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「妊娠なんてしやがって」命の危険を感じるほどのDVを経験した私が思うこと [体験談]
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「妊娠なんてしやがって」命の危険を感じるほどのDVを経験した私が思うこと [体験談]

2015-12-08 18:00
    うつむく女性の後ろ姿出典:Unsplash

    親密な関係にあるパートナーからの暴力、通称DV。

    暴力というと、殴る蹴るなどの行為を思い浮かべがちですが、DVには5つの要素があるとされています。

    DVの5つの要素

    • 無視する、暴言をはくなどの精神的暴力
    • 殴る、蹴るなどの身体的暴力
    • 望まないセックスを強要する、避妊に協力しないなどの性的暴力
    • 金銭の自由を与えない、働くことを禁止するなどの経済的暴力
    • 行動を監視する、家族や友達との付き合いを禁止するなどの社会的暴力

    これらの特徴は、被害者の自尊心を著しく傷つけるということ。

    もし恋愛のせいで自分に自信がなくなっていっているのなら、それはDVかもしれません。

    私がDV被害にあった話

    ベンチで仲良さげに座る男女の後ろ姿

    私と彼は、大学で同じクラスになったことがきっかけで知り合いました。

    出会った最初の印象は「まじめそう」。

    まったく異性として意識していなかったのですが、半年経ったころに開かれた飲み会で、酔った勢いで関係をもってしまいました。

    当時は彼女がいると言っていたので、「どうしよう、彼女がいる人とやっちゃった」と思ったのですが……

    1週間後に彼から連絡があり「彼女と別れた」と言われたのをきっかけに付き合うことに。

    最初の5か月間は、少女漫画から飛び出てきたみたいに優しい彼氏でした。

    脚が疲れたといったらおんぶしてくれたり、「あの服かわいい」って言ったらすぐに買ってくれたり……。

    「愛してるよ」という言葉も何度も言ってくれて、本当に大切にされていると思いました。

    彼の浮気発覚をきっかけに、彼が豹変

    ベッドで頭を抱え込む女性

    付き合って4か月たったころ、なんと妊娠が発覚。

    昔彼に、「前の彼女に俺の子供ができたことがあって、中絶してるんだ。子どもを殺してしまった罪悪感で、俺は子供ができない体質になっちゃったんだよ」と言われていたんです。

    今思うと変な話なのですが、当時の私は彼の言葉を信用し、避妊を一切せずに性行為をしていました。

    妊娠を彼に告げると、返ってきた返事は「おろせ」。

    私もまだ大学生だったのでおろす以外に手段はないと思っていましたが、母性本能も芽生えつつあり、葛藤する日々が1か月ほど続きました。

    そして交際開始から5か月経った頃、夜中の3時にいきなり彼から電話が。

    でてみると、それは女の声でした。

    「あんた私の男に手をだしてタダですむと思ってんの? あんたなんて彼にとってただのセフレ。早く別れなさいよ! 」

    突然のことに呆然とし、何も言い返せなかったのですが、実は彼はまだ元カノと別れていなかったんです。

    後日彼と会った際に、元カノのことを問い詰めると、今まで優しかった彼が豹変しました。

    壁に押し付けられ、いかに私がダメな人間か、いかに私の家族が愚かか、いかに私の友達が悪い存在か、永遠とののしられたんです。

    あげくの果てに「妊娠なんかしやがって! てめえの産婦人科代にいくら払ってやったと思ってんだよ! 」

    と言われました。

    あまりの豹変ぶりに何も言い返せず、その後1週間近く彼の家に監禁されました。

    監禁されている間もずっと、私がどれだけダメな人間かを言われ続け……。

    そのうちに私も「私が悪いんだ。私が彼を怒らせてしまった。私に原因があるんだ」と思うようになっていきました。

    今思えば自分の浮気をごまかすために怒鳴りちらしていたんだと思います。

    だけど当時は恐怖でまともな思考ができませんでした。

    私の全てを支配した彼の暴力

    女性の腕をおさえる男性の腕

    ストレスのせいか、結局子どもは流産してしまいました。

    1週間監禁されたあと、私はなんとかスキをついて、彼のもとから逃げだすことに成功。

    ですが次の日携帯をみてみると、彼から200件の不在着信があり、さらにわざわざ私の家まで押しかけてきて、何度も謝られました。

    おろかな話ですが「優しい彼に戻ってくれた」と思い、私はまた彼のもとに戻ってしまったんです。

    そこから彼の支配は、私の生活すべてにおよびました。

    まず服装。露出のはげしい服は禁止され、着ることを許されたのはタートルネックとダボダボのパンツのみ。

    体毛をそることも禁止され、眉毛を整えるのも許してくれませんでした。

    LINEやFacebookなどのSNSアカウントも全て消去され、連絡をとっていい友達も制限されました。

    もちろん友達と会うのも禁止。

    どんどん社会から隔離され、私には「彼しかいない」状態になってしまいました。

    今思えば、それも彼の策略だったんだと思います。

    また、私もエッチは嫌いではないですが、無理やりされることも。

    いきなりアナルセックスを強要され、あまりの痛みで2週間近く産婦人科に通わなければならなかったこともあります。

    別れを切り出すと逆上され暴力をふるわれるので、私もあきらめてしまい、1年半が経ちました。

    命の危険を感じ、別れる決意を

    はだしで歩く女の子の後ろ姿

    さすがにLINEを使えないのは不便なので、1年半たったころ、私は彼に内緒でLINEのアカウントをつくり、友達と連絡をとっていました。

    それが彼にばれてしまい、怒った彼は私に馬乗りになり「てめえ男と連絡とってんだろ! 浮気してるんだろ! 」と怒鳴られました。

    さらにいきなり服を脱がされ、生理中にもかかわらずいきなり挿入されたんです。

    あまりに乱暴な扱いに私もついに堪忍袋の緒が切れ、彼を思いっきりビンタしました。

    初めての抵抗でした。

    すると彼が今までに見たことないほど怖い表情になり、私の首を思いっきり締めつけてきました。

    意識がもうろうとするほど、強い力でした。

    このままじゃ殺されると思い、必死の思いで抵抗し、コートも持たずに彼の家を飛び出しました。

    彼に住所がばれている家に帰るのは危険だと思い、友達の家に駆けこみました。

    そして友達に支えてもらいながら彼に電話をかけ、

    「これ以上一緒にいるとあなたは私を殺してしまうかもしれないし、逆に私があなたを殺すかもしれない。もう別れてください。別れないなら警察にいきます」

    とはっきり伝えました。

    命の危険を感じたことが、私の目を覚まさせてくれました。

    さすがに警察という言葉にびびったのか、それ以降彼から連絡がくることはありませんでした。

    こうして1年半に及ぶDVから、解放されたんです。

    なぜ、DV男と別れられなかったのか

    手をつなごうとする男女

    なぜ1年半もの間、DV男と別れることができなかったのか。

    今冷静になって考えてみると、3つの要因があったように思います。

    私が悪い、というマインドコントロール

    常日ごろから、彼は私の人間性や私の周りにいる人を悪く言ってきました。

    いかに私がダメな人間で、彼がいないと何もできない女なのかを、洗脳するかのように言われ続けました。

    また、最初の5ヶ月間は彼がすごく優しかったので、私が甘えてわがままを言っていたのも事実。

    その負い目もあり、彼の「私はダメな人間」という言葉を受け入れてしまっていました。

    どんなに理不尽な暴力をうけても「私が悪いからいけない」と思い込んでいたんです。

    私が愛を教えてあげる、という母性

    また、私はいつも「彼は愛情を知らない人。私が愛情を学ばせてあげよう」と思っていました。

    彼の家庭環境はとても複雑で、両親からまっとうな愛を受けずに育ちました。

    だからこそ、なんとか私が彼に愛情のあたたかさを教えてあげなきゃ、と思っていたんです。

    暴力をふるう彼に、一種の母性が芽生えていたんだと思います。

    本当は彼は優しい人、と信じる気持ち

    そして私は「彼は本当は優しい人」とずっと信じていました。

    いきなり怒って怒鳴ったりつきとばしてきたと思ったら、次の日には優しい彼に戻っている。

    そんな繰り返しでした。

    優しい彼と過ごす時間は本当に楽しくて、愛情をめいっぱい感じられる幸せな時間だったんです。

    恐怖にたえれば、また優しい彼に戻ってくれる。私が我慢さえすれば、元の彼が帰ってきてくれる。

    そんな心理状態になっていました。

    DV男の特徴とは

    キスしようとしている男性と女性

    一概には言えませんが、DVをしてしまう男性には特徴がある気がします。

    女関係がだらしない

    私の彼は、元カノと縁が切れていないにも関わらず私と付き合い始めました。

    そんなことをするのは、そもそも「彼女」という存在を大事に思っていない証拠。

    本当に女性を大切にしたいなら、ちゃんと元カノとの関係を清算してから次の恋に進むはずです。

    女性の気持ちを考えない男性は、暴力にはしる傾向も高めな気がします。

    すぐ身体の関係にもっていこうとする

    また、身体の関係を先にもとうとするのは、理性が抑えられない証拠。

    私と彼はエッチをしてから付き合いました。確実に順序がおかしいんです。

    まあこれは私にも非がありますが……笑

    でも本当に好きなら、告白して、付き合って、キスをして、やっとエッチをするのが正しい順序なはず。

    理性が抑えられない男性は、暴力衝動も抑えにくいのではないでしょうか。

    友達がいない

    また、「人とあまり関わっていない」「友人がいない」こともDV男の特徴かもしれません。

    私の彼は私と付き合っている間、1度も友達とでかけることがありませんでした。

    誰かから連絡がくることもなく、いつも私と一緒。

    人間関係を築くことが苦手だったのかもしれません。

    友達と絆を育めない男性は、恋愛においても良い関係を築くことが困難なのでは。

    「愛情」に飢えている

    私の彼は複雑な家庭環境で、両親からちゃんと愛情を受けずに育ちました。

    愛情を知らないから、愛情の伝え方もわからない。

    相手を束縛して支配することでしか愛を確認できない、伝えられない。それが「DV」という形で現れてしまうのではないでしょうか。

    もちろん複雑な家庭環境の中でもまっすぐに育つ人はたくさんいるはずですし、愛情を知らないからといってみんながみんな暴力にはしるわけではありません。

    ですが何らかの形で「愛情に飢えている」男性は、DVにはしりやすい傾向があるかも。

    過去に自らもDVを受けていた

    また、私の彼は父親から精神的なDVをうけていました。

    出来が悪いとののしられたり、彼の父親が母親に冷たくあたる姿を目の当たりにしたり。

    「暴力は受け継がれる」といわれています。

    これは、DVを受けた子どもは、「暴力は許される」「暴力は耐えしのぐものだ」という概念をすりこまれ、自分が大人になったときに、DV加害者になってしまう傾向にある、ということです。

    DV被害を経て、私が気づいたこと

    ベッドの上でコーヒーを飲む2人の女友達

    1年半におよぶDV被害を経て、私は気づいたことがいくつかあります。

    助けを求めれば、手を差し伸べてくれる人はたくさんいる

    私は1年半にわたり友達との関係を遮断され、社会から隔離されました。

    それでも、彼に殺されそうになって友達に助けを求めたとき、すぐにかくまってくれた。

    妊娠が発覚したときも、友達は「金銭的援助はいくらでもする」と私を支えてくれた。

    家族も、何も言わない私を心配してくれていた。

    彼に私の家族や友達のことを悪く言われ、関わりをもつことを禁止されて、一時は忘れていましたが、

    やっぱり「家族」と「友人」は私にとってかけがえのない存在。

    そして今思うのは、「助けを求めれば、手を差しのべてくれる人は周りにたくさんいる」ということ。

    皮肉な話ですが、彼のおかげで、私の周りにいる人の大切さを再確認できたんです。

    恋人選びで1番大切なのは「誠実さ」

    また、男性を選ぶ目も大きく変わりました。

    それまでの私は、イケメンがいいだの、なんでもおごってくれる人がいいだの、「目に見える部分」しかみていませんでした。

    確かに彼は見た目もそれなりにかっこよく、いつも服やバッグを買ってくれていましたが、それが幸せな恋愛にはつながりませんでした。

    暴力はふるうわ、すぐにセックスしようとするわ、平気で浮気するわ……

    彼と付き合ったことで、男も女も結局「誠実であること」が1番大事で、お金や容姿は二の次だと、当たり前のことに気づいたんです。

    変わらなきゃいけないのは「自分自身」

    カメラ目線の女性

    法律でDVは禁止されているし、DV被害者のためのシェルターもある。

    DV被害者が助けを求めようとすれば、いくらでも手段はあります。

    でもどんなに周りの助けがあっても、「自分自身」が変わらなきゃ意味がありません

    DV男はマインドコンロトールが得意です。母性本能をくすぐる能力にもたけてます。

    過去のつらい体験を女性に打ち明けて、同情を買おうとするかもしれません。

    でもどんな理由も、DVの正当化にはなりません。

    恋愛とは本来、お互いが幸せになれる関係性のはず。

    ベタな言い方ですが、「幸せは2倍になり、悲しみは半分になる」関係なはずなんです。

    もし「自分に自信がなくなる」恋愛をしているのなら、DVの可能性をちゃんと考えてみてください。

    身体的、精神的、性的、金銭的、社会的暴力…… どれか一つでも当てはまるなら、それは立派な「DV」です。

    「自分は悪くない。これは理不尽な暴力だ」と気づき、「自分自身」の意識を変えることができれば、それはDVから逃れる第一歩になります。

    自分の意識が変わり、DVと戦う決意ができれば、周りの人や法的機関はかならず味方になってくれるはず。

    DVから解放された先に、自分に自信を与えてくれる幸せな恋愛が、待っているかもしれません。

    written by 町田真琴

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