『NEWSを疑え!』第292号(2014年4月10日号)

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

【価格】1,000円/月(購読料のうち半分は、研究所の活動に対する維持会費とお考えいただき、ご理解をいただければ幸いに存じます。) 
【発行日】2014/4/10
【発行周期】毎週月曜日、木曜日

──────────────────────────────────────────
【 メールマガジンが届かない場合】
プロバイダ・メールサービス側で、迷惑メールに振り分けられていないかご確認ください。
・PCメールの方は迷惑メールフォルダをご確認ください。
・携帯電話の方はドメイン指定受信(特定受信許可・受信拒否)等ご確認ください。
改善されない場合は以下『ニコニコヘルプ』のページをご覧ください。
http://faq.nicovideo.jp/EokpControl?&tid=11115&event=FE0006&searchToken=1340075532021

──────────────────────────────────────────
【今回の目次】 
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye) 
◇◆中国軍の航空戦力から見た防空識別圏 
◆疑問符がつく防空識別圏の管理能力 
◆それなりに揃った第4世代戦闘機 
◆中国戦闘機は尖閣を攻撃できるか 
◎セキュリティ・アイ(Security Eye) 
・米国のインターネット外交とキューバ 
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之) 
◎ミリタリー・アイ(Military Eye) 
・水陸両用装甲車の比重を減らす米海兵隊(西恭之) 
◎編集後記 
・防衛官僚が「専門家」? なぜ!

──────────────────────────────────────────
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
──────────────────────────────────────────
◇◆中国軍の航空戦力から見た防空識別圏

国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川 和久

Q:中国が東シナ海に防空識別圏を設定したのは2013年11月23日。直後には韓国も防空識別圏を拡大し、日本の民間航空機は中国に飛行計画書を事前提出しない、いやアメリカの航空会社は提出するようだ、などと騒ぎになりました。その後5か月、とくに何事も起こっていないようですが、中国の航空機運用システムがどうなっているかを教えてください。

小川:「中国は、中国本土から朝鮮半島と台湾の間の東シナ海に5角形をせり出す形に防空識別圏を設定しました。太平洋側の境界線は、大隅諸島・奄美群島・沖縄諸島・八重山列島などの内側(大陸側)ですが、日本が主張する日中中間線よりも外側で、尖閣諸島を含んでいます。これを私たちは、『レーダーの探知能力からしても、中国軍にはこの広大な防空識別圏全体を管理する能力はない。にもかかわらず設定したのは、政治的な目的があるからだ』と分析しました(メルマガ第259号=2013年12月2日特別号 編集後記『防空識別圏で中国が狙うもの』)。もちろん米軍も同じ見方です」

●中国側が設定した「東海防空識別区」図 
(新華社新華網) 

「中国側も、防空識別圏の管理能力を欠いていることは、わかっています。2013年11月29日付けの『環球時報』(中国共産党中央委員会の機関紙『人民日報』の国際版)も、そのことを認めるような社説を掲載しました。社説では、日本を危機管理メカニズムに引っ張り込むことが目的だ、とはっきり主張しています」

「中国の防空識別圏を尖閣上空にかぶせて設定すれば、日本としても黙っていられない。だから日本が戦闘機を出し、これに中国も対抗して、軍事衝突が起こる恐れがある。これには当然、アメリカもからんでくるが、日米中3か国とも軍事衝突など望んでいない。そこで衝突を防止しよう、危機管理メカニズムについて協議しよう、となる。その結果、少なくとも軍と政府の飛行機と船は尖閣付近に立ち入るのを自粛しようという話になれば、尖閣問題の事実上の棚上げ状態が実現する──これが、広大な防空識別圏を設定した中国の狙いなのです」

「そこで、中国の航空機運用システムはどうなっているか、どの程度の実力があるのかを冷静に分析しておく必要があります。以下に見ていきましょう」