「わかめとしらす」
海に続く小径を降りていくと、潮の匂いがした。都心で今年最初の夏日を記録した日曜のことだ。久し振りの匂いにわくわくしながら浜に出る。 25℃ こそ越えていなかったが、砂浜は太陽を待ち望んでいた多くの人で賑わっていた。波打ち際で打ち上げられた海藻が干上がっていた。匂いを放っているものの正体だ。
数年前までは春が訪れるたびにこんな風にわかめが打ち上げられていた。ビーチクリーンのついでに持ち帰って食べていた。ここ数年は環境の激変による生育不良で、例年 2 月だったわかめの旬は 3 月にずれ込み、かつ収量も少ない為こんな風に打ち上げられたわかめを見る機会もほとんどなかった。
打ち上げらて潮の匂いを放っているわかめも例年より少なく、サイズもひとまわりくらい小さかった。
藻場の減少によりそこで育つ稚魚や稚貝も減っている。 3 月11日に漁が解禁されたしらすも先週の時点ではまだ水揚げがないと地元の網元さんが嘆いていた。
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