私は初めての入院で凄く心配になっていたのですが、娘はなんと「ワ~イ! ニュウインだ! なんだかホテルみたいだね、かべがピンクのおへやがいいな~。」とずいぶん呑気です。でもひと晩経つとすでに飽きてきたようで、ずっと部屋にいるのが退屈でたまらない様子。病気といっても5歳児なのでパワーが有り余っているのです。私の方が寝不足でもうろうとしているような......。
それで急いで一度家に戻り、絵本やホームワーク、パズルなど、娘が楽しめそうなものを掻き集めて病室に戻りました。そういえば少し前に偶然、おもちゃ屋で見つけて買っておいたものがあったのを思い出しました。それは子供用のソーイング・キットなのですが、アメリカではこういう子供向けのクラフトや実験キットのようなものがとても充実していて、デザインも可愛いものが多くて面白いのです。
娘に渡してみると「わぁ! やりたい、やりたい!」と目を輝かせて言うので、早速やらせてみることにしました。
ボックスには、フェルト、布、刺繍糸、糸など、裁縫に必要なものがすべて入っていて、可愛いお人形が作れるようになっています。針は刺繍針くらいの太さでプラスチックで出来ていて、子供が使っても刺さらないように出来ているのですが、これが逆に布に刺しにくくてちょっと不便。そこで途中で普通の刺繍針を与えてみたのですが、するとすんなり上手に縫うので驚きました。最初は少し難しいかなと思い、なみ縫いを教えたのですが、試しに返し縫いを教えてみると、意外なことに結構ちゃんとできるのです。
あぁ子供の限界というのは親が勝手に作りがちだなぁ、と思って反省しました。娘は夢中になって、私が休憩だと言うまでずっと縫い物をやりたがります。そしてその間、咳をするのも忘れているようで! 診察で病室に入ってきた先生も「なんて良いアイディアなの! それにこんなに小さくても上手に出来るものなのねえ」と感心していました。そんな風に過ごしているうちに娘の具合も良くなり、無事に退院することが出来ました。
初めての入院で 私は心配と緊張でいっぱいでしたが、色々と学ぶことが多く、とても勉強になりました。病気にも関わらず前向きな子供達の姿をたくさん見て、なんだか私が元気を貰ったように思います。咳も止まり、静かに眠る娘の姿をいつになく貴重に、幸せに感じる夜でした。