「私はいったいなにをやってるんだろう。本当は今頃○○になっているはずだったのに」。そんな言葉が出る夜も、生きていればあるものです。「このまま歳をとって、何者にもなれずに終わるのかな......」なんて一抹の寂しさがよぎるのは、今に不満があるからなのかもしれません。

そんな感傷的な気分になったときに、グッとしみ入る言葉がありました。それは益田ミリさんの著書『ほしいものはなんですか?』のなかから、「何にもなれなかった」とつぶやいたお母さんをみて、子どもが思ったこんなセリフです。

ここに存在すること自体が、すごいこと

木から落ちたどんぐりは

全部が木になれるわけではなくて

鳥に食べられたり踏まれてつぶれたり

芽が出られないようなところに転がっていったり

木になるってどんぐりには大変なことなんだって、先生が言ってた

だけどママは、もういるんだ

それは、

とても、

すごいことなんだ

だぶんこのどんぐりにとっては

(『ほしいものはなんですか?』125-126Pより)

専業主婦だけでなく、会社員であっても何であっても、現状が理想とちがったときは「何者にもなれなかった」とつい思うこともあります。でもそれは描いていた理想とは違うだけで、「今の自分になれた」ということなのです。

ここにこうして存在していること自体が凄いこと。それを改めて実感させてくれるお話です。

[ほしいものはなんですか?]

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