米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所(NIDDK)の解説によると、約6割の女性が人生に一度は泌尿器感染症になったことがある、それも4人に1人は再び感染に悩まされたことがあるそうです。男性もなることはあるのですが、女性の方がもっと一般的。
というのも、女性は体の構造上、尿道(尿が流れる管)が男性ほど長くないので、泌尿器感染症を引き起こす細菌が膀胱に入ってきやすいのです。
「人間の尿路は、細菌の侵入を防ぐようできています。ところが、うまくいかないことも」と、インディアナ州立大学で産科学および婦人科学の専門医であるケリー・M・キャスパー医師。「そうなると細菌が繁殖し、感染症にいたってしまうわけです」。 泌尿器感染症で多くみられるのは、排尿痛、残尿感、尿の変色や刺激臭、骨盤痛、けん怠感のほか、感染が悪化すると発熱も。
症状が出たらはずかしく思わないで。処方される抗生物質で症状がすぐになくなる場合もあるのです。治療が遅れると、腎感染など、症状がさらに重症になることも。
もちろん一番よいのは、原因をつくらないこと。女性に多い泌尿器感染症の原因と、どうすれば防げるかのヒントを紹介します。
1. 生理用品
「不潔なナプキンやタンポンは、細菌が繁殖する温床」というのは、カリフォルニア州ビバリーヒルズの一般開業医、アリ・エサン医師。
生理中の尿路感染を防ぐには、量にもよりますが、少なくとも4時間おきにタンポンの交換を。就寝時は外して寝るとよいそう。ナプキンもまた4時間から6時間おきに替えます。
2. サイズが合っていない下着
「下着も、泌尿器感染症の意外な原因」とニューヨークで婦人科医として勤務するアリッサ・ドェック医師は説明します。
「通気性が良いコットン製の下着は、湿気がこもるのを防ぎ細菌を増やしにくくしてくれる。薄手のTバックショーツなどは細菌を移しやすく、やめた方がよい」とのこと。
3. セックス
多くの女性がセックスによって泌尿器感染症にかかります。なぜなら膀胱や膣腔内の細菌が、尿道へ移ることがあるから。リスクを減らすにはセックスの前後30分にトイレへ行くこと」と、米国泌尿器科学会議の広報担当、リサ・N・ハウズ医師は説明します。
セックスの後にシャワーで洗うのもいいですが、石鹸は使い過ぎないほうがいいでしょう。研究では、 避妊具や殺精子薬の使用でも、泌尿器感染症の確率が上がるとわかっています。
4. 閉経
「泌尿器感染症は、閉経期以降の女性に非常に多くみられる」と、スタンフォード大学で泌尿器科・婦人科医であるカビタ・ミシュラ医師が『Prevention』誌で説明しています。
なぜならエストロゲンが減り、膣のpH値が変わるため。膣内の細菌と酵母のバランスが崩れて、感染の可能性を高めてしまうのです。膣の萎縮(内壁が薄くなること)がみられる閉経後の女性では、尿道付近に小さな傷ができやすく感染しやすくなっていて要注意なのです。
次回の『Prevention』記事に続きます。
※本記事は、2019年5月8日に、婦人科外科医で予防医学審査委員会のメンバーでもある、アンジェラ・ショードハリ医師によって、医学的知見から監修されています。
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