料理家・松本日奈さんが、台所を中心にまわる日常や「おいしい」に関わるモノやコト、台所仕事の負担を軽くして楽しいものにかえる“ひと工夫”をつづる連載「テーブルに ひと工夫」。

今回は、春の訪れを楽しむひと皿を紹介してもらいました。

素材の香りを蒸気のなかに閉じ込める

少しずつ暖かくなってきて、春の芽吹きを感じる野菜たちを見かけるようになってきました。今時季の繊細な香りとフレッシュなほろ苦さを持つ野菜たちは「蒸し煮」にぴったりです。

今回はスナップエンドウの青い香りを楽しむひと皿を紹介します。3月ぐらいまでが旬のブロッコリーをあわせてみました。素材の香りを蒸気のなかに閉じこめて、少しの生クリームと一緒に柔らかく煮ればできあがり。春を先取りしてしまいましょう。

スナップエンドウ、ブロッコリー、チキンのエチュベ

<材料(2皿分)>
鶏もも肉…1枚
スナップエンドウ…8本ほど
ブロッコリー…1/2株
塩・こしょう…各適量
オリーブオイル…適量
生クリーム…40cc
白ワインまたは水…40cc

<作り方>
(1)鶏肉は1枚を半分にし、塩・こしょう、オリーブオイルをなじませて15分ほどおく。スナップエンドウはへたと筋を取り除く。ブロッコリーは小房に分ける。
(2)鍋にオリーブオイルを熱し、鶏肉を皮目を下にして焼き、焼き色をつける。
(3)鶏肉を裏返したら、白ワインを加えて蓋をし、2〜3分蒸し煮にする。蓋を開けてスナップエンドウとブロッコリーを加えて、軽く塩・こしょうをし、蓋をしてさらに3分ほど煮る。
(4)最後に生クリームを加えてひと煮立ちさせたらできあがり。

写真左:15分ほどマリネした鶏肉は、皮目から焼いていく。焼き色がついたら裏返して白ワインを入れ、2〜3分蒸し煮にする。/写真右:鶏肉を蒸し煮にしたら、ここでようやく野菜を投入。塩・こしょうをして3分ほど蒸し煮にし、生クリームを加えてひと煮立ちさせる。

エチュべ」とはフランス語で、水分をほとんど入れずに(入れるとしても少量)蒸し煮にして素材の味を引き出す調理法

生クリームを入れずにシンプルにいただくのもおいしいです。また、アスパラガスや菜の花、たけのこなどもあいますよ。ぜひお試しくださいね。

松本日奈(まつもと・ひな)
料理家。北イタリア留学中に現地の料理人やマンマから料理を学ぶ。オリーブオイルや白バルサミコなどの調味料を使い、シンプルで素材を生かした家庭料理を提案。レシピ開発やケータリング、ひな弁と活動の幅を広げる。自宅などで開催する料理教室は毎回キャンセル待ちになるほどの人気ぶり。目黒区鷹番にある食材店「ラ・プティット・エピスリー」を営む夫、ふたりの娘、愛犬と暮らす。インスタグラム

写真・文/松本日奈

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