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もう食べられない、と思うまで食べ続けてしまう……。過食ぐせを治すには?
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もう食べられない、と思うまで食べ続けてしまう……。過食ぐせを治すには?

2021-06-21 19:30
    こころとカラダの調子にまつわる素朴な疑問に、専門家が答える連載「こころとカラダQ&A」。今回は、食べすぎてしまう問題に、公認心理師の佐藤セイさんが答えてくれました。

    Q:帰宅前にお菓子や惣菜を買い込んで、もう食べられない、と思うまで食べ続けることが癖になってしまいました。この癖をとめる方法はないでしょうか?

    A:あります。「食べすぎてしまう仕組み」を知って対処しましょう。

    「もう食べられない、と思うまで食べ続ける」というように、短時間で大量の食べ物を過食する状態を「むちゃ食い」といい、その背景には「ストレス」が隠れています。 今回はストレスで「むちゃ食い」が起こる仕組みを解説した上で、対処法をご紹介します。

    ストレスを感じると「むちゃ食い」はなぜ起こる?

    理由1.ストレスによってコルチゾールが分泌されるから

    ストレスがかかると「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。このコルチゾールはストレスに対抗するエネルギーを確保するため、食欲を増進させると同時に食欲を抑制するホルモン「レプチン」の分泌量を低下させます。 その結果、ストレスを感じれば感じるほど、食べすぎることが増えるのです(※1)。

    理由2.「むちゃ食い」が一時的にネガティブな感情を忘れさせるから

    2013年に発表された論文(※2)では、「むちゃ食い」が癖になっている人はむちゃ食いをしている最中に、抑うつ感や疲労感、自己卑下や不安などのネガティブ感情が軽減され、一時的な気持ちよさや満足感を得られることが明らかになりました。

    しかし、むちゃ食い後にはネガティブ感情は元に戻ってしまうとともに、「食べすぎてしまった」という罪悪感も加わり、さらにストレスを抱えることになります。

    本当のストレス解消にはなっていないのです。

    では、「むちゃ食い」をやめる方法は?

    対処法1.むちゃ食いできない環境をつくる

    すでに「帰宅前にお菓子や総菜を買い込む→食べられないと思うまで食べ続ける」というパターンができているため、このパターンに入るのを阻止することが必要です。 まずは帰宅前の買い物を避けるところから始めましょう。

    「お店を見ると買いたくなる」という場合には、

    お店のない道を歩く 財布のお金を必要最低限にする

    などもいいかもしれません。もちろん、家に他の食べ物があれば食べてしまいますから、

    家に余分な食べ物を置かない

    ことも大切です。また、

    ガムを噛む 歯を磨く

    など、むちゃ食いする前に口をふさいで食べられなくするのもひとつの方法。 ただし、これらはあくまで一時的な対策に過ぎません。

    対処法2.ストレスそのものに対処する

    私たちにストレスを与える原因「ストレッサー」にはさまざまなものがあります。 例えば、「雨が降ってきた」とか「満員電車で通勤する」というだけでもストレスを感じるものです。

    まずは自分がどんなストレスを抱えているのかを考えてみましょう。

    【代表的なストレッサー】
    物理的ストレッサー:暑さや寒さ、騒音や強い光など
    社会的ストレッサー:人間関係や家庭のトラブル、仕事や学業の問題など
    心理的ストレッサー:不安や焦り、怒り、緊張などネガティブな感情を引き起こすもの

    ストレッサーを見つけたら紙に書き出してみましょう。「今日は蒸し暑くてしんどかった」「上司の自慢話につきあわされてイライラした」など簡単な文章で構いません。

    これまでの研究から、毎日、日記をつけるだけでも、怒りや抑うつなどのネガティブな感情が軽減することが分かっています(※3)。

    もっとストレスへの対処法が知りたい場合は、専門の本を読んでみるのもいいでしょう。『セルフケアの道具箱』(晶文社)などがおすすめです。今日から取り入れられる方法がたくさん掲載されています。

    どうしても食事をコントロールできない場合は医療機関へ

    どうしても自分では食事をコントロールできず、健康や日常生活に支障をきたす場合には、心療内科や精神科などの医療機関を受診してみましょう。「食べすぎる癖があるだけで行っていいのかな?」という心配は不要です。

    薬物療法だけでなく、認知行動療法などの心理療法を通じて、適切な食習慣やストレスとの付き合い方を学び、食事のコントロールを取り戻すことができます。

    参照:
    ※1 須藤紀子・澤口眞規子・吉池信男(2010)ストレス負荷時の食事摂取量の変化と必要な栄養素―被災者への栄養・食生活支援のために― 日本栄養士会雑誌 53(4) pp39-45.
    ※2 島谷まき子・椿徳子(2013)大学生女子のむちゃ食い行動中の気分の認知の変化 昭和女子大学生活心理研究所紀要 15 pp21-31.
    ※3 酒井久実代・河﨑俊博(2018)振り返り日記が精神的健康に及ぼす効果の検討 関西大学臨床心理専門職大学院紀要 8 pp49-59.

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    佐藤セイ(さとう・せい)
    臨床心理士、公認心理師。精神科・心療内科、神経内科(もの忘れ外来)、リハビリテーション科、児童相談所、療育施設、刑務所などに勤務。現在はスクールカウンセラーをしながら、ライターとしても活動する。

    Image via Shutterstock

    RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2021/06/muchagui.html
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