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幼いころからアトピー体質だった私。
写真を見返せば体をかきむしった痕が残るものばかり。
小さい時はそんなことわかりもしませんでした。
ですが、自分の体が『汚い』んだと自覚する時は突然訪れました。
それは小学校2年生のプール開きの日。
同級生の女の子たちと更衣室で着替えをしていた時のことでした。
「その体どうしたの?」
クラスのリーダー核の女の子に聞かれました。
「アトピーだよ」
じろじろ見られて恥ずかしい、なんて思いながら答えたのを覚えています。
「え?それ伝染らないの?」
彼女は汚いものでも見るような目で私に問いかけました。
「わからない、伝染らないと思うけど……」
一緒にお風呂に入っていたお父さんもお母さんもお姉ちゃんも、みんな綺麗な体をしているから・・・
「ねぇ、それ伝染るやつだよね、汚い!」
「え?伝染るの!?」
「やだ!」
たちまち更衣室の女の子たちに広まり、口々に悪口を言われ始めました。
当時まだ幼い私たちにアトピーに関する知識はあまりなく、誰も弁解などできず、私の体は汚いという焼印を押されてしまいました。
次の授業が始まる頃にはクラス全体にそれは知れ渡り、男子生徒からも汚い、触ると伝染るなど菌扱いを受けました。
姉の裏切り
学校でのその騒動は私が母に告白し、治療に移ったことで落ち着きを取り戻しましたが、アトピーというのは一時治ったように見えても、またぶり返してくるものです。
私の体は毎年夏や冬になるごとにアトピーを繰り返し、痕や黒ずみがたくさん残っていました。
中学生になった時、夏にまたアトピーをぶり返してしまった私はいつものように姉に背中に薬を塗ってくれるようにお願いしました。
中学生に上がる前までは
「よくなれ~よくなれ~」
と塗り込んでくれていた姉でしたが、その時から変わってしまいました。
「姉ちゃん、また薬塗ってくれない?」
薬を手に姉にお願いしました。
「うん、いいよ。」
いつも通り快く引き受けてくれる姉。
背中をめくり、いざ塗ってもらう時でした
「うわ!汚い!触りたくない!」
今まで信頼していた人に裏切られるような経験でした。
小学生の頃に経験したことが一気に体の中を走り抜けて、気付いた時には目から涙が溢れていました。
ごめんね、と一言残し私はその場を去りました。
父も母もパチンコが趣味の人間でしたから、晩御飯を食べた後は家には居ません。
洗面所の鏡を背に泣きながら自分の体を悔やみ薬を塗りました。
その時の背中は確かに、汚かったです。
いろんなところが切れはじめる
中学3年生になった頃、アトピーが部分的に出るようになってきました。
汗がよく出る部分、首、脇、胸の下、足や手の関節部分が主でした。
多少美意識も目覚めている時期なので、体をなるべくかかないように、日中はとにかく無意識にかいてしまうのを辞めること、寝るときも手首を絞められる手袋を自作し眠っていましたが、翌朝には自力で取ってしまっていることがほとんどでした。
その頃から各部分がピリッと痛むようになってきます。
痛む時はその部分が伸ばされた時。
耳の後ろ、脇、手首、足首。痛んだ後は必ず出血していました。
薄く黄色い汁のようなものも出てきて、努力とは裏腹に自分の体は益々汚くなっていきました。
そんな私を好奇の目で見る人は少なくありませんでした。