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「イタリアの冬」
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「イタリアの冬」

2021-12-29 07:00

    1225日 

     サンタがやってきた朝、車が動かなくなった。ギアがニュートラルから動かなくなってしまった。洗車を終えてスタンドから134号線に出ようとしたところだった。娘と一緒に数キロ先の農園にクリスマスケーキ用のイチゴを摘みに向かうところだった。

     やれやれ、とエンジンを停めたり掛けたりすること15分。車がジャンプするように跳ね上がってようやくギアが入った。ゆっくりアクセルを踏み込むと冷えた鉄が擦れ合うような異音が聞こえる。またいつ停まるか分かったもんじゃない。イチゴは諦め、Uターンして自宅を目指す。途中にある精肉店にだけ立ち寄ってクリスマスディナー用の鶏肉を仕入れる。娘はいつもコロッケをくれるおばさんに自分で書いてきた一年間の感謝の手紙を渡していた。おじさんとおばさんの笑顔とコロッケがたくさん書かれた絵だった。

     なんとか家に辿り着くと、娘が「旅だったね」と苦笑いしていた。

     イチゴ農園に謝罪の電話を入れ、ディーラーに連絡する。冬の寒さで同じような故障が殺到していて修理できるのは二月になってしまうとのこと。他を当たることにする。 

     午後、横浜の自宅まで迎えに行くはずだった母が電車とバスを乗り継ぎ訪ねてきてくれた。イチゴも買って来てくれた。母と娘はクリスマスケーキ作り。妻はチキンバスケット作り。僕はみんなの姿を写真におさめながら修理工場探し。年末なので対応は年明けになるという中、少しでも早く修理できるところを探す。が、どこも同じような故障が殺到しているという。

     
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