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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「感動するドラマとは何かを教えてくれる『アドベンチャー・タイム』」
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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「感動するドラマとは何かを教えてくれる『アドベンチャー・タイム』」

2017-07-18 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/07/18

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2016/09/04配信「『君の名は。』と『アドベンチャー・タイム』から、感動の本質を探る」の内容をご紹介します。
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    2016/09/04の内容一覧

    ハイドラマとロードラマが入れ子構造の『アドベンチャー・タイム』

     『アドベンチャー・タイム』ですね。『アドベンチャー・タイム』は評価すべき作品と考えているんですけども、何で評価すべきなのか?
     「子供も見れるのに、ハイドラマのものを作っているからだ」と僕は考えているんですね。

     主人公はヒーローになりたいフィンという男の子と、魔法が使える犬ジェイク。この2人の、おとぎの国の、実際には千年後の世界なんですけど、この世界で起きる冒険を描いています。フィンとジェイクの2人組が、人類が滅亡したあとのウー大陸で繰り広げる冒険を描いたアニメ。
     作者のペンドルトン・ウォードは、本作は核爆発・核戦争が起きた後の、魔法が復活した世界を描いていると説明しています。

    (中略)

     最近のエピソードで「核戦争のあとで、マッシュルーム爆弾がついに使われた」と。「マッシュルーム爆弾のおかげで、この世界中にゾンビとか変な生き物が溢れた」ってことになっているので、どうも核兵器よりも怖ろしいマッシュルーム兵器というのが使われて。その結果、この世界では魔法が使われるようになった。という設定になったようです。
     このへんも、よくわからないまま進んでいます。
     番組全体の特徴としては、基本的に大きい流れとしては「アイスキングが悪いことをして、フィンが行ってドツいて終わり」みたいな話だと思ってください。
     基本は『アンパンマン』です。
     アイスキングはバイキンマンです。フィンがアンパンマンで「許さん!」と言ってボカンとやって「バイバイキーン」みたいなストーリが、基本のパターンなんですよね。

    (中略)

     ある種、僕は「アンパンマンみたいな世界かな?」と思ってたんですけども、『北斗の拳』みたいな世界と思ってもかまわないです。北斗の拳も「核戦争後の世界で、強い者が勝つ」みたいな話なんですけど、この世界でも「魔力が強い者が勝つ」みたいな話です。
     北斗の拳のなかでも「核兵器の放射能が襲ってくる!」「シェルターを閉めろ!」「トキ!」「お前たち2人だけでも入っていろ!」と言って、トキがドン! とドアを閉めて「グワーッ!」って言ったら、「トキはまだ生きていた!」みたいな話があったんですけども。
     この世界のなかでも核戦争があったあとにマーシーって女の子が「嫌よ! サイモン!」って言ったら、サイモンが「マーシー、お前だけでも逃げるんだ! 俺は……」みたいな話があるんですね。
     なので、全体的には『北斗の拳』っぽいところもあります。なので、幼児向けの見た目をしているんですけども、なかなか油断が出来ないんですね。
     人類と、人類の文明は一千年前のマッシュルーム戦争で滅びたので、フィンが登場する時は、フィンはいつも「人の子フィン」と言われます。「人類、最後の生き残り」ってことですね。

    (中略)

     吸血鬼のマーセリンと、さっきのアイスキング。この2人だけは千年前からずっと生きてるので、マッシュルーム戦争を経験しています。マッシュルーム戦争の時には、この2人はマーシーとサイモンという2人の人間でした。
     このサイモンは今は王冠を被っているんですけど、その当時は王冠がなくて普通の人間でした。でもこのサイモン・ペトリコフっていう男の人が、千年前に2つのものを拾っちゃうんですね。
     1つは「教えの書」って言われる、この『アドベンチャー・タイム』のなかでも中心の謎となっている魔法の本です。
     もう1つはアイスキングがいつも被っている「王冠」ですね。これの王冠が魔法の源であると同時に、人間の心を狂わせる。マジメな意味で狂気の世界へ運んでいく存在なんですね。これを被ると魔法が使えるようになる代わりに、持っている人の白髪がどんどん伸びていって、体が痩せ衰えて、悪魔のような姿になって。
     魔法が使えるんだけども、気が狂ってしまうという、恐怖のアイテムです。
     このサイモンが、このマーシーの、女の子の危機を救うために、この王冠を被るんですね。自分は気が狂うとわかっていながら「マーシー。俺のことを忘れないでくれ! 俺も君のことを忘れない!」
     「わかっているな、俺! 今から魔法を使うけど、マーシーを殺しちゃいけないぞ! そうじゃなくて、マーシー以外のものを倒すんだ!」と思って、王冠を被って、段々と気が狂いながら、周りの生き物をみな殺しにしていく回は、ものすごい大感動です。
     第4シーズンや第5シーズンの、まさしくクライマックスです。
     そのあたりの回は、まぁ、泣かない僕が泣くというぐらい、すごいクライマックスですね。それも、さっき言った「ロードラマ」と「ハイドラマ」のミックスをやるんですね。
     つまり、この男の人が「この女の子を守るために、自分は気が狂ってもいい!」と思って戦うシーンは、ロードラマの感動なんですけども。それで終わった後で、王冠を脱いで、やっと元に戻って「良かった!」と言ったら、この男の人が「あぁ、俺も怖かったよガンター」って言うんですね。
     ガンターっていうのは何かと言うと、この気が狂ったアイスキングといつも一緒にいるペンギンなんです。もうこの男の人は、この女の子が誰かわからなくなっちゃってるんですね。魔法を使いすぎて。
     でも、この女の子はまだそれに気が付かずに「良かった、サイモン」って言ったら、「あぁ、ガンター」って言うところで「この男の人は気が狂いつつあって、もうそれは二度と元には戻らないんだ」というのが、見ている人だけにわかる構造。
     これがハイドラマですね。

    (続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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