岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/02/28
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/02/12配信「沈黙 -サイレンス-』を見て、踏んじゃえばいいのにねぇと考えないための教養とは何か」の内容をご紹介します。
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2017/02/12の内容一覧
- オープニング
- 岡田斗司夫のひとりマンガ夜話『CICADA』
- 『CICADA』に仕込まれた仕掛け
- 「事実×事実=嘘」清水富美加と幸福の科学
- 真っ白を黒に染めるのは超簡単! 信仰の完全否定は洗脳される一歩手前!!
- マーティン・スコセッシ『沈黙』は色々な意味で見るべき映画!
- 遠藤周作の原作『沈黙』と映画の違いは?
- キリスト教の本質とは何か?
- マーティン・スコセッシ版『沈黙』は恋愛モノとして撮られている
- スコセッシ版『沈黙』ネタバレ解説
- 弾圧されていた日本人の間違いだらけのキリスト教観
- 踏み絵のポイントは踏んだかよりもどう踏んだか
- 信仰の象徴である神の顔に込められた意味
- カトリックの宗教観を知るならこの1冊スティーブン・キング『呪われた街』
- 歴史のifは無意味? 太平洋戦争日米開戦から大悪手なぜ真珠湾を攻撃してしまったのか?
- 戦争の歴史的評価は視点と切り方ひとつで良くも悪くもなる
- 世界的都市伝説がもし本当だとしたら? オリバー・ストーン『スノーデン』
- スノーデンが護ろうとした正しいアメリカ
- エンディング~次回はワンフェスに行ってきます! ……たぶん
弾圧されていた日本人の間違いだらけのキリスト教観
映画『沈黙』で、僕ちゃんな主人公は、日本のズレたキリスト教を許容してしまうんだよね。
ここがやっぱり、2人ともに違いがあって面白いんだよ。日本に行ったら、そこでどうにか生き残ってたキリシタンの貧しい夫婦が生まれたての赤ん坊を連れてきて「洗礼を与え下さい!」と言ってきた。その赤ん坊に洗礼を与えていると、その夫婦が「これでこの子はパライソに行けるんですね!? パライソで永遠に生きれるんですね!?」って言うんだよ。主人公は困りながらも、「う、うん、そうだね」みたいな感じで答えるんだけども。フランシスの方は、より厳しいイエズス会のカソリック信者だから、「そんなはずがあるか! パライソっていうのは、そんな信じたら行けるような極楽浄土みたいなものじゃねえぞ」って、バーンって言っちゃうんだよ。
でも、日本のキリシタンたちは、どちらかっていうと、神を信じたらすぐに天国に行けるって概念でやってるから、それを聞いても「あれ?」っていう感じで。まあ、その場は流れるんだけど。
その他にも、主人公が不安に思うことがあって。彼らはすごい信心深いんだけども、なにかというと自分が持ってる十字架(ロザリオ)とか、神の絵を描いた絵画みたいなものを欲しがる。まあ、彼が持ってきたそういう物は、ほとんど船で失くしちゃったんだけど。とりあえず、持っていた数珠をバラバラにして、その数珠の一粒を一粒を渡したら、みんなはもう本当にありがたそうに受け取るんだ。
「これが、めっちゃ、不安」と。「ちょっと待てよ。こいつら、偶像崇拝をやってるじゃねえか?」と。「十字架とかロザリオとかは、あくまで自分の宗教心のシンボルであって、信仰の対象そのものじゃないよ。なのに、こいつらは」って思ってて。これに嫌な予感を覚えるんだよ。そして、その嫌な予感が、中盤になって「踏み絵を踏めない日本人のキリスト教徒」という形で現実化するんだよね。
というのも、踏み絵で踏むものなんてものは、どっかの百姓みたいなヤツが作った、へったくそなキリストが描かれただけの単なる土の板なんだよ。だから、主人公は、「それで助かるなら踏め!」って言うんだ。ところが、日本人の信者は純粋な上に物に対する信仰心があるもんだから、それを踏めない。なんせ神父からもらった十字架をありがたいと思っちゃう人達だから。それは間違いなんだよ。そうじゃなくて、ありがたいのは信仰心であるはずなんだけども。そういう十字架みたいな物をありがたいと思うのとまったく同じ感覚で、踏み絵を踏めないわけなんだよ。
どうにも日本人の持っているキリスト教と本場のカソリックの間にはズレがあるんだよね。それがさっき言った、オタク的な、殉教とか信心というものを概念のみで捉え、それを貫こうと思っている純粋な童貞くんである主人公とフランシスの2人が日本で出会った驚愕の事実なんだ。
日本人はカソリック教徒よりはるかに純粋にキリスト教を信じている。あんな激しい迫害の中でも、隠れるようにして信じている。しかし、そのキリスト教は、なぜかズレている。イエス・キリストよりも、聖母マリアの方をどっちかというと信じるふうになっているという(笑)。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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