来年、2016年に、創業400年を迎える佐賀県の有田焼から、思わず欲しくなるブローチが登場しました。
その名も「Porous(ポーラス)」。好きな香りを持ち歩くことのできる、小技の効いたブローチです。
400年、有田焼が地域で守られてきた理由
日本で初めての磁器である有田焼は、来年で創業400年を迎えます。
有田は、日本を代表する焼き物の町のひとつ。有田焼が衰退することなく、4世紀にわたって発展してきたのには理由があります。
それは、数々の窯元や商社が一体となり、「有田焼産地」としてそのノウハウを他にもらさずに守ってきたから。窯元と商社は完全に分業し、窯元は製造に、商社はそのルート拡充に専念。役割分担をきっちりとし、かつ完璧に連携をとりながら、地域全体でそのノウハウを守り、発展させてきたのです。
「伝統×ファッション」がたどり着いた答え「Porous」は「有田焼をファッションの分野に」と考えたヤマト陶磁器・山口武之さんのアイデアと、磁器の特性を食器以外の分野に応用した商品をつくっている久保田稔製陶所・久保田剛さんの技術によって生まれました。
商社と窯元、それぞれのプロの意見がぶつかりあって生まれた新しいアイテム。「時代に寄り添いながら、大事なものを守り続ける」。この考え方こそが、まさしく有田焼の伝統です。
磁器に無数の小さい穴が開いている多孔質セラミックという素材は、水を吸い上げることができます。ティッシュペーパーが水を吸うのと同じ、毛細管現象です。これに目を付けたのが山口さん。「吸水性」「保湿性」という特徴を生かせないかと考えました。
生まれたのは、アロマを含ませることができるブローチ。まるで小さなディフューザーのように、ブローチからふわっと香りが立ちます。香水やアロマを直接肌につける必要がないので、肌が弱い人にもオススメです。
ぬくもりを生むエコな技術さらにこのPorousにはもう1つ、アイデアが隠されています。焼き物の材料である陶土を作る際に出る不要な物質「けい」を、利用しているのです。
通常、「けい」はさらさらしていて粘り気がないため土にしづらく、捨てられてしまいます。ですが今回、けいならではの風合いをブローチにいかすことができました。それは、手に触れたときに「優しさ」を感じるような質感です。
香りをまとえること、やさしいぬくもりを感じられること、そして、磁気であるため、さまざまな形に形成できること。そんな理由から、すでに多くのバイヤーが注目しています。
ブローチは、つけなくても困らない、まさにファッションのプラスワンアイテム。だからこそ、身につける人のこだわりや遊び心が反映されます。ぜひ、あなたの「プラスワン」を見つけてみてください。