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教授がぶった斬る! 「細くてきれいな脚」が危険な理由
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教授がぶった斬る! 「細くてきれいな脚」が危険な理由

2019-11-28 19:00
    秋冬の森谷筋肉塾。前回は、ぽっこりお腹を解消するには、内臓を支える筋肉が重要だと教えていただきました。

    第2回は、みんなが憧れる「スラリと細い脚」について。健康的で美しい脚になる方法をお聞きします。

    第2回 まとめ

    運動しないで食事制限をすると、サルコペニア予備軍に サルコペニアかどうかは、ふくらはぎの太さでチェック 筋肉がなくなると、骨も弱くなる

    運動しないで食事制限をすると、サルコペニア予備軍に

    ――今日は、スラリと伸びた細い脚になるにはどうしたらいいのか、教えてください。

    森谷塾長 :

    「スラリ」というのが、ちょっと引っかかるけど……。まぁ、いいでしょう。

    歩くスピードが速い人は長生きしますし、遅い人は早死にするという研究結果も出ているくらい、下半身の筋肉はものすごく大事です。

    運動をしていないと、30歳前後から筋肉量は少しずつ減っていきます。高齢者になるとそのスピードは加速して、1年に3%くらいずつ筋肉量が減っていくことも。

    加齢で筋肉の量が減ることを「サルコペニア(加齢性筋肉減少症)」と呼びますが、聞いたことありますか?

    ――はい、「人生100年時代」と言われるようになって、高齢者の問題としてよく耳にするようになりました。

    森谷塾長 :

    本来は高齢者問題のはずが、最近は若者、とくに若い女性でサルコペニアになる人が増えてきているんです。

    2017年に大妻女子大学で行われた調査では、「約4人に1人がサルコペニアと診断された」という恐ろしい調査結果が出ています。(中澤沙希 若年女性における低骨格筋量とその背景因子の分析. 人間生活文化研究 Int J Hum Cult Stud.No.27,2017)

    ――原因は、やはりダイエットでしょうか。

    森谷塾長 :

    そのとおり。運動しないで食事制限をすると、筋肉の合成量が減る。高齢者が運動しなくなって、食が細くなるのと同じことが、若い女性にも起こっているんです。

    まだ若いのに、なかなか疲れがとれない、歩くのが遅くなった、という人は要注意。もしかして、サルコペニアになりかけているのかもしれません。

    サルコペニアかどうかは、ふくらはぎの太さでチェック

    森谷塾長 :

    ここで整形外科のお医者さんがやっているサルコペニア判定をやってみましょう。

    左右の人差し指と人差し指、親指と親指をくっつけて「輪っか」をつくってください。その輪っかが自分のふくらはぎの一番太いところを通るかどうか。さぁ、どうですか?

    ――(やってみる)ダメです、太くて通りません……。

    森谷塾長 :

    いいんですよ。むしろ、通らないほうがいい

    ――え?

    森谷塾長 :

    ふくらはぎの一番太いところを輪っかがスカスカ通る人は、「サルコペニアである可能性が高い」ということ。輪っかが止まってしまうのは、ふくらはぎにしっかり筋肉が残っている、ということです。

    ――安心しました。でも、ほんとはもう少し細くなってほしいんですよね。

    森谷塾長 :

    ふくらはぎを細くしたい? 筋肉を落としたいだなんて、とんでもない!

    筋肉をないがしろにしたら、何十年か先に、歩けなくなったり、寝たきりになったりする形で、ツケは必ず払うことになる。私が「炭水化物を食え! 筋トレしろ!」と口やかましく言うのは、そのためです。

    それでも、運動しないで食事制限をする若い女性が減りません。いまは歩けるし、不自由がないから危機感を持っていないんでしょう。「あのとき森谷先生が言ってたな」なんて思い出す頃には、もう遅いんだ!(怒)

    ――はいっ。食事制限だけのダイエットはもうしません!

    筋肉がなくなると、骨も弱くなる

    森谷塾長 :

    もうひとつ大事なことをお伝えしておきましょう。

    運動しないと「ミオスタチン」という筋肉の成長を妨げるホルモンが放出されます。ミオスタチンは、筋肉だけでなく、骨の形成も阻害する物質

    つまり、筋肉が減ると、筋肉を支える骨もスカスカになり「ロコモティブ・シンドローム」といわれる状態にもなりやすくなるんです。

    介護が必要になる原因の第一位は、男性の場合「脳卒中」女性の場合は「認知症」で、その次にくるのがロコモティブ・シンドロームによる「骨折・転倒」と「関節疾患」です。この先、誰かにオムツを替えてもらうようになるのは、イヤでしょ。

    ――絶対、イヤです。

    森谷塾長 :

    だったら、いまから筋肉を鍛えておかないと。

    今日の宿題は大事な下半身を鍛える「バレエ・スクワット」。太ももを内側に引き締める筋肉「内転筋」とお尻の筋肉「大臀筋」を同時に刺激するので、美脚ヒップアップの効果が期待できます。

    一般のスクワットと違って、脚の外側がムキムキになったりしないから、安心してやってみて!

    【今日の宿題】美脚&ヒップアップ効果のある「バレエ・スクワット」

    イラスト/高村あゆみ 両足を肩幅の1.5倍くらいに開き、つま先を大きく外側に向けてまっすぐ立ちます。 上半身をまっすぐキープして、息を吸いながらゆっくり腰を落とし、息を吐きながらゆっくり腰を上げます。 ポイント:腰を落とすとき、ヒザは外側に向けて手で押すこと。 目安:10回×1セット

    第1回:ダイエットの勘違い。ぽっこりお腹は体重を減らしても解消されません!

    おサボり筋トレ

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    『おさぼり筋トレ』森谷敏夫著(毎日新聞出版)

    京大で受けたい授業・ナンバーワンに選ばれた講義が待望の書籍化! 最新の科学的知見に基づいた、効率的でラクに続けられる「おサボり筋トレ」。運動が苦手な人でも続けられる究極のシンプルメソッドです。

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    森谷敏夫(もりたに・としお)教授
    1950年、兵庫県生まれ。1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授、京都大学教養部助教授、カロリンスカ医学研究所国際研究員(スウェーデン政府給費留学)、米国モンタナ大学生命科学部客員教授等を経て1992年、京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。2016年から京都大学名誉教授。専門は応用生理学とスポーツ医学で、生活習慣病の温床になる肥満のメカニズムに関する研究や運動ができない人々のための骨格筋電気刺激研究などを精力的に進めている。

    image via shutterstock

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