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【過去記事リバイバル】ミカド店長イケダミノロックの日記「高田馬場ミカド オープン前の内装、電気工事費用1000万円支払い作戦」
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【過去記事リバイバル】ミカド店長イケダミノロックの日記「高田馬場ミカド オープン前の内装、電気工事費用1000万円支払い作戦」

2021-03-22 17:00

     ども! 店長のイケダです!

     今回から「『高田馬場ミカド』オープン前の内装、電気工事費用1000万円支払い作戦」を数回に分けてご紹介します!

     前に話したとおり、俺は「オアシスプラザ」を有するオーナーの信頼をなんとか勝ち取り、「共同経営」という座組みで物件を借り、資金0円で「高田馬場ゲーセンミカドinオアシスプラザ」をオープンすることができた。

     しかし問題はそのあとだった。

     2008年当時の「オアシスプラザ」はT社撤退後、スケルトン状態(内外装、照明、電気などがすべて取り外されたコンクリート打ちっ放しの状態)だったのだ。

     俺はGM商事に勤めていた頃から新店舗のオープンを何度も経験しているので「こりゃあ金が掛かるぞ!」と、すぐにわかったが、なんせ金がない(笑)。

     というわけで、GM商事時代の上司・豊田氏にすぐ連絡を取った。

     豊田氏について少し語ると、2007年にGM商事を退社後に独立し、物販およびプライズ景品の企画販売する「レインボー」の社長を務めている。年齢は俺の二つ上で、GM商事在籍時はゲーセン店員からキャリアをスタートし、あっという間に店長の座に就任。それからはエリアマネージャーを経て、最後には商品企画開発と、なんでもこなすスーパーマンみたいな人だ。プライベートではロックが大好きで、さらには今でも筋トレを欠かさないというのだから、いわば俺の師匠みたいな存在である。

     「豊田さん、GM時代の施工業者さんを呼んでください! とりあえず3人で飲みましょう!」

     さぁ、作戦開始だ!

     GM商事の店舗の内外装工事施工を担当する「株式会社サイアート」は、全国のゲームセンターや飲食店の店舗デザインから工事、保守メンテまで請け負う会社だ。みんなが知ってそうなところだと、大手チェーンのゲームセンター「レジャーランド」系列の内外装も担当している。

     社長の斎藤氏は俺より一回りぐらい先輩で、従業員をたくさん抱えている会社を作った大成功者だ。GM商事時代、一介の店長だった俺にとっては雲の上の存在である。

     で、俺が考えた作戦内容は「斎藤社長を口説き落として工事費用を分割払いにしてもらうこと」という単純なものだ。しかも、かなり長期の(笑)。

     無論、GM商事の看板を持たない俺がいきなりそんな交渉するのは無礼すぎるわけで、まずは元上司の豊田氏に協力を仰ぐことになる。豊田氏はGM商事時代から斎藤社長と一緒に何度も仕事をしてきているし、プライベートも親交があり、独立後も良好な関係だと聞いていた。

     「豊田さん、そんなわけで斎藤社長を飲みに連れ出してもらいませんか? ぶっちゃけ金ないから分割のお願いがしたいんです。そのかわり、工事費用は言い値で構わないというつもりです」

     「いいよ。わかった」

     なんとか斎藤社長との飲み会をとりつけた。その結果は――。

     「なーんだよ、そんなことか!? いいよいいよ、担当者送り込むから好きにやれ!」

     斎藤社長は想像よりも若々しく、とにかく明るくて大らかで、飲みっぷりも半端ない(笑)。そしてなにより、豊田氏に絶大な信頼をおいている。おまけに豊田氏が「イケダなら大丈夫ですよ」と言ってくれたので、話はあっさりと決まってしまった。

     それからは、俺と嫁さんのイメージを伝えたり、壁紙やら看板に関するやりとりを何日か続けた頃に見積もりが上がって来た(……そういえば、入り口のガラスに貼ってあるインベーダー風のステッカーはサイアートさんからの提案だった気がするなぁ)。

     諸々を含めた工事費は1000万円ぐらいだった。俺はその支払いを売り上げから約2年かけて支払うことになった。

     かくして支払い作戦は成功した。今だから言えるが、店がコケたら斎藤社長に大迷惑を掛けるところだった。

     当時を振り返ってしみじみ思う、

     「GM商事時代に豊田氏と会っていなけけば……」

     「もし、豊田氏があの時点で独立していなければ……」


     俺はとんでもない綱渡りをしていたが、信頼してくれた二人の存在には改めて感謝するしかない。ありがとうございました!

     人間ってのは本当に不思議なもんで、「金がない」「能力がない」「ノウハウがない」と、ないものを埋める努力をすると、ものすごいパワーが出る生物だと思う。ハードの限界を越えたようなゲームとしてよく紹介されるファミコンの『烈火』や『グラディウスII』はこのパワーを応用して開発されたんじゃないかと思うよ(笑)。

     ……あれからだいぶ歳くったけど、これからもチャレンジあるのみだ!
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