「なんとなく不調」の原因は冷えにある
体が冷えることの怖さについていち早く警鐘を鳴らし、「冷え」に関する著書も多い川嶋先生。病院に行くほどでもない不調や、「体質だから」とあきらめてきたような症状を漢方医学の観点から紐解くと、いずれも「体の冷え」に行き着くと述べています。
わたしたち人間の血管は、地球2周半の長さに相当します。血液は、これほどの長い距離をすみずみまで素早くめぐり、酸素や栄養分を届け、老廃物を運び出し、日々健康を維持しています。
ところが体が冷えると、余分な脂肪分が固まって体内に残ったり血管の内側に付着したりします。のみならず、冷えを感知した体は血管を収縮させるので、血流はますます滞り、血管は詰まりやすく、血液はドロドロに。
これによって、肌荒れや太る要因のほか、動脈硬化や糖尿病、肝臓や腎臓の疾患など、深刻な病気の発端を作り出してしまうのです。
(『不調が消え、免疫力アップ 毎日の冷えとり漢方』16~17ページより引用)
残った肉じゃがを冷蔵庫に入れると脂が固まりますが、それと同じことが冷えた体内では起こっていると川嶋先生。体を温めると血流や代謝が回復するだけでなく、傷んだ細胞を修復するヒートショックプロテイン(HSP)が生まれるなど、うれしい連鎖がどんどん続くといいます。
カイロを貼るなら肩甲骨のあいだと仙骨に
漢方医学では、古くから「冷え」が「未病(まだ病気にはなっていない状態)」の代表的症状とされてきました。からだを温めることは、自然治癒力を高める第一歩。本書では暮らしにプラスしやすい「冷えとり」習慣として、漢方の考え方を生かした簡単な方法がたくさん紹介されています。
例えば、手足が寒い、ひざが寒いと感じるときは、その部分を温めるよりも、使い捨てカイロを2か所に貼るのが有効とのこと。貼る場所にもコツがあります。
『不調が消え、免疫力アップ 毎日の冷えとり漢方』43ページより(イラスト/くぼあやこ)ひとつは肩甲骨のあいだ。ここは心臓から出て全身に向かう大動脈が通っています。大動脈から温めれば、温まった血液が全身をめぐります。
もうひとつは仙骨付近。仙骨は骨盤の真ん中にある背骨の土台。このあたりは自律神経が通っていて副交感神経の中枢があります。温めると毛細血管も開いて全身の血行促進に。
(『不調が消え、免疫力アップ 毎日の冷えとり漢方』43ページより引用)
低温やけどを防ぐためには、カイロの選び方も重要だそう。一般的な「貼るカイロ」の発熱温度は60~65度とやや高めのため、40度ほどの低温タイプを選ぶと安全です。
「足先にアルミホイル」で手強い冷えを解消
冷え対策はいろいろ試してきたけれど、足先が冷えてしょうがない……。そんな方にぜひ試してほしいのが、アルミホイルを使った小ワザです。
『不調が消え、免疫力アップ 毎日の冷えとり漢方』51ページより(イラスト/くぼあやこ)10cm四方程度に切ったアルミホイルを、くつ下の上から指先を中心に覆い、軽くぎゅっと押さえる。その上に、もう一枚くつ下を重ねてはくか、そのまま靴をはいてもよい。
(『不調が消え、免疫力アップ 毎日の冷えとり漢方』51ページより引用)
アルミホイルには「輻射熱」という物体から放たれる熱を反射する性質があります。足先に巻くと体から放散する熱がアルミホイルに反射されるため、熱を足先に閉じ込めることができるのだとか。
最初は「つま先がガサガサしそう」と心配でしたが、くつ下を重ね履きするとそれほど気になりません。何よりも、キッチンからアルミホイルをひとちぎり拝借するだけで、手軽に「冷えとり」ができるのが魅力。足先が自分の熱でぽかぽかしてくる感じが気持ち良く、想像以上の温め効果を実感しました。
漢方の「冷えとり」テクニックには、日々をより元気に過ごし、美しく生きる知恵が詰まっていると川嶋先生。毎日の暮らしを健やかにするヒントが、きっと見つかるはずです。
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