ラブコメやSFなどのハリウッド映画も観ますが、たまにはちょっとマニアックな作品やドキュメントタッチの作品も観たくなるもの。
そんなときに足を運びたいのが「恵比寿映像祭」。年に1回およそ10日間にわたり、東京都写真美術館全館を使って、展示、上映、ライブ、イベント、講演、トーク・セッションなどを複合的に行う映像・アートの祭典です。
映像をめぐる様々なアートにも目を向け、映像の楽しみかたや味わいかたをより豊かすることをポリシーとしています。今年のテーマは「パブリック ダイアリー」。日記といえば個人的なものをいうイメージですが、作家個人の究極のアイデンティティを表すものであり、記録することは映像全般に通ずるもの。映像表現の現在・未来を探るという意味もあり、掲げたそうです。
展示セクションの中には荒木経惟の作品や海外作品も多数。映像作品はドキュメンタリーを中心にダイアリーをテーマとしたアニメーションなども。なかでも、見たいと思ったのが、この2作品。
上映スケジュール:2月10日(日)11:30/2月23日(日)15:00
「西アフリカ・ポストコロニアルのロラベローグ」
ブルキナファソから多くの若者がコート・ジボワールのプランテーション農園へ向かう。客死した兄の足跡をたどるトラベローグを通じて、個の視点からポスト・コロニアルの状況を見つめる。ブルキナファソの若手ドキュメンタリストの長編第一作。
フランス領から独立して半世紀経つブルキナファソは西アフリカの小さな共和国です。プランテーション(大規模)農園での労働問題や、植民地後の様子など、日本ではあまり知ることができない海外テーマ、だからこそドキュメンタリーで見る醍醐味は2倍だと思います。監督のミシェル・K.ゾンゴは撮影や助監督として働きながら、社会的啓蒙のための映画機関cinomadeに数年在籍していたとか。
上映スケジュール:2月10日(日) 15:00/2月17日(日) 18:30
「日常のまなざし《祈―inori》」
山深い奈良県・十津川村の小さな集落。若者たちは街へ出て行き、そこに残る数少ない村人たちの日々の営みは、歴史とそこで繰り返される「生命」の循環を直視しながら続いていく。第65回ロカルノ国際映画祭新鋭監督部門グランプリ受賞。
こちらもドキュメンタリー作品なのですが、監督は、なんとペドロ・ゴンザレス・ルビオというメキシコ人。村に残された人達の苦難を抱えながらも自然と共存し、祈る心を忘れない様子を描いています。国境を越え、外国人からの目線ではなく日本人の心を理解した素晴らしい作品と高い評価を得ています。
様々な映画祭が開かれる中、映像に関する複合的な祭典ってあまりないですよね。恵比寿映像祭では、作品や展示を楽しむのはもちろんですが、新たな映像の楽しみ方が発見できるかもしれません。
[第5回恵比寿映像祭 パブリック・ダイアリー]
期間:2月8日(金)~2月24日(日)うち2月12日(火)と2月18日(月)のみ休館
時間:10:00~20:00ただし最終日2月24日(日)は18:00まで
会場:東京都写真美術館全フロア及び恵比寿ガーデンプレイス センター広場、ザ・ガーデンルーム、恵比寿周辺文化施設及びギャラリー他
最寄駅:恵比寿駅
入場無料 ※ただし定員制の上映プログラム、イベント等については有料です
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(若松真美)