そんなわたしが夏に手放せないのが、手ぬぐい。もともとデザインが好きで集めはじめた手ぬぐいなのですが、いまでは町家暮らしの生活に欠かせない必須アイテムになっています。
最近のお気に入りは、こちら。
たばた絞りの手ぬぐい。(1,300円)
出会ったのは、ポップな足袋や、かつてはマリメッコでも活躍した、脇阪克二さんのデザインテキスタイルで知られる「SOU・SOU」。ここで扱われている有松鳴海絞りの手ぬぐいには、それまで抱いていた「絞り染め」の概念を覆す、シンプルでかわいいものがたくさんあります。
なかでも、張正の「板締め」という手法が好みで、いろいろと買い求めていたのですが、ある日、同じ板締めでも、張正さんのものより、どこかふわっとやわらかなテイストのものがあることに気がつきました。
それが、「たばた絞り」の手ぬぐいです
板締め作業工程。白地の布を折り畳み、その名の通り板に挟んで締める。
折り畳んだ布の一部をちょんちょんと浸したら、板を外して水にさらす。
畳み方や染め色を変えるだけで、表情の違うものができあがる。
先日発売されたSOU・SOUプロデューサー・若林剛之さんの著書「伝統の続きをデザインする SOU・SOUの仕事」のなかに、このたばた絞りのことが詳しく書いてありました。
なんと、この絞りを手がけている田端和樹さんは、京鹿の子絞り業界最年少の若手職人さん。つまり本来の家業は、布を小さくつまんでくくるタイプの絞り染め。
こちらは、京鹿の子絞りの基本的な手法のひとつ、帽子絞り。
全身を使い、糸でしっかりと絞ります。
けれど、伝統の継承に危機感をもつ若い職人さんと、時代を読む目をもつクリエイターが出会うと、時にこうしておもしろい化学反応が起こるのです。
若い感性でどんどん技を習得していく田端さんを見て、自社販売もできるようにと、WEBサイトをプレゼントしたという若林さんもオトコマエなら、その心意気を受けて、毎日律儀に工房のようす、ものづくりの現場を自らブログで発信している田端さんの実直な姿勢もステキだなぁと思います。
伝統の手しごとでありながら、現代にわたしたちが使いたくなるデザイン。
結んだり、畳んだり、かけたり、切ったり、ねじったり、敷いたり、かけたり、拭いたり。とりわけ、しっかりと汗をかく夏はタオルとは比べものにならない速乾性がなによりもうれしかったり。使う端からジャブジャブと洗濯して、お気に入りの手ぬぐいを物干にずらりと並べて干すのが、なんといっても気分がいいのです。
[SOU・SOU,たばた絞り]
手ぬぐい/一ノ井川のほとり
1,300円(税込)
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(高橋マキ)