お店の名前にもなっているユーゴ・デノワイエさんは、三ツ星レストランのシェフたちを顧客に持つパリのカリスマ肉食人として知られています。
牛を育て、職人ならではのカット技術を施し、調理を経てお皿に盛る。そんな「肉職人の仕事は、牧場から料理まで」という哲学をもつユーゴさんにお話を伺いました。
「ナチュラル」にこだわったお肉
ーープロの料理人がリピーターになるほどおいしいと評判ですが、肉職人を目指そうと思われたきっかけはどのようなことだったのですか。
ユーゴ:じつは学校を卒業して、あまりにも将来のことが見えなかったので、知人のところで肉職人の修業をしたのがきっかけなんです。
でも、最初に肉に触れたときからこの仕事が好きだと感じていました。それに、30歳くらいまでは朝・昼・夜と3食ステーキを食べるほど、僕自身が肉好きでした。肉自体の味にあきることなく、いまでも新しい食べ方を発見しています。
ーーおいしいお肉を提供するためにこだわっているポイントは?
ユーゴ:自然の流れにそったかたちで牛を育てることです。人間もそうですが、いいものを食べると健康が保てます。わたしたちの育てている牛のエサには、おいしい水と化学肥料が入っていない有機の穀物や飼料を与えています。
また、牛たちの環境もいっぱい動きまわれるところで育てるようにしています。そうすることで、メンタルからも元気に育ち、おいしい肉になります。
この方法は、農家をたくさんまわり、27歳くらいから自分で牛を飼い始めて研究した結果です。遺伝子組み換え大豆を与えられ、家畜小屋でじっとしていると衛生上もよくないし、自然のものを食べていないので、お肉がおいしくなくなってしまうのです。
海外初出店は一番ハードルの高い日本から
ーー海外初出店としてなぜ日本を選ばれたのでしょうか。
ユーゴ:日本に出店するのがいちばん難しいと感じたからです。フランスはたしかに、地方ごとに最高級の食材があると思いますが、デイリーの食事で考えると食文化がすすんでいて通の人が多いのが日本だと思っています。牛肉の輸入規制も厳しいですし、あえて難しいところから始めようと思いました。
ーー最後におすすめメニューを教えてください。
(左)フランス産熟成肉骨付きリブロース 20,000円〜/kg(右)クリスチャン・パラ氏のブーダン・ノワール 1,100円
ユーゴ:2年半ほど前から、日本店のための牛を育てるところから準備しました。いちばんのおすすめは、仔牛のローストです。肉とは思えない甘さと柔らかさで、マグロに似ているかもしれません。塩こしょうのシンプルな味付けで、素材そのものの味わいが楽しめるようになっています。
11月4日のオープンから12月中旬まで、すでに2階のダイニングには予約が殺到しているそうですが、1階ではお肉も売っているそう。部位によって料理の仕方、焼き方など好みを聞いたうえでアドバイスもしてくれるので、おうちでの肉会によさそうです。
住所:東京都渋谷区恵比寿南3-4-16
2015年11月4日(水)オープン