私は、昔1人で住んでいた頃はどちらかというと和食派だったのですが、家族ができて特にNYに引っ越してから、パンやパンケーキなどを作る機会が増えました。最初はパンを買っていたのですが、娘に絵本に出てくるパンを作って欲しい、と言われた事がきっかけで手作りするようになり、ホームベーカリーを買って毎朝焼きたてを食べるようになってから、そのおいしさに目覚めて、段々ドライイーストを使わず、自分で天然酵母を作るようになりました。
パンケーキも、NYは本場でおいしいのですが、砂糖やバターがたくさん使われているのが気になるので、タンパク質の多いリコッタチーズや、カロリーが低めで栄養豊富なカシューナッツミルクを使って家で焼くのですが、バターも砂糖も入れないのに、これが普通のものよりもフワフワで本当においしいのです。自家製天然酵母は、ぶどうやイチゴなどをビンに入れた水に浸して、一日に数回振って、数日置くとソーダのようにシュワッとした泡が出てくるので、それをさらして冷蔵庫に冷やすだけで出来上がりです。
その液を30mlほど使って強力粉、塩、メープルシロップ少々と一緒に混ぜて、大きめのビンに入れてしばらく置くと、元種というものが出来上がります。それをドライイーストの代わりに使って、パンを焼くのです。初めて作るときは、果物に付いている酵母を培養するなんて難して失敗しそう!と思ったのですが、意外にも上手く出来て、しかも寝かせるのに時間が必要なだけで手間はかからないので、思ったよりもとても簡単でした。
そして何より、ゆっくりと時間をかけて発酵させた焼きたてのパンの美味しさに驚きました。我が家は餡好きなのですが、それも初めて手作りした時に砂糖をすごくたくさん入れなくてはいけないのを知って、控え目にしたらなんだかやはり物足りないのです。そこで、小豆を煮て充分に豆が柔らかくなってから、砂糖の代わりに細かく刻んだデーツを使うと、ちょうど良い感じの素朴な甘さになって、それ以来、我が家の定番になっています。デーツを使うと、美味しい上に、糖分も低くなり食物繊維も豊富でヘルシーなのでオススメです。
このデーツを使った餡子を自家製天然酵母の生地で包んで焼くと、最高のアンパンの出来上がり!今でもやっぱり和食派の自分なのですが、家族のおかげでレパートリーが増え、毎日キッチンにいるのが本当に楽しいです。キッチンに一日中籠って、新しい音楽を聴きながら色々な料理を作るのが私の至福の時間です。
キッチンは私の自由な実験室であり、音楽室のようです。
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