別にキラキラが好きなタイプでもないし甘いものに目が無い!みたいなタイプでもない。
「デザートは別腹だよね?」と言われれば、「いえ、同じ腹です」と答えたくなる私は、
昔からスイーツに興味がある人間ではなかったのです。
同じカロリーを摂取するならステーキが食べたい。もう一品頼めるならお米が食べたい。
そんな私が急に思った「パンケーキが食べたい」という衝動。
これを逃せば次は無い。そう思って友達を連れだし向かったのはお台場。
それなのに、
ルンルンとパンケーキ屋さんに向かいながら
「バナナトッピングにしよー♪」なんて笑いあい
入ったお店は、なぜかゴリッゴリの“イタリアン”でした。
全ては店舗の前に置いてあった牡蠣の看板のせい。
甘いものに目が無いタイプでも別腹でもないけれど、牡蠣には目が無い。
オイスターイズベツバラ。
あんなに甘いクリームとバナナでいっぱいだった私の口は、
牡蠣の写真を見ただけで完全に牡蠣の口。
後悔なんてあるはずない。むしろ望んでいたこと。
逆境でこそ、その人の真価が問われるというならば、私は胸を張って言える。
「私は、ただ、牡蠣が好きなんだ」
お台場の海を見渡しながら色々な牡蠣料理を楽しむアラサー2人。
ついでにミネストローネも、アヒージョも、ステーキも、ピザも頼んで、日々のあれやこれやらを話していたその時、
「reserve」の札が置かれた隣の席に、ある大学生と思われるカップルが座ったのです。
眼鏡をかけ短髪で、チェックのシャツを首元まで閉め、裾をパンツにインしている男性。
決してオシャレとは言えないけれど、清潔感溢れる佇まい。緊張しているのか姿勢を正して席に座る彼。
彼女の方は、頑張っているのが同じ女性から見てもよく分かった。白ニットにフレアスカート。
履きなれてないように見えたヒールの靴。そしてドレスアップしたい時につけるような大ぶりのイヤリング。
窓際の席だということを知り、嬉しそう席に座る彼女。
一目見て分かった。
私にとってはただのパンケーキを食べる予定が牡蠣に変更してしまったただのテヘペロな1日だけど
この2人にとって、今日その日は間違いなく「記念日」なのだ。
オーマイガー!!!!!
そう気づいた瞬間、急にそわそわしだすアラサー2人。
注目しすぎたらダメだ。せっかくの素敵な1日を私たちが邪魔したらダメだ。
でも気になって仕方ないの!!!!!!!!!!!
だって!!!!今!!!!!!
目の前にあるのは(正確には横だけど)SEISYUN!!!!!
恋のSYUNKAN!!!!!!!!
MUNEGA!!!!
DOKIDOKISURUYO!!!!!!!