と違う、というか日本よりも劣る部分に目が行きがちになってしまうのですが、その最たるものがサービスです。
海外に行ったことのある方はご存知だと思いますが、日本に比べるとほぼ全ての国でサービスが遅い。レストランのウェイターやウェイトレスの対応が分かりやすい例です。
注文を早く取りにこなかったり、会計を間違えたりなんてこともしょっちゅうです。で、間違えても謝らない。けっこういい加減です。
日本での「お客様は神様」というサービスの風潮に慣れた日本人は、このような対応をされると本当にイライラしてしまいます。日本であれば、マクドナルドのようなファストフード店であってもファミリーマートのようなコンビニでも、時給800円程度で働く人たちは礼儀正しく、迅速に作業をしてくれます。
しかしよく思い出してみると、日本でも20年前くらいまでは、横柄な態度を取っていた店主や店員も多かったように思います。日本ではいつの頃からか、熾烈なサービス競争が始まり、今やそのサービスが過剰とも言えるようなハイパーインフレが続いているように見えます。
このようなサービスの向上はお客さんにとっては喜ばしいことであるように思えます。市場原理の働きで、あらゆるサービスが良くなってくれれば良いと私も思っていました。
逆に言うと、なぜフランスではこのような市場原理が働かないのかと不思議にすら思っていました。日本に比べて遅れている国なんじゃないか、と。
しかし、実はそうではない、間違っているのは日本の方なのではないかと気付き始めました。
日本のようにサービスを際限なく向上させようとすると、人材の枯渇と国民の人間性の劣化という大変な問題を引き起こしてしまうということが分かってきたのです。
ちょっと長くなりましたので、この理由は次回のむしマガで書きたいと思います。
★クマムシ研究日誌「このクマムシ何のクマムシ気になるクマムシ」
豊平川の上にかかるM橋から見つかった、赤褐色のヨチヨチボテボテした可愛いクマムシ。オニクマムシと同様、この種類もコケからたくさん出てくるので、今後の研究対象にすることが可能と思われた。
そこでまず、こいつが一体どの種類のクマムシなのかを知る必要があった。さっそく、クマムシに関する文献やインターネットで調べてみた。
全体のずんぐりした形と模様の特徴から、どうやらこれはツメボソヤマクマムシ属の1種らしいことが分かった。しかし、倍率50倍程度の実体顕微鏡では、種までは判別できない。
ツメボソヤマクマムシ属には20種類ほどの種がいる。「属」とは、「種」のひとつ上のレベルのカテゴリーである。「都道府県」と「市町村」の関係と似ている。例えば「北海道」が「属」、「札幌市」が「種」のような対応関係にある。
そこで、当時北海道大学大学院理学系研究科で博士研究員として在籍していたクマムシ分類の専門家、阿部渉さんのもとを訪ねた。
そう、むしマガ Vol.15のクマムシトリビアで登場した、「標本は押し潰すな!」がモットーの、あの阿部さんである。
阿部さんが北海道大学にいることは宇津木先生から聞いていたので、北海道大学に入学してすぐに僕は阿部さんに挨拶に行った。当時、日本でクマムシの専門家は3~4人ほどしかおらず、阿部さんが同じ大学にいたことは、僕にとって非常にラッキーであった。
阿部さんの机の脇の大きな棚には、クマムシ分類に関する文献が著者のアルファベット順に整然と並んでいた。実験台も綺麗に片付いており、無駄が無い。
早いもので、海外生活も通算で3年を超えました。アメリカで2年、フランスで1年ちょっと。
海外で過ごしていると嫌でも日本と違う、というか日本よりも劣る部分に目が行きがちになってしまうのですが、その最たるものがサービスです。
海外に行ったことのある方はご存知だと思いますが、日本に比べるとほぼ全ての国でサービスが遅い。レストランのウェイターやウェイトレスの対応が分かりやすい例です。
注文を早く取りにこなかったり、会計を間違えたりなんてこともしょっちゅうです。で、間違えても謝らない。けっこういい加減です。
日本での「お客様は神様」というサービスの風潮に慣れた日本人は、このような対応をされると本当にイライラしてしまいます。日本であれば、マクドナルドのようなファストフード店であってもファミリーマートのようなコンビニでも、時給800円程度で働く人たちは礼儀正しく、迅速に作業をしてくれます。
しかしよく思い出してみると、日本でも20年前くらいまでは、横柄な態度を取っていた店主や店員も多かったように思います。日本ではいつの頃からか、熾烈なサービス競争が始まり、今やそのサービスが過剰とも言えるようなハイパーインフレが続いているように見えます。
このようなサービスの向上はお客さんにとっては喜ばしいことであるように思えます。市場原理の働きで、あらゆるサービスが良くなってくれれば良いと私も思っていました。
逆に言うと、なぜフランスではこのような市場原理が働かないのかと不思議にすら思っていました。日本に比べて遅れている国なんじゃないか、と。
しかし、実はそうではない、間違っているのは日本の方なのではないかと気付き始めました。
日本のようにサービスを際限なく向上させようとすると、人材の枯渇と国民の人間性の劣化という大変な問題を引き起こしてしまうということが分かってきたのです。
ちょっと長くなりましたので、この理由は次回のむしマガで書きたいと思います。
★クマムシ研究日誌「このクマムシ何のクマムシ気になるクマムシ」
豊平川の上にかかるM橋から見つかった、赤褐色のヨチヨチボテボテした可愛いクマムシ。オニクマムシと同様、この種類もコケからたくさん出てくるので、今後の研究対象にすることが可能と思われた。
そこでまず、こいつが一体どの種類のクマムシなのかを知る必要があった。さっそく、クマムシに関する文献やインターネットで調べてみた。
全体のずんぐりした形と模様の特徴から、どうやらこれはツメボソヤマクマムシ属の1種らしいことが分かった。しかし、倍率50倍程度の実体顕微鏡では、種までは判別できない。
ツメボソヤマクマムシ属には20種類ほどの種がいる。「属」とは、「種」のひとつ上のレベルのカテゴリーである。「都道府県」と「市町村」の関係と似ている。例えば「北海道」が「属」、「札幌市」が「種」のような対応関係にある。
そこで、当時北海道大学大学院理学系研究科で博士研究員として在籍していたクマムシ分類の専門家、阿部渉さんのもとを訪ねた。
そう、むしマガ Vol.15のクマムシトリビアで登場した、「標本は押し潰すな!」がモットーの、あの阿部さんである。
阿部さんが北海道大学にいることは宇津木先生から聞いていたので、北海道大学に入学してすぐに僕は阿部さんに挨拶に行った。当時、日本でクマムシの専門家は3~4人ほどしかおらず、阿部さんが同じ大学にいたことは、僕にとって非常にラッキーであった。
阿部さんの机の脇の大きな棚には、クマムシ分類に関する文献が著者のアルファベット順に整然と並んでいた。実験台も綺麗に片付いており、無駄が無い。
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