先日アメリカに外遊した安倍首相が、訪問先のトランプ大統領に、ツイッターで礼状を送りました。

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 私たちは、ここに「真の民主主義」の潮流を見ることができます。

 それは政治家が自らの活動や行動を可視化できるようになったということです。

 非常に大胆に行動するトランプ大統領を見ていると、昨今の民主主義は衆愚政治に陥ってしまうのではないかと不安にもなりますが、それはそれとして、新しい形でポピュリズムが進んでいて、それはそれで期待出来る面がいくつもあります。

 安倍首相のお礼ツイートの意味

 まずは、冒頭の安倍首相のお礼ツイートにはどんな意味があるでしょうか。

 従来からこのような時には官邸から米政府の公式なルートでお礼の言葉は送られていたことでしょう。今回もツイートとは別に正式なものが送られているかもしれません。しかし、それはごく儀礼的なものであり、事務レベルで処理されて、もしかしてトランプ大統領まで届かないかもしれません。やらなかったら、失礼なやっちゃなと問題になるかもしれませんが、やってさえいればほとんど意味はないでしょう。

 一方このお礼ツイートには、それが日米国民や世界中の人に可視化されている大きな副作用としての意味があります。

 政治家は自分の政治行動を可視化することができるようになっているのです。

 やろうと思えばつぶさに。

 テレビを通じてとなれば政治家の発信をなにもかも放送するわけにはいきません。しかし、現代では政治家は自分の好きな分だけすべて情報発信することができます。

 それをすべての人がすべて見るわけではありませんが、個人個人が自分の関心に合わせて自分のみたい分だけ見ています。冒頭のツイートもSNSで他の人が取り上げているのを見て知りました。


 河野太郎議員の大学ローカルルール調査

 政治家の活動の可視化ではたとえば河野太郎議員の大学ローカルルール調査があります。

 河野太郎議員が大学研究費のローカルルールを公開 「100円の品を業者経由で500円で買わねばならない」など多数 - ねとらぼ  @itm_nlabさんから

 大学の研究費を使うにあたっては、不正防止のためとはいえ、ときにあまりにも過剰な手続きを取ることがあります。しかもその手続きは全国一律ではなく大学ごとに複雑な手続きができています。過去にそれぞれの大学で起こった不正に対して作られていったと推測されます。

 ということで、河野議員がブログでその実態を調査し、整理公表しているのです。

 これは画期的というか、もしもこれを文科省が担当したら、いったいどれだけのコストがかかるか想像するだけで笑いがこみ上げてきます。文科省の職員が調査を作って、各大学の事務に送付して、そこからまた教員に配布されて、収集・整理・報告・・・。うんざりするような手間です。それだけ税金が使われます。しかも、その内容はそのまま伝わるでしょうか? 大学事務や文科省で、「適切に(皮肉です)」修正されていきはしないでしょうか。

 そこを河野議員は自らオープンに募集したのです。情報整理に多少経費はかかるでしょうが、圧倒的に小さなコストで、しかも生々しい報告を直接受け取ることができます。

 この活動は大学教員たちに絶賛されていて、よく SNS で回ってきます。大学関係者で知らない人はいないでしょう。

 その結果はきちんと公開され、したがって上記の記事のように、全国民が容易に理解できるようになりました。ほんのわずかの不正を防ぐために、膨大な経費をかけて、トータルではよほど損をしている実態が白日の下に晒されたのです。

 今後この結果をもとにどのような施策が提案されるか楽しみですが、ここまででも河野議員の実際の政治活動が分かりやすく可視化されています。そして少なくとも大学関係者には広く知れ渡っています。

 それはそのまま、選挙における得票力につながっていくことでしょう。選挙期間にみずからの政治成果を喧伝しようとすれば、膨大な選挙費用や手間が必要ですが、普段の活動が可視化されているのであれば、選挙のときには、すでに有権者にその活躍が分かりやすく知れているのです。

 選挙で選ばれる政治家にとって、普段の政治活動がそのまま選挙運動になっているのですから、これ以上のことはありません。

つづく

《ワンポイントミライ》(

ミライ: これって、昔「民主主義 2.0」っていうテーマで、新しい民主主義の形が盛んに議論されてたのを思い出しますね。

フツクロウ: 初音ミクを当選させるべきだっていうような意見もあったな。その都度、民意を集めてそれにしたがって国会での投票行動を決めるような話じゃ。

ミライ: はい。