入口でお供え料をおさめてからローソクを受け取り、水に足をつけて御手洗池にかかる輪橋をくぐります。
今年は7月25日(金)~29日(火)。毎年、土用の丑の日の頃、京都の世界文化遺産・下鴨神社でおこなわれる夏の風物詩「みたらし祭」。平安時代は罪やけがれを祓う貴族の禊の行事でしたが、今では誰でも参加でき、子どもたちも満足気。その間、参道には出店が並び、境内ではかき氷や、みたらし団子を食べることができるのです。
御手洗池前の井上神社祭壇にローソクをお供えして池からあがります。
普段は立ち入ることのできない「御手洗川」に足をひたし、火のついたロウソクを手に「御手洗池」まで水の中を進む「足つけ神事」は、朝の5時半~夜の22時まで長い時間おこなわれているのもありがたいかぎり。仕事の前後に立ち寄り、膝まで水につかり無病息災を祈ることができます。
神様へのお供えものには、みたらし団子や、京野菜が。
御手洗池には古くから「土用が近づくと清水がこんこんと湧き出る」といういわれがあり、池の水で足を清めれば、心身のけがれも消え去り、安産の効果もあるとされてきました。今では、真夏の太陽の日差しをあびて熱のこもった体を、ひんやり涼ませようとやってくる家族連れも。冷たく澄んだ水があまりに心地よく、お供えを終えたあともひとしきり池の中を行き来する人が多いのも微笑ましい光景です。
下鴨神社西側にある、みたらし団子発祥の店「加茂みたらし茶屋」。みたらし祭の期間中は、下鴨神社の境内にも出店が出ます。団子の5つの玉は、人の体(五体)を表しているともいわれています。
それから祭りのあとは、参道の出店に立ち寄るお楽しみも待っています。御手洗池の水泡をかたどったのが起源とされる「加茂みたらし茶屋」のみたらし団子と、「下鴨神社氷室神事」の古事にならい再現された「さるや」のかき氷を味わえば、さらに身も心も満たされるはず。
通常時も境内にある茶店「さるや」では、夏の間、かき氷がメニューに並びます。
時間があれば下鴨神社から歩いてすぐの、出町柳三角州にも立ち寄ってください。左岸から右岸にかかる、亀と千鳥の飛び石がなんとも愛らしいのです。おとなもこどもも、暮らす人も旅行者も、一緒になってぴょんぴょんと跳ねて渡ったり。石に腰かけ川の流れに足をつけ、読書をしたり、もの思いに耽っている人もいます。
下鴨神社から歩いてすぐ、出町柳の三角州。水に足をひたし、思い思いに過ごす人々。
京都は7月いっぱい、祇園祭もおこなわれているので、ふたつの京都の夏の風物を合わせて体感してみてください。京都までは難しいという方も、近所の神社で夏ならではの祭りや行事がないだろうかと、気にかけてみてください。祭りや行事の習わしは、普段の暮らしを豊かに過ごすための先祖から伝わる知恵のひとつですから。