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 前回、*六*新国王即位記念にトランスが流れる国で、オランダで国王即位記念の超イケてるライブに国王が乗り込むというちょっと日本ではありえない模様を取り上げました。オランダは人口1700万人と小振りですが、こんなすごいパフォーマンスが飛び出すあたり、最近元気な日本の地方を見るようです。

 ということで、以前日本の市区町村の分布について紹介した関連で、国の人口について分布を調べてみました。

 世界の人口ランキングからデータを取り、人口の多い順から人口をプロットします。
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 このままだといかにもロングテールですが、詳しく見るため、縦横軸共にログスケールにします。
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 少し分かりやすくなりました。オランダは60位でちょうどグラフの真ん中あたりになります。国として一番標準的なサイズでとんがってしかも広がりやすい話題を作りやすい位置にいると言えそうです。

 この分布、本当のロングテールなら、右に向かってどんどん伸びていきますが、実際には右端で急激に落ちています。以前取り上げた市区町村のグラフによく似ています。

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 たとえば、典型的なロングテール分布は、次のようになりますから、違いは歴然です(グラフの内容については、こちらを参照)。

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 国と市区町村の人口分布は、対数正規分布というので説明しやすく、国の場合は1千万人程度、市区町村の場合は1万人程度の規模がもっとも標準的でそれよりはるかに大きかったり小さかったりするのは存在しにくいと説明できます。

 この様子は、それぞれの規模のカテゴリに全部でいくつ要素が入っているかを調べると良く分かります。まずロングテールになっている時は、
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このように全ての規模にそれなりに人がいます。

 しかし、たとえば市区町村の場合は、
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と言う風に100人から1万人の町や村に住む人はほとんどいないことが分かり、裾野が広がっていないことがわかります。

 国の人口分布についても
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と人口1千万人以下の国に住んでいる人はほとんどいません。

 この分布で特異的なのは、右端です。そこは、中国とインドの2国です。飛び抜けて人口が多く、グラフでも突出しています。最初の人口のログスケール順位グラフでも2国の特異ぶりはよく現れています。その点を除けば、市区町村の分布に良く似ています。

 これらはつまり、人口1千万人以下の国はできにくい、1万人以下の市区町村はできにくい、ということです。リアル本屋とアマゾンの話で言えば、リアル店舗では、年に何冊以下しか売れない本は置きにくいということで、アマゾンではそういうものも取り扱うことができ、ロングテールであり、品揃えが多様であるということです。

 国にしても、国として機能する為には人口1千万人以下は難しいということですが、では、アマゾンのようにロングテールになれないなら、多様性には乏しいということでしょうか。

 そこで、ちょっとイタズラをしてみました。国の人口分布と市区町村の人口分布をつなげてみるのです。本当は全世界の市区町村に対応する行政区のデータがあればいいのですが、容易ではなさそうなので、とりあえず乱暴ですが日本の分布を単純に10倍にしました。つまり日本のそれぞれの街が世界にあと9個あると考えるのです。

 そうしておいて、その市区町村のデータと国のデータをいっしょくたにして、並べ直してやったのが次です。
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 なにやら国のすとんと落ちていた部分が市区町村が混ざることで引き延ばされています。全体として随分ロングテールっぽくなってきました。

 つまり共同体としては1千万人以下の国は難しいけど、代わりに市区町村という行政区がより小さな共同体として滑らかにつながっているようなのです。市区町村の右側はすとんと落ちていますが、桁数にして6ケタ以上に広がっているので充分ロングテールと言えるでしょう。さらにいわゆる町内会といった共同体を考えれば、もっと裾野が広がりそうです。

 また、「滑らかに」とは書きましたが、もし道州制が採用されれば、今の国と市区町村のつなぎ目の部分は、もっと滑らかになることが想像できます。逆に言うと、その部分はまだ「手薄」で、手の行き届かないところがあるので、そういった議論が出ているとも考えられます。これから百万人弱から数千万人の行政区というのが増えていくかもしれません。

 共同体という分布はいくつかの形態を組み合わせて全体として10億人から数百人と長大なロングテールを形成し、世界の多様性に対応していると言えそうです。

 アマゾンやニコ動はこのような分布をたった一つのプラットフォームで実現したところが画期的なわけですが、多様性そのものは、このような複合型ロングテールによって、連綿と維持されてきたのです。うまくできているもんですね。

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