YNA#73 「1999年を生き残ったぼくら」


インターネットがまだなかった時代って、「流通に乗ったものやテレビが言ってることはすべて正しい」って感じだったんよね。
そのせいでいまでもテレビがすべてなお年寄りがたくさんいるんだろうけど。

中学生のある日、ハッとさせられた書籍があって。
「このビルに自殺した岡田有希子の霊が出るという噂があるがウソである。地縛霊というものは死後4年経たないと現れないからだ」
っていうトンデモ理論w

このときようやく「本を出してても全然インチキなやつはいる」って分かった。

それでもまだ「ノストラダムスの大予言」は信じていたんだよね。
そう、去る6月にお亡くなりになった五島勉氏、最大のヒット作だ。

この本はほんとものすごいブームだった。

簡単に説明すると、1500年代に活躍した占星術師・ノストラダムスが書き残した予言詩を読み解くというもの。

もっとも有名なのがこの詩。

1999年7か月、
空から恐怖の大王が来るだろう、
アンゴルモアの大王を蘇らせ、
マルスの前後に首尾よく支配するために。

五島氏は、これを「1999年7月に人類が滅亡する」と訳した。

ぶっちゃけ意味わかんないよね?
でも、それ以前の詩をすでに起こった事件や災害と照らし合わせて、「ほら、これだけ的中している! ノストラダムスの予言は百発百中だ」とやられたあとだから、みんな信じたんよ。

ピュアだったよな。ぼくも日本全体も。

でまあ、それだけブームになったから当然反対派のひとたちもたくさん出てきて、そっちの本も読み進めるうち、なんとなく「あー、オカルトってそういうことか」って分かってきたんだけど、それでもまだどこか心の奥底に「21世紀を迎えることはできないのかも」というのがあった。

1995年、終末思想に憑りつかれたオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こす。
この年の1月には阪神・淡路大震災も発生していて、オカルトを現実が追い越していく感じがあった。