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【連載物語】『不思議堂【黒い猫】~阿吽~』 第四話第四章「依代」
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【連載物語】『不思議堂【黒い猫】~阿吽~』 第四話第四章「依代」

2022-05-28 14:49
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    第四話 第四章 依代  

    著:古樹佳夜
    絵:花篠

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    ■『不思議堂【黒い猫】~阿吽~』 連載詳細について

    https://ch.nicovideo.jp/kuroineko/blomaga/ar2060929

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    [本作に関する注意]---------------------------------
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    また、内容を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します。

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    ◆◆◆◆◆神社◆◆◆◆◆

    夕刻、廻り髪結の仕事が終わってから、
    阿文は主人の待つ神社へと向かった。

    長屋生活で集めた怪異にまつわる情報を報告するためだ。
    吽野とは暮れ六に境内の前で待ち合わせている。

    阿文 「少し早く着き過ぎたか」

    今日は大店の娘たちに話しかけられることもなく、
    仕事は早々に終わった。だから、まだ時刻は七つ頃で、
    西の空に日が傾き始めたくらいだった。

    阿文「吽行が来るまで、社の周りを綺麗に掃除しておくか」

    髪結道具を片手に、阿文は境内へ続く石階段を上がっていく。

    黒猫 「にゃあん」

    ふと、小さな鳴き声に呼び止められた。

    阿文 「ああ、なんだ。黒いのか」

    阿文は微笑み、身を屈めると、黒猫の頭を撫でる。
    黒猫は気持ちよさそうに、ゴロゴロと喉を鳴らした。

    阿文 「ふふ。長屋から追いかけてきたのか? 残念ながら、今日は餌は持ってないぞ」
    黒猫 「にゃーん」

    黒猫は小さく鳴き声をあげると、阿文の少し前を歩き始めた。

    阿文 「一緒に主人様のところに行くか?」
    黒猫 「にゃあ」

    黒猫は振り返って、目を細めて返事をした。


    阿文 「さて、箒はどこに置いたかな」


    石段を登りきった阿文は、早速自分たちの主人の待つ社に向かった。

    ところが、社には奇妙な先客がいた。

    何が妙かと言えば、相撲取りのような大きな体に、
    大きさの合わない服を着ている。
    それが、ひどくうす汚れた風体で、
    ぼんやりとした表情で、お参りをするでもなく、
    一人で立っている。
    その大男は、じっと社を眺めていた。

    阿文 (……この異様な気……! まさか)

    阿文の横で、黒猫も毛を逆立てた。
    けれど大男は、威嚇する猫の声に一瞥もしなかった。

    阿文 「もし?」

    阿文は声をかけた。しかし、

    「……」

    男が阿文の言葉に反応を示すことはなかった。
    その場でゆらゆらと揺れながら、口をだらんと開けたままだ。
    日の落ち始めた神社に、男と阿文は二人きりだった。
    大男の影が長く伸びてくる。その様子は一層不気味だ。
    しばらくして、男は社殿をぐるぐると回り始めた。
    何が目的なのか、検討もつかない。
    いよいよ阿文は警戒の色を強め、大声で呼びかけた。
     
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