エロゲメーカー【チュアブルソフト】代表のイシダです。
前回は「プロデューサー」「ディレクター」「原画」「シナリオ」「グラフィック」
「背景制作」「デザイン」までだったので、今回はその続きです。早速いきましょう!
◆作詞・作曲・歌唱
主題歌・挿入歌・エンディングテーマです。
主題歌は発売前に公開されますから、「こんなお話なんだ!楽しそう!予約せな!」と
感じて頂けるようにします。挿入歌はゲーム中のイイ場面で使われるのでこれまた
雰囲気が大事です。
そしてエンディングテーマはゲームの〆ですから、ゲームの世界からのひとときの
お別れを名残惜しく演出しつつ「プレイして良かった!」と感じて頂けると良い
ですよね。
そういう出来になるように、作詞家さん・作曲家さん・歌手さんとはディレクターが
綿密に打合せをし、どんなストーリーでどんな雰囲気のゲームなのかを共有します。
ちなみに、作品によっては歌詞の中にゲーム本編についてのギミックが潜んでいたり、
フルバージョンまで聴いて初めて「あっ!」と思うことがあったりと、作詞家さんの
ワザが更に光ることもありますね!その例の一つが『アステリズム』の第1章OPです。
作詞作曲はIOSYSさんで、歌は藤原鞠菜さん。フルバージョンを聴いたことがある方は
「ああ…」と思って頂けるはず。
また、『ラブらブライド』OPも作詞作曲はIOSYSさん。作品によってここまで雰囲気
を変えられるのか!と思うと凄いですね。
◆BGM・効果音
昔は敢えて基本無音になっているエロゲーもありましたが、最近は楽しげなBGMが
物語を盛り上げてくれます。
各ヒロインのテーマBGMはもちろん、「日常」「学校」「いい雰囲気」「エロ」
といったものも含めて、プレイ中ずっとユーザーの耳に雰囲気を届けてくれる
BGMも、満足感うpの為には決して欠かせないもの。いい曲揃いだと「サントラが
欲しい!」「BGMを聴いてあのシーンを思い出したい!」っていう需要にも繋がり
ます。
効果音も、「セーブボタンを押した時の音」といったシステム的なものから、
「特殊な場所を歩く音」「雑踏のざわめき」といった雰囲気的なものまで色々です。
プレイ中はあまり意識することは多くないかもしれませんが、これが無いと味気ない
ものなのです。
そう言えばエロゲーの「効果音集」ってあるんですかね。需要がないのかなあ。
それともえちぃ音ばかりが期待されちゃったりするのかなあ。
◆ボイス
言わずと知れた声優さんの担当箇所。同じセリフでも声色次第でその意味合いは
全く違ってきますから、収録時にはディレクターが付きっきりで監修します。
声優さんも収録のはるか前から台本をじっくり読み込み、各場面でキャラクターが
どんな思いでいるのかしっかりとイメージトレーニングをしてきてくれます。
収録はまさに真剣勝負の場なのですね。
なお、エロゲーの場合は大抵声優さんお一人ずつ別々の収録となります。
それなのにゲーム本編では各キャラクターのかけあいがあんなに自然になっている
という事だけでも、声優さんの凄さが伝わりますでしょうか。
試しに『ラブらブライド』体験版とかやってみるといいかもですよ?
◆収録・音声編集
声優さんの声や歌手さんの歌を収録し、その上で音質をクリアにしたりセリフごとの
音声ファイルに分けたりCD音源の歌声へと仕上げたりする作業です。
収録エンジニアさんは、声優さん&各メーカーのディレクターさんと信頼関係を
築きつつ、スムーズな収録をしていかなければなりません。声優さんを緊張させ
すぎたりしてもダメですが、時間をかけすぎては収録日程が足りなくなってしまいます。
となると、スタジオの雰囲気作りから既にお仕事が始まっていることになる訳で、
とても気遣いが大事な作業なんですね。
◆ムービー
オープニング・エンディングはもちろん、キャラクターの自己紹介ムービーや
作品のプロモーションムービーなどを担当します。
その作品をユーザーさんにどう印象づけていきたいかについて、プロデューサーや
広報担当者と綿密に打合せを行い、コンテ→ラフムービー→仕上げへと進みます。
OPムービーについては前述したので、ここではプロモーションムービーの例を
ご紹介してみる心。『アステリズム』のPVです。
第1章OPとは一気に雰囲気が変わって「なになに、そうしたの?」と感じて頂ける
でしょうか。発売前にはこういうムービーでドキドキして欲しいのです。
もちろん、発売後には本編のエンディングムービーにたっぷり浸って頂きたい
のですが、さすがにそれをブロマガで見せちゃう訳には行きませんので、買ってね!
◆プログラム
ゲームを動作させる基本プログラムです。立ち絵を表示させて、表情を変化させて、
テキストを表示させて、ボイスが流れて、イベントCGが表示されて、画面の切り替わり
が凝っていて、画面が揺れたり白くフラッシュしたり等等、すべてプログラム次第です。
「ゲームエンジン」と呼ばれたりもしますね。
よく知られているものとしては「吉里吉里」や「NScripter」などがあるでしょうか。
エロゲメーカーによっては独自にゲームエンジンを開発しているところもあります。
チュアブルソフトでは最近「Majiro Script Engine」を利用しています。
なお、今後はスマートフォンやタブレット端末上、ブラウザ上などいろんな環境で
エロゲーが動作するゲームエンジンも増えてくると思います。楽しみですね!
◆スクリプト
ゲームエンジン上で実際に「このタイミングで立ち絵の表情を切り替えよう」
「このシーンのBGMはこれだ」といった演出指示を打ち込んでいく担当です。
ゲーム制作の後半の主役であり、またマスターアップギリギリまで品質向上に気を使う
部署でもあります。良い演出を施すためには作業時間が長ければ長いほうがよく、
その為にはなるべく早いタイミングで「立ち絵」「イベントCG」「シナリオ」
「ボイス」「BGM」「効果音」「インターフェースデザイン」などが全て揃う必要が
あり…。
つまり各部署の遅れのしわ寄せが最終的にのしかかってきちゃう部署なのですね。
胃の痛さたるやかなりのものがあると思います。
◆デバッグ
一通り作り上げたゲームを検証プレイし、おかしな動作をするところは無いか、
本来の意図とは異なった演出となってしまっているところは無いか、誤字脱字は無いか
などを片っ端から探します。
開発末期はディレクター・スクリプターと連携しつつ、良い作品となるように
ギリギリまで踏ん張る担当です。この技能に長けた人はどのメーカーでも重宝されると
思いますよ。
◆営業・広報・経理・法務・総務などなど
今まで紹介してきたのは「ゲーム制作」に関わる職種でしたが、制作しているだけでは
誰にもしってもらえませんしお店においてもらえませんし会社としても成り立ちません。
制作以外の人材も必須なので、この方面のお話も別の機会にしてみたいですね。
私は完全に事務方なのでこっち方面です。
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この様にエロゲー制作には色んな職種が関わってきます。
どの職種がそのメーカーの内勤スタッフとなっているのかは、メーカによって
(又は作品によっても)変わってきますが、もしエロゲー業界で働くことに興味が
ある方はコメントにご質問を頂ければお答えできる範囲でご対応しますので、
よろしくお願いしますねー。
じゃあ、今回は以上です。
コメント
コメントを書く楽しく社長日記読ませていただいています!
いきなり質問なのですが
スクリプトエンジンはいったいどのようなものを基準にして選んでいるのでしょうか?
スキップやオートなど基本的な機能はどのスクリプトエンジンにも基本的に標準装備されてるようですし
いろんな種類のスクリプトエンジンがありますがそれでも独自に開発してるようなところもあるみたいなので
普通とは違った演出をしたりするようなときのために拡張性などを重視されているのでしょうか?
ぜひMajiro Script Engineを利用している理由などを教えてくださると嬉しいです。
お返事が遅れました!ごめんなさい!
さて、Majiroのお世話になっている理由についてですね。
こちらについては「合理的な縁」という言葉が一番しっくりくるかなと思っています。
ご指摘の通り、大体どのスクリプトエンジンでも基本的な機能は実装されていますよね。チュアブルソフトでは「こういう演出をしてみたい」「こうすればユーザーの皆様にご満足をもっと提供できるのではないか」と色々考えつつエンジンを検討します。
Majiroは、開発者の方のお人柄やスキル・同エンジンに慣れている素敵なスクリプターさんと繋がるチャンスがあったこと・チュアブルソフトスタッフの馴染みやすさ…といったことががっちり噛みあう「縁」があったのです。
何となくの「縁」ではなく、その「縁」がユーザーの皆様へのサービス向上へと合理的に繋がるものだったからこそ利用しているということになります。多分、エロゲ屋以外の職種でもこういう「縁」があると強いんだと思います。回答になりましたでしょうか?
byイシダ
>>2
なるほど、スタッフさんが慣れていらっしゃるという縁があったのですね!
自分はまだ学生ですが今後社会に出るにあたって一種運命的な縁を大切にしていこうと思います。
ご質問に回答いただきありがとうございました