自然の中で週に数時間過ごすと健康にプラス効果がある?

週に数時間ほど自然の中で過ごすだけで、心も身体も健康になるかもしれない――

そんな研究結果がイギリスから報告されました。約2万人の成人を対象とした調査で、自然の中で週に2~3時間過ごす人は、まったく屋外で過ごさない人に比べ、心身ともに健康である率が高いことが分かったそうです。

週2~3時間自然の中で過ごしていた人は82%が「健康良好」

この研究は、英国政府が行った調査に参加した英国成人19,806人を対象としたもの。

参加者には、全般的な健康状態とウェルビーイング(身体的、精神的および社会的に良好な状態)を自己評価してもらい、過去1週間に森林や海岸、街中の緑地などの屋外で過ごした時間について回答してもらいました。

また、外出を妨げるような健康上の問題や運動習慣、年齢・職業、婚姻状態、さらに、貧困率・犯罪率といった居住地域の特徴などの因子についても調べました。

その結果、自然の中で過ごす時間が週に2時間以上3時間未満だった人で健康状態を「良好」と回答したのは82.0%ウェルビーイングを「高い」と評価したのは64.0%だったのに対し、全く自然に触れていなかった人では、それぞれの割合は68.5%、55.7%と低かったことが分かりました。

また、高齢者や運動機能に制約がある人などでも、屋外で週に2時間以上過ごす人は、2時間未満の人に比べ、自身の健康状態とウェルビーイングを高く評価していました。

近所の公園で、短時間でも効果は十分!?

参加者の多くは、自宅から約3km以内にある公園や緑地などで自然を楽しんでいました。結果を受け、研究リーダーは、必ずしも山歩きや遠出をする必要はなく「場所はどこでもいいですし、一度に2時間かけなくてもいいのです」と分析しています。

アメリカの専門家も、「〝自然と触れ合う″といえば国立公園などに出かけることを連想する人が多いですが、時間やお金をかける必要はありません。自宅近くの公園で十分です」と話しています。

今回の研究については、「単に、屋外で過ごすことをすすめるだけではなく、具体的に過ごすべき時間を明らかにしている点が興味深いです。このエビデンスには説得力があります」と評価し、「地域の住環境を整備する際は、緑地化を真剣に進めるべきでしょう。公園は単なるお飾りではありません。地域住民の誰もが公園や緑地を利用できるように配慮することも大切です」と語っています。

自然と触れ合うことが健康に有益であることのメカニズムは明らかになってはいませんが、2018年には140の研究結果をまとめた論文が発表され、日常的に屋外で過ごしたり、自宅周辺に緑地が多かったりする人では、血圧・心拍数・〝ストレスホルモン″のコルチゾールの血中濃度がいずれも低いだけでなく、睡眠時間が長く、2型糖尿病や心疾患になりにくいことが示されています。

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HealthDay News 2019年3月20日/Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved. /(参考情報)Abstract/Full Text /image via shutterstock

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