岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/12/04
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/11/26配信「ついに任天堂スイッチを買ったぞ!岡田斗司夫がゼルダを語る!!!」の内容をご紹介します。
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2017/11/26の内容一覧
- 『アメトーーク!』仮面ライダー芸人
- 『スター・ウォーズ』の実況やります
- 『スター・ウォーズ』ってどんな話?
- 第1ブロックの三部作は、アナキン・スカイ・ウォーカーの成長と堕落
- ヨーダの表情の作り方
- エピソード7、8、9の第3ブロックは、どうなる?
- 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が面白い
- スティーブン・キング『IT』
- Q:印象に残っている洋画の邦題は?
- Q:オワコン予備軍のサービスを復活させるためには?
- Q:60歳になった感想と30代のうちにやっておくべきことを教えてください
- Q:タバコに関する思い出はありますか?
- Q:和月伸宏の児童ポルノ事件について
- Q:インフルエンサーが許せません
- Q:ユーチューバーの養成講座についてどう思いますか?
- Q:出版社は漫画家を守るものではないのですか?
スティーブン・キング『IT』
スティーブン・キングの『IT』っていう映画が公開されたので見てきたんですけども。みんなはこの映画、どれくらい見たのかな? 「ホラー映画だ!」って思って見る人もいれば、「ホラー映画だからいいや」と思って見ない人もいると思うんだけど。
(中略)
というのも、原作小説では、「過去話である1958年と現在の話である1985年」という形で2つの時代が描かれています。1958年当時に10歳だった少年達と、1985年、もはや37歳になってしまった中年のおじさんおばさん達。それぞれ同じ人物なんですけども、彼らが「IT」と二度戦うという構造になっているんですね。
舞台は、アメリカのメイン州っていう、もう本当に東海岸の北の端。カナダとの国境辺りにある、もう森しかないような田舎の州。そんなメイン州にある、デリーという架空の町です。
そこでは、27年に一度「子供を捕まえて食べる鬼」っていうのが現れるんですよ。「子取り鬼」って言うべきなんでしょうか? まあ、実際は鬼ではないんですけども。そういう怪物が現れた1年間は、子供達を捕まえて食べるんですね。
なのでデリーという町は、よその町に比べて、子供達の失踪率や死亡率が200倍くらい高い。「こんな町はアメリカ中に他にない!」ということに、登場人物たちも途中で気が付くんですけども。しかし、町の中でそんなデータが残っているにも関わらず、なぜか、誰も騒いでいない、という状況にあります。
そんな町を舞台に、27年に一度、1年間だけ現れる「子供を襲って食べる怪物たち」と戦う話なんですね。
(中略)
主人公はビル・デンブローという吃りの少年。彼は27年後には小説家になるんですけども。まあネタバレにならない感じで話しますけど、この吃りの少年は、幼い弟をITに殺されたんですね。この物語の中では、子供を襲う怪物を「IT(それ)」っていう指示代名詞で呼んでます。
以後の彼の家庭では、お父さんとお母さんが、ずーっとツラそうな顔をしていて、笑いも明るさもない感じで、ビル少年は、それがいたたまれなくてしょうがないんですね。「弟が死んだことによって、この家からは「大事なもの」が失われてしまった。そして、それは自分ではない」ということを思い知らされた、と。
そして、自分と同じような「負け組」と呼ばれる、学校の中でいじめられてる子供達を集めて、ITと戦うことを決意するというのが、第1部での大きい話です。
さて、第1部が終わって、第2部が公開されるのが再来年の2019年なんですよ。27年間の長い冬眠に入ったITが再び復活して、そこで現代編というのが繰り広げられるわけなんです。
だから、今回公開された第1部は少年たちの話なので、もう、怖いというよりは「切ない映画」なんですね。
(中略)
やっぱりね、デリーの町にいる大人達の描写がすごいんですよね。
このデリーの町の大人達って、いじめられっ子が不良に絡まれて助けを求めてきても、運転してる車からチラッと見るだけで、そのまま通り過ぎるんですよ。そういった描写が、この映画の中では何回も繰り返される。
それはなぜかというと、このデリーという町の大人達というのは、みんな「かつて生き残った人々」だからなんですね。27年に一度、現れる「子供を捕まえる怪物」から生き残った人なので、「危険なものと関わり合いになると、自分も危ない」っていうふうに、無意識に思っている。だから、何か怖いことがあった時に、見て見ぬふりをしてしまうのが、デリーに住んでいる人々の癖みたいなものになっちゃってるんですね。
今回の映画版では、こういった部分を原作小説よりもはっきりと描いているんです。
主人公のビルたちは、自分たちのことを「ルーザー(負け犬)クラブ」って呼んでるんですけども。この負け犬クラブっていうのは、学校の中でいじめられている子供ばっかりの集まりなんですよ。
だけど、学校の中で彼らをいじめている不良っていうのは、ごく少数。4人くらいしかいないんですよ。ビルたちのようないじめられっ子も6人しかいない。じゃあ、残りの子供達はどうしているのかというと、みんな「見て見ぬふり」をしてるんですね。
こういった、学校の中で行われているいじめ問題と、デリーの町で生き残った大人達が「余計なものに関わり合ったら損だ」ということで、そういうものを見て見ないフリをするというのを掛け合わせているんですけども。そういった構造を、映画の中で、よりわかりやすく見せているんですよ。
いじめ問題って、日本よりもアメリカの方がもっともっと深刻で。
アメリカという国では、家庭の力が日本よりもはるかに強い。おまけに、家庭では子供に対して「何か問題があれば、強くなって跳ね返せ!」っていうふうに常に教えているもんだから、いじめられている子供たちは余計に親に言えないわけですね。
だから、あっちの子供達のいじめ方っていうのは、日本よりもより激しいし、受けている者の心の痛みも深刻化しちゃうんですよ。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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