3/7(水)11:00よりニコニコ生放送およびFRESH!の
「麻雀スリアロチャンネル」
にて放送された、The All Star League2018 第7節の様子をお届けします。



レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
8c2b741ec82b41821f6d406a217d5ce8148f8119

【1回戦:朝倉の鋭い待ち取りと、トップ争いまさかの結末】

7a8b6d67b4591df07be1343b4c508d3642275c7f
最下位で通過した『オタ!オタ!オコ!』だが、残り2節で±0付近まで挽回すれば最終節まで残れる可能性があるため、まだ無理をする局面ではない。
そんな場面で投入された朝倉は、一言で表すと堅実。特に、リーチのみ愚形のようなハイリスクローリターンの選択が少ないイメージだ。

その朝倉が3着目の南1局西家で、この手牌。
ce46880e2243037fd1fb2445fbed657adf430efa

オヤの基成に3sポンが入っているため、いったん1枚切れの2sを切っていくのが手なりに見えるが、朝倉の選択は打4s。
すると、次巡には続けて6sを打ち、4巡目に赤5m切りリーチといった。
ff92072247da6af65ddcd379cc1650405f778259

これは、4s→6sの順に並べると、2sへのケアが薄れることを狙ったもの。
3s4s4s6sとあるところから3s4sを固定する場合、6s→4sの切り順になるからだ。
打4sの段階からこの最終形を見ていたわけである。
これに困ったのはオヤの基成。
145daef4f0b626f85ebccea1c4ffc416c65ab4cb

遠いトイトイ仕掛けだったが、こんなに早いリーチは想定外。
1sのトイツ落としで2巡凌ぐのもいいが、いかんせん巡目が浅いため、オリ切るのも難しい可能性が高い。
それならばと、4s→6sの切り順が見えている基成は、3sがポンされてワンチャンスということもあり、2sをツモ切って自分の形を維持した。
c0d9669c464a248562b596ea02239d9981622939
まさに朝倉の思惑通りに動かされてしまった基成、一発とウラで痛恨の12,000放銃となってしまう。

一方の朝倉はこのアガリでトップ目に立つのだが、大澤にまくられてオーラスを迎える。
bb8ea930630cd1d8b6b5ec90f98ccc84b0cb83c3
テンパイした朝倉。
ダマテンでも中ならアガれるが、1sでのアガリ逃がしも許容できないため、素直にリーチをかけていく。
これで大澤とのアガリ競争に見えたが・・・
a8f52a6bdb8f20525f35787d6201660bab789881
なんと、倍満ツモでトップ、朝倉か大澤からのハネマン直撃で2着に上がる基成がハネマン確定のこのリーチまでたどり着く。
そして・・・

1cf1cd15fb37b67ba4e95a4cb239a5d26dfb68ab
朝倉が一発で掴んだのは基成のアタリ牌8pで、基成のハネマン直撃2着が完成。朝倉、連対は堅いと思ったところから、まさかの3着落ちとなる。
最下位『オタ!オタ!オコ!』にとっては痛すぎる結果となった。

【2回戦:小林も絶賛する岩井の打牌に震撼せよ】

岩井は、麻将連合で男性選手に交じって1年間リーグ戦を戦い、将星を獲得している。
小林剛は言う。
「テンパイ料なしのルールで、男女混合のタイトルを獲った女流選手は岩井が初めてなんじゃないかな。そりゃ、とてつもなく強いよね」
プロ連盟時代からとにかく「強い」という評価しか聞かなかった岩井。その岩井が放送卓を打つとあっては胸が躍る。

岩井は、南場のオヤ番でこんな配牌を受け取った。
22e8ee92555d971b29dfe74e561c21a04fd95e90

トイツと両面ターツが入り混じった難しい形だが、第1打は当たり障りなく北から。
しかし、第2打に私たちは驚嘆する。
d3b1aecd52e6cf97da65d43cd3c1bca539b3d745

發が重なると4sを打ってトイツ手をメインに構えたのだが、驚くべきはこの正解のない悩ましい牌姿で、孤立の字牌を処理するかのような速度で4sを打ち抜いたことである。
はっきり言ってこの速度は異常だ。
ハイライト動画にもなっているのでぜひもう1度観てみてほしい。

すると、打4sの同巡に發をポンした後、6pをツモ切った岩井は4枚目の9mを引く。
09995755cc8c19c34e3b2e0b10fe99e68897b4b4

アンカンすれば、トイトイにせず4p7pを活かしても5800以上が確定するため、アンカンする打ち手が多いのではないだろうか。
もしくは、守備力維持も考えてツモ切りか。
一方、岩井の選択は打6p。
この第3の選択にまたも驚くが、意図を聞くとその第一声が興味深かった。
岩井「6pを続けて切っておきたかったんですよね」
その一言で、意図を察して納得する。
岩井がその意図を解説してくれた。
岩井「ここで6pを続けて打っておけば、2pや6mポンのときに5pへのケアが薄れるし、他家がマンズのホンイツだと思ってくれれば2p5pぐらいはポンできそうだと思ったんですよね」
確かに言うとおりだ。
自分の捨て牌は両面ターツ落としから入った明らかな変則手であるため、ここで6pを続けて打っておく価値は大きい。

しかし、それならばアンカンしてからすぐに6pを打てばよいではないかと思うが、それについても岩井の回答は明快だった。
岩井「他家が門前でまっすぐ進めている様子だったので、アンカンしてドラを増やした上に、自分の手牌も短くして守備力を落としてしまうのはやりすぎだと思いました。アンカンは考えていませんでしたね」
それに、もし6mが先にポンできたとき、9mアンカンの手牌4枚より、手牌7枚でポン出し9mの方が、手牌が透けにくいだろう。
なんという緻密なバランス感覚だろうか。
91bba6a9ac90210619ad7cb5d5da4fadf94cc010

結果、2pポンでトイトイテンパイとなり、トイトイが明白になったからこそケアされるのは字牌や端牌。ケアされにくいド真ん中の6mで冨本から12,000をアガリ切った。
一見すると気持ち悪い手順だが、理由を聞けば納得の手順。
この手順を踏める打ち手が、果たして日本にどれだけいるのだろうか。
このアガリをきっかけに、連荘を開始した岩井。
0b9831a458225d60d0d3c532c6822898220d2bb9
1本場では8mを引いて打5sのダマテンを組むと、大崎から9mで9,600。

6694da36737cf5a8941349d6a8f465e1dd190c95
続いて2本場ではポンテンの5,800で大崎の4mを捉えると、持ち点を6万点に乗せたトップ目となり、そのままトップを快走。

ae93f2a13eb1bc0c00f2743e490e8782c20667c9
岩井の連勝で、『ゼウスが選択』はチームとしても4位に浮上した。

【3回戦:めったに見られない、放送卓でのチャンカン!】

dcb571e5fff7025b05e4063667c820d3444a2725
柚花がオヤでテンパイするも、ドラの2sが前巡にバタバタと切れてしまい、5sも竹内にポンされている。
見えているだけで残り2枚とあって、柚花は堅実にダマテンを選択した。

5c2ae8628f7e4d36d1cba9eb82878e83879c5080
すると、竹内が自身でポンしている5sを持ってきて、カンと発声。
ん?これは・・・
6ea470abef11f04574f1b1b1e406fb70fdae8617
非常に珍しいチャンカンでの5,800でオヤを続けると、その1本場。

f5f15839dbf5dc273e0192f730a0146b9f58760b
竹内のリーチに対し、終盤にドラの6mを押してテンパイを組むと、4sをツモって4,000オール。
すると、足木にまくられてオーラスを迎えるも、マンガンツモで余裕の再逆転。
0ea59910b195b2ff97e4b340c82ed46d01545d55

柚花が『チームMKHY』のプラスを3桁に乗せた。
32246c6e0ecf9d360a23887900d4c7570b529962

【4回戦:多井vs金の無限ループ!多井、差し込みで無限ループを抜け出せるか!?】

後がない最下位『オタ!オタ!オコ!』の多井が2,600オールをアガると、1本場でも先制リーチをかけたのだが、園田だけでなく金からも追いかけリーチが入る。
60605f1be01b18bc271f2e96abed4108a77877eb

ほぼこのテンパイ形だけを目指して形を維持していた金は、ワンチャンスの6mを勝負してリーチをかけると、ドラをツモって2,000・4,000。
538bf55c4f3f19cb386d848934228592dd9ae202
あっという間に多井をまくる。

それでも、ポイント的にどうしてもトップがほしい多井は、サンアンコテンパイをリンシャンで引いて2,000・4,000。
164c5b9da6aa882c9067c6fa5b11342407bca98a
金を再びまくっていった。

しかし、直後の金。
2218d9cc5744534d8dbdb6cff3de00a5c9d3b3ec
この4面張を終盤にツモると、ウラも乗って2,000・4,000。
なんなんだよもう!という多井の声が聞こえてきそうな金2度目の再逆転にもめげず、多井も負けじと2,000・4,000。
583c1a3947d406c9766948ac9dfd50142bf8ba8d
これで多井がさらに逆転してオーラスを迎える。
それにしてもこの人たち、マンガンしかアガらないな・・・

オーラス、動いたのは園田。
3ee9c650b135947eb7f4e3b3bff308950acc8b2e
500点リードで3着目に残っている園田としては、このまま3着で終えたいところ。
ちょうど上家に、同じくこのまま終わらせたい多井が座っているため、援護も期待できる。

6903deca83d1c1b7d747b08652e12afbf3132ddd
すると、園田があっという間にテンパイ。
多井が差し込みやすいよう、4mを引っ張り、待ちをチー出し4mのまたぎにした。
ところが、これに多井は差し込めない。
園田の手牌が、ドラ雀頭で赤含みなどでマンガンあるかもしれないからだ。
3,900までは差し込めるが、マンガンの可能性が消えない以上は差し込みできない多井は、オヤの現物を残して必死にオリていく。
そんな中、やはりアガリってラス抜けしたい基成がドラをツモ切った。

f80f4a599202d3efb09210bed50a108d166719f7
これに、きっちりドラを併せる多井。
ドラが見えれば園田に差し込める。もし、金が重なり期待でドラを持っているなら、2枚目のドラを見せることで打ってくれるかもしれない。
すると、同巡の園田、ドラをツモ切り。
d4f08980a5d7332ef356fa89f21ea1abf18a320d
多井は赤を2枚持っているため、これで園田の3,900以下が確定した。
つまり、多井としてはようやく差し込める条件が整ったのである。
さあ、ここから園田に差し込みにいくぞ!という局面で・・・
f4b0f8fd368317dbbe393f603ef8d697908a5049
またしても金からリーチが入った。
もう勘弁してよ・・・という表情の多井。

しかし、多井にとって金のリーチ宣言牌が2mだったことはせめてもの救い。
園田の待ちが4mのまたぎだとすると2m5mか3m6mの2択だが、そのうち2m5mが消えたからだ。
これで、3m6m 1本に絞り込めた。
e9aa97cf48107888bcd210a6cf8c67e5c8e4657f
そして、金のリーチ一発目に園田がドラをノータイムでツモ切ったことにより、園田のテンパイがより確実になる。
あとは、3m6mを引くだけの多井。
その多井が、ついに3mを引いた。
27fef2931e560b771ebc3e75b9c064899344ac98
長考に沈む多井。
この3mが金の現物なら問題はないのだが、3mは金にも無スジ。
もし3mが園田にアタらず、金に放銃となってしまっては本末転倒である。ただ、園田に3mがアタりさえすれば、園田の頭ハネで問題ない。
では、園田が3m6mでない可能性はあるのか。
答えはYesだ。
例えば、23345p5579s4mのような愚形残りのイーシャンテンで4mを引っ張ったケースもある。
また、ターツ落としも入っていないため、2334p55789s4mのようなくっつきの形もありえる。
ただ、このとき多井は「園田は50%以上3m6m」だと思っていた。
背水の多井が出した答えは・・・
9972cc60b2ce0e55cb34e5e0866cfb83bdb1e2f8
打3m!!


24027e531c289dffde90b69559d82c47182cd03c
金への放銃リスクを取ってまで多井が選んだその3mに、園田がしっかりと応え、多井がトップのままゲームを終えた。

074704b08f5d10a9577f29f4e89e39a07658337d
これには、控室でも拍手喝采。

99a88f2d4f2cdb58a7f9064fd49a17e754d01b06
『オタ!オタ!オコ!』は多井渾身の差し込みでなんとか土俵際に踏みとどまった。
しかし、下位4チームが敗退となる次節には、4回中2トップは必須。できれば3トップという厳しい条件となる。
その第8節は、いつもの水曜日ではなく、3/15木曜日の11:00から。
予選最終節に進出する8チームは果たしてどこか。
お見逃しなく!

第8節は3/15(木)11:00よりニコニコ生放送およびFRESH!の「麻雀スリアロチャンネル」にて放送予定!
FRESH!→ https://freshlive.tv/threearrows-ch/191219
ニコニコ生放送→http://live.nicovideo.jp/watch/lv311054876