カポナータはシチリアやナポリなど南イタリアに伝わる郷土料理で、いまや世界中に知られています。基本は、ナスなどの夏野菜を甘酸っぱい味つけで煮込み、冷たくして食べるもの。フランスのラタトゥイユと見た目が似ていますが、あちらはハーブやワインで風味づけされた甘酸っぱくないお料理です。

シチリアの高級ホテルで出会った味

さて、シチリアはパナレア島、三ツ星の「ホテル・チンコッタ」でのこと。美食家で知られる友人(60歳代の紳士)が先に昼食をとっていて、まだプールにいた私を階上から呼ぶので何かと思えば「ここのカポナータはメカジキが入っていてユニークで、すばらしくおいしい! だからあなたも早く上がってきてこれを食べなさい。」と言うのです。からだを拭いてパレオを巻いてレストランの席に着くと、もう私の分のカポナータは注文済みですぐに運ばれてきました。

パナレア島「ホテル・チンコッタ」のレストラン

それは確かに特別なものでした。野菜はよく煮込まれてとろりとしていて、メカジキのやわらかい旨味を引き立てるちょっと強めの甘酸っぱい味は、冷えた白ワインにもパンにもよく合います。みんなでさんざん褒めちぎったあと、「日本のウェブマガジンでぜひ紹介したいからレシピを教えていただけないかしら? 」と試しに聞いてみたところ、よろこんで丁寧にレシピを書き起こしてくれたのでした。

それが下のレシピです。と言いたいところですが、じつは、わが家のシェフと相談してちょっと調整したものを載せています。元のレシピではトマトピューレと白ワインヴィネガー、はちみつがこれの2.5倍入るとされていて、濃いめの味つけがまたよかったのですが、家ではもうすこしやさしい調味にしてみた次第です。

メカジキ入りカポナータ(8人分)

【材料】

メカジキ 500g

セロリ 1束

タマネギ 5~6玉

ニンジン 4~5本

ケッパー 100g

トマトピューレ 800ml

白ワインヴィネガー 200ml

はちみつ 200g

白ワイン または 日本酒 大さじ1~2

カカオパウダー(糖分ゼロのビター) 適量

アーモンドスライス 適量

塩 適量

コショウ 適量

【作り方】

1. メカジキは皮や骨、血合いを除き、食べやすい大きさに角切りにする。バットに載せて白ワインをまぶしてしばらく置いておく。

この日はステーキ用に薄くカットされたものしかなかったので、3cm四方に切りました。

2. セロリ、タマネギ、ニンジンは2~3cmに切る。ケッパーは水洗いして塩を落とし、大きければ1/2に切る。

3. アーモンドスライスはフライパンで乾煎りして香りを引き出しておく。

4. 大きめのフライパンに油をひいて2を入れて炒め、タマネギがしんなりしたらトマトピューレを加えて煮詰める。

5. 白ワインヴィネガーとはちみつを溶かし合わせ、3に加えてさらに煮詰める。ニンジンがやわらかくなり、全体に水分がなくなってとろりとしたら塩で味をととのえる。あとで冷やすと味が弱く感じられるので、ここではすこし濃いくらいでちょうどいいです。火から下ろして粗熱をとる。

6. 1のメカジキの水分を拭き取り、塩・コショウをする。フライパンに油をひき、メカジキを入れて両面を焼く。焼き過ぎるとパサついてしまうので注意。メカジキの量が多ければ1/2~1/3ずつ焼いてください。

7. 5に6を加えて、メカジキが崩れないように気を付けながら全体を混ぜ合わせる。器に移し、ラップをして冷蔵庫で冷やしたらできあがり。

8. 食卓に出す際には、カカオパウダーとアーモンドスライスをふりかけて風味を添える。

魚が入っているので主菜にもなりますし、作り置きできるので前菜やお弁当にも。甘酸っぱい味は食卓のアクセントになりますね。

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