岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/08/19
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2016/07/24配信「模型でまなぶ宇宙開拓史~最高の頭が良くなるおもちゃレビュー」の内容をご紹介します。
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2016/07/24の内容一覧
- 本日のお題
- 「作品」が作りたい海洋堂と作った、読めるフィギュア『王立科学博物館』
- 「失敗だった第二次世界大戦」アメリカの心の拠り所「原子爆弾」
- 互いの領空ギリギリを爆撃機が飛ぶ「冷戦」の始まり
- アメリカの「スプートニク・ショック」とフォン・ブラウン
- MISS計画とテストパイロットたちのプライド
- 月往復を実現するために考えられたさまざまな計画
- 宇宙飛行士と科学者の歩み寄り、アポロ11号の下にある1.5mの棒
- ファザコンの宇宙飛行士バズ・オルドリンは「ちんこ、腐れ」と後悔
- 両親の来なかったオルドリン、宇宙飛行士と巨大なエアコン
- ジーン・サーサンの「グネグネ動く巨大ロケットとFuck」
- ランデブーとドッキングの繰り返し、ニューヨーク・タイムズの謝罪
- 「月からの第一声」とアームストロング船長のドン引き
- 月面第一歩がだれかを決めた「設計」とニクソンの電話
- 月からの離陸と「星条旗の位置」の関係
- 考えるコリンズ、静かなアームストロング、復活のオルドリン
- 質疑応答「ナディア」「政見放送」「コンビニのアダルトコーナー」「ポケモンGO」「村上隆」「ホリエモンの宇宙計画」
「作品」が作りたい海洋堂と作った、読めるフィギュア『王立科学博物館』
いまから13年前の2003年に、海洋堂と共同して開発した『王立科学博物館』というのがあるんです。こういうパッケージのやつです。
その当時、食玩ブームというのが真っ最中というか後期でありまして、良く言われたのが、海洋堂の専務が愚痴るように、食玩というは、フィギュアというのはいくら頑張っても、それは商品であって、作品ではない、というふうに言ってたんですね。
(中略)
じゃあ、作品と呼ばれるフィギュアを、作品といえるフィギュアを作ろうというのは、その2000、たぶん2002年、たぶん2001年位、僕が海洋堂の専務に持ち込んだ企画がありましてですね。読むフィギュア、いろんな部分が読めるフィギュアと言うのを作りませんかと言いました。
まぁあの、単なる薀蓄ではなく、ドラマやストーリーと言うのを入れ込んだようなフィギュアを作ろうかなと思ったんですよね。
それで、こんなもん作りました。
『王立科学博物館』ですね。
パッケージからして大仰な感じなものを作ってしまいまして、第一展示場『月とその彼方』。『月とその彼方』っていう、訳のわかんないタイトルというか、わかるやつにはわかるやつ。
これ、『月とその彼方』って何かって言うと、『2001年宇宙の旅』を作る時に、特撮監督をやったダグラス・トランブルが1970年の大阪万博用に作ったフィルムのタイトルが『月とその彼方』だったんですね。だったらそれでいいじゃんとか思って。
こんな感じで、箱がびっちり入っているわけですね。
(中略)
サターン5型発射とかそういうタイトルが付くんですけども、フィギュアのタイトルは『ロケットの夏』です。
『ロケットの夏』っていうのは何かって言うと、レイ・ブラッドベリの火星年代記の中のひとつのタイトルなんですけれども。
イリノイ州の冬のある日、火星ロケットが打ち上げられるんですね。で、ひとときはイリノイ州の冬だったっていうところから始まって、つららが下がって、子供達がスケートをしてると。向こうのほうで吹雪に凍えている家もある、家の窓とかも全部閉まってると。ところが東の空のほうでパッと明るく光が灯ったと。
で、その時、一瞬イリノイ州にロケットの夏が現れた。
ロケットの噴射の温かみ、その周りの地帯が一斉にパーッと雪が溶けて、つららがぽたぽたぽたと垂れていって、一瞬春の訪れから夏に変わるような気象変化がやって、みんながはっと空を見上げると、雲を掻き分けてロケットがどんどんどんどん上昇していく。
その雲を掻き分けていって、冬空の雲をロケットがガーッとこの冬の雪の雲を押し広げていって、火星へ昇っていくロケットが飛び立つと。
その一瞬だけイリノイ州は夏になったっていうのが『ロケットの夏』っていう、火星年代記の短編のタイトルなんですけども。
それかっこいいから、じゃああの1969年の7月に発射されたロケットで、僕たち人類全員がすごいひと夏を体験したんだなっていうのを言おうとして『ロケットの夏』と。
こんな感じで、おっしゃれーなタイトルを色々付けて「専務、これだったら作品でっせ、作品でっせ」っていうような形でやって、発売させてもらったんですね。
で、「読めるフィギュア」っていうのはどういう意味かって言うと、これ解説書がこう入ってるんですけども。これを、こう小さく折り畳まれてるんですけど、どんどんどんどん増えていくんですね。
まずこうやると、かっこいい写真があって、ここにポエムがあって、こういうふうに広げると『ロケットの夏』に関して、僕が書いたかっこいい文章と、あと松浦さんが書いたかっこいい文章があって、ここのあいだにフィギュアの解説の写真が入ってるわけですね。
解説の写真が「読むフィギュア」というやつですね。
この瞬間っていうのは何なのかっていうのを解説してるんですよ。
で、なんでこの瞬間を選んだのかって言うと、これ見て頂いたらわかるんですけども、発射台、発射台の塔があります。この塔の高さのてっぺんぎりぎりとロケットのお尻が同じ高さなんですね。
これが発射13秒後、「魔の時間」の終わりです。ロケットの発射っていうのは、最初の大体5秒か10秒が最も危険なんです。
で、アポロ計画とか「こちらヒューストン」っていうような交信音を聞かれた方もいると思うんですけども、「こちらヒューストン」っていうのはどういう意味かって言うと、ロケット打ち上げはじつはフロリダのケープカナベラル──当時はケープケネディって言ってました──ケープケネディ宇宙センターなんですね。
だからロケット発射の瞬間、つまりロケットがこの位置にあって、上がってる時は、ケープケネディの管制なんですよ。だから、「こちらケープケネディ、ケープケネディ」なんです。
ところがこれが13秒後に「タワークリア」って言うんですけど、発射台と同じ高さになった瞬間からアメリカの、中部にある、テキサスにある、ヒューストンに管制が移ります。
だから「こちらヒューストン」っていうのはこの瞬間、発射が成功したっていう意味なんですね。
ここまでになってきたらもうケープケネディの人たちはもう仕事終わりなんですよ。
じつはロケットが発射して13秒後にみんなで「バンザーイ、バンザーイ」って言って、マジでみんなそれから家にガーッと帰っちゃうんですね。
で、こっから先、このロケットっていうのはヒューストンの管制になって、月に行って帰ってくるまで、延々ヒューストンが面倒見るっていうことになっているんです。
この瞬間、一番ロケットの打ち上げで管制が切り替わって危険な瞬間の13秒目、この時どういうふうになってるのかって言うと、このF1エンジンっていう、人類が作った、未だに最もハイパワーなエンジンが噴射をしていて、宇宙飛行士たちはこのてっぺん頂のところで、圧力に震えてるという。
そういう細かい細かいことをここにぎっちりぎっちり書き込んで、買ってくれた人にお勉強させようというのはこのフィギュアの目的なんですね。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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