▼第344号(2021.2.22)
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虚構新聞社発行
虚構新聞友の会会報
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目次
1.ごあいさつ
2.流言蜚語~『椿井文書』を読んだ(前編)~
3.次回予告
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1.ごあいさつ
友の会のみなさん、こんにちは。虚構新聞のUKです。猫の日いかがお過ごしですか。今月2通目の会報をお届けします。
さて、今回のコラム「流言蜚語」は、先日読んだ新書『椿井文書』(馬部隆弘/中公新書)を前後編2回に分けて紹介します。昨年春の発売以来話題になっていた一冊で、今月発表の「新書大賞2021」でも3位に入賞しました(ちなみに337号で紹介したアンデシュ・ハンセン『スマホ脳』も5位に入っています)。
▼新書大賞2021
→https://chuokoron.jp/shinsho_award/
江戸後期、数百点にのぼる偽物の家系図や絵図など偽文書を残した椿井正隆と、その「椿井文書」と呼ばれる一連の偽文書(ぎもんじょ)について紹介した本で、この椿井文書が専門家の目をかいくぐって現代でも正しい歴史として、各地で受け入れられてしまっている事実を明らかにしています。いわば「歴史のフェクトチェック」を目指した本でもあります。
しかし、問題はそう簡単ではありません。後で詳しく見るように、研究を通じて著者が事実を明らかにしても、事実を知らされた人たちはそれをありがたがるどころか、むしろ不快感を覚え、椿井文書のフェイクを喜んで受け入れているようでもあるのです。
以前から書店で目にしていて、おもしろそうだなと思ってはいたのですが、先日この『椿井文書』を取り上げたヤフーニュースの特集記事(下記リンク)の感想の中に「虚構新聞も将来こんなことになるのかな」というコメントを見かけたのです。
▼嘘でつくられた歴史で町おこし 200年前のフェイク「椿井文書」に困惑する人たち
→https://news.yahoo.co.jp/articles/295047cdba2e492f0e0fd6967a659352d9a28d99
そんなことを言われるといよいよ他人事でなくなったので、今回読んでみましたが、200年も前の出来事にもかかわらず、本紙の理念や手法にも共通する点が多くあり、非常に興味深く感じました。
また、後半には社主の出演情報がありますので、こちらもよろしければご覧ください。
UK@虚構新聞社