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キーンと痛む「アイスクリーム頭痛」のメカニズムとは
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キーンと痛む「アイスクリーム頭痛」のメカニズムとは

2019-06-06 20:00
    image via Shutterstock

    1年で、かき氷やアイスがもっともおいしく感じられるのは、やっぱり夏。

    しかし、冷たいものにつきものなのが激しい頭の痛み。あの「キーン」とする頭痛は、なぜ起こるのでしょうか。教えてくれたのは、埼玉国際頭痛センター長の坂井文彦先生です。

    脳が冷たさを「痛み」と勘違いしている

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    冷たいものを食べて頭に感じる痛みは、れっきとした「頭痛」で、「アイスクリーム頭痛」「かき氷頭痛」といった名称が医学用語として認められているのだとか。国際頭痛学会では、これらの頭痛を「寒冷刺激による頭痛」と分類しています。

    冷たいのは口なのに、なぜ頭に痛みが走るのか。それにはふたつの理由が考えられるそうです。

    「ひとつは、冷たいという情報が脳に伝わるときに『混線』を起こしてしまうというもの。冷たさを感じる神経と痛みを感じる神経はとても近いところにあり、神経の中継局となるところで混線して、痛みとして伝わってしまうと考えられています」(坂井先生)

    もうひとつは、「頭部の血管が一時的に炎症を起こす」という理由。かき氷を口にして少ししてから痛みが出てくるのは、口に入れてから炎症が起きるまでに多少の時間がかかるため。冷たさは、脳にとってそれだけ大きな刺激になるというわけです。

    アイスクリーム頭痛を避ける方法は?

    とはいえ、冷たさによる頭痛が体に悪影響を及ぼすことはないそうなのでご安心を。「つらい痛みを避けたいなら、ゆっくりと少しずつ食べれば痛みはマシになるでしょうね」と坂井先生。

    30代40代の女性に多い慢性頭痛のひとつに「片頭痛」がありますが、片頭痛も頭部の血管の拡張・炎症が原因となって起こります。激しい痛みが半日から、長い人では3日も続き、寝込んでしまうほどのつらさです。

    アイスクリーム頭痛は何分も続きませんが、あの痛みが1日続く片頭痛は本当に大変なんです。もしまわりに片頭痛持ちの方がいたら、その苦しみを想像してあげてくださいね」(坂井先生)

    片頭痛の応急処置のひとつに、保冷剤や冷たいペットボトルを頭部にあてるなどして「頭部を冷やす」ということが挙げられます。冷やすことが痛みの原因である「血管の拡張・炎症」を抑え、また痛みを紛らわす信号にもなり、アイスクリーム頭痛にも有効だとされています。

    冷たいものを食べて起こる頭痛の明らかなメカニズムはまだ100%解明されていないのが実情ですが、研究はアイスクリームやかき氷が好まれる日本や台湾が進んでいるというのもおもしろいですね。

    痛みが起こる理由や対処法を知ったからには、この夏は恐る恐るかき氷を口に運ばなくても済みそうです。

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    坂井 文彦先生
    埼玉国際頭痛センター(埼玉精神神経センター内)センター長。1969年、慶應義塾大学医学部卒業後、同内科学教室に入局し、神経内科および脳循環・代謝の研究を始める。北里大学医学部神経内科学教授、埼玉医科大学客員教授などを経て、現職。日本頭痛学会、国際頭痛学会の理事長など重職を歴任した頭痛治療の世界的名医。『「片頭痛」からの卒業』(講談社現代新書)他、著書・監修書多数。

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    文/大森りえ

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