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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「役者に演技をさせない『シン・ゴジラ』のうまさ」
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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「役者に演技をさせない『シン・ゴジラ』のうまさ」

2017-11-20 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/11/20

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2017/11/12配信「『シン・ゴジラ』のオンエアを見ながら解説します!」の内容をご紹介します。
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    2017/11/12の内容一覧

    『シン・ゴジラ』スタート

     今日は、『シン・ゴジラ』を見ながら解説するということで。

    (中略)

    (0:03:03 官邸対策室のシーン~)

     ああ、セリフがメチャクチャ被ってるよね。『シン・ゴジラ』では、こういう時、最初のセリフに被せ気味で次のセリフを入れてる。これが、スピード感を生んでいるよね。
     普通の邦画って、どうしてもこういうセリフを聞かせようとしちゃうんだよね。ナレーションとかがあったら、絶対に言葉を被せずに、セリフを言い終ってから0.5秒くらいの間を置いて次のセリフを入れるものなんだけど。このセリフの入れ方はうまい。
     このニコニコ動画みたいなカットも、セリフ、下のテロップ、画面上に流れるコメントっていう、情報量がとにかくすごいよね。うまい。
     そして、ここで、飛行機に急なズームを入れていくことで、緊迫感を上げてる。こういった、緊迫感を生み出す画面作りは本当にうまいよね。

     それぞれの役者さんの演技についてはうまくも下手でもない。というか、誰にも演技させてないんだよね。
     この廊下を歩きながら喋るシーンでも、後ろのヤツの歩き方がちょっと変だから、ハゲ上がった頭が上がり下がりしているのが目につくんだけど。
     この総理執務室のシーンもそう。誰にも演技させてないから、すごくうまく見える。
     ああ、この関口文部科学大臣。こいつね、演技が下手なんだけども、あんまり気にならない。
     ……あ! 柳原大臣の今のメガネを外す演技はいらねえよ! ダッセえ、あんなことしないって、人間。アハハ(笑)。
     ああ、こいつのちょっと笑いながら「積極的に火山の噴火とは認められない事象でして……」って指摘する演技はうまいな。

     俺、主人公の矢口蘭堂の「正しいことを必ず言って、良いことをする」っていうポジションが、この辺から鼻につきだしたんだけどね。「ああ、こいつ、最後まで正しいんだ」って感じが、ヤダヤダって思ったんだけど(笑)。
     「100度を超える体温の生物なんているわけないだろー」って柳原大臣は言うけど、こういう時に「ないだろー」っていう言い方をすると、後で必ず本当に出てくるという法則だな。
     ああ、ここの柄本明の顔はいいよね。俳優の使い方がうまい。どんな顔の俳優をどこに置くかとか、本当に「演技してない人の演技」がすごくいい。背景にいるだけの人物とか。
     あとは、「よろしいですな、総理?」って言われた時の、この不安感のある総理の顔を何回か見せることによって、見ている人に「この総理は役に立たない」っていうのを見せてる。
     ああ、主人公役の長谷川さんは、やっぱり演技がうまいんだな。この人も、かなり押さえた演技をしてる。普段だったら、ここは目力を入れたり演技させるところなんだけども、あんまりさせてない。

    (0:06:19 首相官邸4階会議室のシーン~)

     このシーンも、フレームが普通の映画よりもロングになってる。
     この「アクアトンネル浸水事故及び東京湾における水蒸気爆発に関する複合事案対策会議(第1回)」ってテロップ、もう読めないよね。声に出して読めないくらい長い(笑)。
     この時、一瞬だけ映る長谷川さんの顔、ちょっと顎を引いてて、「不満があるんだけど黙っている」っていう演技だね。
     相変わらず、良い顔のオッサンをいっぱい出してくるよね。このオッサンたちについても、会議の資料を見ている顔と、発言者を見ている顔の比率がものすごくうまい。これは、演出家が「あなたは顔を上げてください」「あなたは顔を下げてください」っていうのを一人一人に指示しないと、こんなふうにはならないよな。役者一人一人が、自分の存在感を出そうとするから、一斉に動いちゃうんだよね。でも、これはすごいわかってる。うまいよね。
     今、左から入ってきた人の、この入り方もいい。「カメラが動いてきて、わかるようになってきてから、資料が手に渡って、資料をもらったやつが時間を計ってタイミングで動く」というこの連続の動き。もう本当に、演技の中心点が発言者にないんだよね。映画的な画面作りっていうやつだ。あんまりテレビドラマ的じゃない。
     そして、「噴火が収まった」という報告が届いたところで、主人公の矢口がタイミングを見計らってから話し出す。この「巨大不明生物」というセリフも言い慣れてない感じがあるよね。
     「そんなもの、いるわけないだろう!」というのは、まあ、負けセリフなんだけども。ここでの他の人の目線の外し方がいい。みんな官僚だから、総理を見てるんじゃなくて、手元とかを見て話してるんだよね。

     そして、海中から現れる尻尾。この尻尾、水の表現がクドすぎるよね。水が落ちるのは一瞬なんだから、ここで、もう少しちゃんと尻尾を見せればいいのにな。
     「テレビつけて、テレビ!」っていうのはいいよな。
     でも、この、「な、なんだ、今のは!?」っていうのは、映画史に残る大根セリフだったね(笑)。
     この、会議を中断した後の立ち去り方も、みんなが一斉に席を立つんじゃなくて、ちょっとパラパラっと立つ。うまいね。

    (続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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