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子供のころから、両親に歯並びの悪さを指摘されてきました。

私の歯は、歯の大きさに対して顎の大きさが足らず、特に前の二本の歯が大きく、ハの字型に生えていて、その後ろの二本が隠れてしまっていたのです。

小学生の頃は、その歯並びの悪さも愛嬌の一つと見えていたのですが、中学、高校と進むにつれて、特に母からは「矯正した方がいい」と頻繁に言われるようになりました。

当時の写真を見ると、元々目鼻立ちがはっきりした顔の中で、口元がガチャガチャとした印象で、更に顔立ちのくどさを増しているように見えます。

周りには、矯正をしている友人も多くいたのですが、月に一度歯医者へ行かなくてはいけない、その後の痛みは強烈で、何も食べることができないと聞き、尻込みする一方でした。

一番嫌だったのがあの銀色のブランケット、矯正器具です。

当時の私は「一番女として評価が高い今の時期に、あんなものを付けるなんてありえない」と考えていたのです。

そして、周囲に比べて私自身が歯並びの悪さを気にしていなかったため、何度となく繰り返される両親や歯医者さんからの矯正の勧めにも、絶対に首を縦に振りませんでした。

私の歯並びって恥ずかしい?

自分の歯並びについて疑問が生じたのは、学生時代、20歳の夏休みにオーストラリアのシドニーへ短期留学した時でした。

日本では、私程度の歯並びの悪さは珍しいものではありません。

しかし、ここでは大人は全て真っ白でまっすぐなキレイな歯をしているではありませんか。

ホームステイ先には、小学生から高校生の3人の子供がいたのですが、中学生と高校生の男の子は、まさに矯正中。

一番下の小学生の女の子も、もうしばらくすると矯正をする、と言うではありませんか。

確かに、街を歩くと、矯正器具を付けた子供の姿が目に留まります。

それも日本のような銀のブランケットだけでなく、オレンジやピンク、グリーンといった色の子供もいます。

この国では矯正は全く珍しいものではなく、していて当たり前のものなんだ、と実感しました。

母が言っていた「海外でその歯並びは恥ずかしい」という言葉が、ずっしりと伝わってきました。

そして、通っていた語学学校で聞いた言葉に衝撃を受けたのです。

「西洋では歯並びが悪いのは育ちが悪いしるし。多少教養がある人間は、みんな矯正をして歯並びを整えるものよ。」

教えてくれた人は、単なる一般常識として伝えてくれただけなのだと思います。

しかし私にとっては初めて「自分の歯並びが恥ずかしい」ことを認識した瞬間でした。

矯正まではまだ遠い







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