なんとなく押し付けられている"普通"という枠。

フリーターより正社員がえらい、とか、女性は結婚するべき、とか。正直心のなかでは「うるさいなあ」という感じ。

そんな見えざる同調圧力に「NO」と言ってくれる映画を見つけました。

ティム・バートンが描く「奇妙」な世界

それは2017年2月3日(金)から全国ロードショーとなる『ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち』。

監督を務めたのは、『チャーリーとチョコレート工場』や『シザーハンズ』などで知られるティム・バートンです。

物語の主人公は、フロリダで生まれ育った内気な少年・ジェイク。唯一の理解者であった祖父を亡くし、遺言通りにイギリス・ウェールズの小さな島にやってくると、見つけたのは森のなかに佇む古めかしい屋敷。そこに住んでいたのは、女主人であるミス・ペレグリンと奇妙な能力を持つ子どもたち。とまどいながらも、ジェイクは彼らと心を通わせていく...というストーリーです。

もともとは、2011年に出版されたランサム・リグズのデビュー小説が原作となっている本作。奇想天外なストーリーにティム・バートンらしいダークファンタジーワールドが加わって、スクリーンに広がるのはまさに「奇妙」な世界。

映画のなかに原作の世界観を落としこむにあたって、ティムは

「この作品は、原作があるけれども、映画化するにあたっていくつか変更した点があるんだ。本を"読む"という体験と映画を"観る"という体験は違うからね。

たとえば、キャラクターの設定。エマという女の子が原作では火を使うんだけど、映画では宙に浮くという能力に変えたよ。『少女が宙に浮く』というのがすごく詩的に感じたんだ。そんな風に、原作が持つ謎めいた部分は残しつつも、映画として楽しめるように変更していったよ」

と語っていました。

「奇妙なところがあったって別にいい」

『ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち』に込められているのは、"奇妙であること"を肯定し、まっすぐに生きていこう、というメッセージ。

作中には、体が透明な男の子や、不思議なマスクをかぶった双子など、とにかく奇妙な能力を持つ子どもたちが登場します。そして、そんな子どもたちに囲まれていくうちに、ジェイクがこれまで持っていた"普通"への概念こそが、非現実的なものになっていく。

結局、何が"普通"なのか、なんて環境によって簡単に変わってしまうのです。いままで"普通"って思っていたことは、ただ自分がそう思い込んでいただけなんだ、と気づかされました。

「この映画には、僕自身共感するところがあります。子どものころからまわりに『変わっている』と言われたし、自分でもそう感じてきた。でも、どんなに変わっていると言われている人だって、皆"いい人"なんだ。芸術性に富んでいる人が多いし。穏やかだよ。この映画で奇妙なところがあっても別にいい、ということを言ってあげたかったんだ」

いわゆる"普通"の枠からそれると、どうしても「変わっている」というレッテルを貼られたり、白い目で見られたりすることが多くあります。

でも、世間が決めつける"普通"と違うからって責められる理由はどこにもない。「そのままでいいんだよ」と、ティムがスクリーンを通して背中を押してくれているような気になりました。

ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち

2月3日(金)全国ロードショー!

©2016 Twentieth Century Fox Film Corporation.

配給:20世紀フォックス映画

撮影・文/グリッティ編集部

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