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彩香、30歳。幸せになるための決意。「婚活美容」のはじまり(前篇)
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彩香、30歳。幸せになるための決意。「婚活美容」のはじまり(前篇)

2016-02-10 18:00

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    丸の内OLーー。

    学生のときはその響きに憧れたものだ。

    そして、その念願の「丸の内OL」になってはや7年。

    彩香は、今年30歳になる。

    30歳にもなると、社内でもそこそこのポジションを与えられる。

    でも、そのとってつけたような肩書きは、なんだか居心地が悪い。

    大学の同期のなかには、外資系やIT系で仕事をバリバリこなしている女友だちもいる。

    それこそ、起業して社長をやっているなんて子も。

    でも「私はそんなキャラじゃない」。彩香はそう思ってきた。

    入社したのは、大手の損害保険会社。実家を離れたくないという理由で、転勤のない職種を選んだ。一応「総合職」と言われているが、実際にやっていることといえばほとんどが事務作業だ。

    大学卒業後、早々に結婚した友だちもいる。

    あのころは、20代前半で家庭に入るなんて、どうしてそんなつまらない人生を選ぶんだろう、なんて思っていたっけ。

    アラサー、独身、彼氏ナシ。

    こう言うと「結婚を焦っているんじゃないか」「ひとり寂しく過ごしているじゃないか」と思われそうだが、実際のところ、28の歳まで彩香は自分の生活にこれといって大きな不満はなかった。

    結婚は、たぶん、タイミングが来ればできるだろうし、イベントのときも、女友だちと過ごせば寂しくないし、むしろ楽しい。

    なにも焦ることはない。そう思っていた。あの時まではーー。

    彩香には、4年半付き合った元彼がいた

    7年前、入社してすぐのころ、同期の男の子と付き合うことになった。内定式のあとの懇親会のとき、向こうから連絡先を聞いてきたのがきっかけだった。

    たしか、3回目のデート。江ノ島までドライブに行ったとき、告白された。それが23歳になる年の春。

    それから、27歳になるまで、4年半も付き合った。

    お互い束縛するようなタイプではなかったから、その4年半の間、彩香はいろいろな男の子とデートをした。それ以上の関係になったこともある。たぶん向こうもそうだっただろう。

    なかには、胸がときめくような出会いもあったけれど、やっぱり彼のとなりが居心地がよくて、危機はあっても、結局別れることはなかった。

    交際してから丸4年が経ち、5年目を迎えた年、大学の同期や、高校の同級生が続々と結婚し始めた。彩香はなんとなく、自分もこの波に乗って結婚するんだと思っていた。

    そう思うと、なんだか途端に恐ろしくなった。

    彩香は、女優並みの美人というほどではないが、一般的見れば「キレイ」「可愛い」と言われる部類の顔立ちをしている。

    実際、言い寄ってくる男も多かった。

    ちやほやされるのに慣れていた彩香は、結婚したら自由に遊べなくなることが憂鬱で仕方なかった。

    彼氏との別れ。そして、彩香の生活をガラリと変える衝撃のできごとが……

    お互い結婚について意識しながら、改まって口には出さない日々。

    彩香は、プロポーズは男の方から、サプライズが当たり前と思っていたし、もし、プロポーズされたらそういうリアクションをしようか、何度もシミュレーションを繰り返していた。

    「海外みたいに、プロポーズから盛大にやってほしいな。そしたらイエスと言わざるを得ないし」

    このまま結婚していいのか迷いつつ、それでも結婚したいと思っていた彩香は、自分の意志ではなく「あんな風にプロポーズされたら仕方ない」という言い訳がほしかったのだ。

    そんなことを考えながら、迎えた27歳の誕生日。期待していなかったといえば嘘になる。いや、むしろほぼ確信していたかもしれない「きっと、わたしは今日、プロポーズされるーー」

    しかし、そんな期待をよそに、彼からは結婚の「け」の字も出なかった。そのうえ、誕生日だというのに有楽町の適当な居酒屋でビールとつまみという散々なディナーだった。

    そして、誕生日デートから一週間後、突然別れを告げられた。

    正直、4年半の間に別れ話をした回数は数えだしたらきりがない。しかし、これまでは理由がはっきりしていた。たとえば、記念日を忘れていたとか、他の異性と仲良くしているのを見てしまったとか。でも、今回ばかりは理由がわからない。

    「なんで?」

    と聞いても、彼はただ

    「ごめん」

    と答えるだけだった。

    ここで引き止めてもしょうがないと思った彩香は、とりあえず別れることに同意した。

    彼と別れても、とくに寂しいということはなかった。むしろ、ほかの男性と食事に行っても、まったく罪悪感を感じない、その解放感にウキウキしたほどだ。

    それから一年。彼が結婚した。もちろん、彩香ではない女と。

    相手は、彼と同じ部署の後輩らしい。名前を聞くと、一度社内の交流会で見かけたことがある子だった。

    とりたてて美人な子ではない。むしろ、普通だ。ただ、肌が透き通るように白くてキレイだったことを覚えている。*

    そのときから、彩香の生活は一変した。

    自分の向かうべき道がまったくわからなくなってしまったのだ。

    彼は、彩香と付き合っているときから、彼女を気に入って懇意にしていたらしい。

    「男を盗られた」

    わたしが? どうして……?

    28歳をさかいに、周囲の男たちの態度が変わった

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