岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/01/31
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/01/14配信「『天空の城ラピュタ』解説の決定版!人間:宮崎駿の面白さにまで迫る!」の内容をご紹介します。
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2018/01/14の内容一覧
- 『DEVILMAN crybaby』つまんないよね
- ちょっと頭のおかしいアニメ『ポプテピピック』
- 4タイプで言うと、宮崎駿は理想型、高畑勲は法則型、鈴木敏夫は司令型
- SFとしての『ラピュタ』
- ラピュタの超科学技術で作られたロボット兵と飛行石
- 『不思議の海のナディア』との関連
- ラピュタ本体の見せ方のうまさ
- 『天空の城ラピュタ』の幻の産業革命と、『ジュール・ヴェルヌの世界』
- パズーはエリートだった
- 石炭と蒸気の第1次産業革命と、石油の第2次産業革命
- 飛行機が存在しない世界
- 『ラピュタ』の主人公はシータ?
- バルスとは何か?
- なぜ宮崎駿は手塚治虫が気になるのか
『不思議の海のナディア』との関連
ところで「『ふしぎの海のナディア』に出て来る「ブルーウォーター」は、『天空の城ラピュタ』の飛行石の設定と似ている」と、放送当時からよく言われてたんですけども。
もう、『ラピュタ』に関する話は今回を決定版にしたいので、ここからは、ちょっと、『ナディア』との関連の話もしておきますね。
ガイナックスが『ふしぎの海のナディア』を作った時、このブルーウォーターを含めて、一番最初の設定は、すべて僕が担当しました。
だけど、実際にアニメを作って行く中で、段々と最初の設定というのが使いにくくなってくるんですね。なので、その後は、庵野くんが好きなように変えていくという形でやっていたんです。
ただ、それでも庵野くんの方のアイデアが尽きてくると、「岡田さん、あの設定って、どうなってたんでしたっけ?」と聞きに来る。「いや、あれは実はこうで~」と説明すると、庵野くんが、また、その中から使いやすい部分だけを拾っていく。そういうやり方で、『ナディア』の設定は作られています。
なので、僕が説明できるのは、一番最初に僕が作った原案だけです。今日は、その中から、ブルーウォーターの説明をします。
(中略)
そんな中で、古代アトランティスの遺産としてブルーウォーターというアイテムを作りました。これは、『ナディア』に出てくる「バベルの塔」などの、すべての遺跡の起動装置であり、エネルギー源です。
では、その正体は何かというと、実は物質ではなく、プログラムなんですよ。つまり、「情報」なんですね。ただ、その情報量があまりに膨大なために、体積とか手触りとか、見かけ上の質量すらもってしまっているんです。
どれくらい莫大な情報なのかというと、地球が生まれてから現代までの、地球付近の空間にあるすべての原子の位置情報までがすべてが入ってるんですね。なので、ブルーウォーターが1つあれば、地球全体や、動植物はもとより、そこに生まれた人間1人1人の人生から、それが作った文明まで、すべて再現可能なんです。
オープニングでブルーウォーターがアップになると、無限に細かい模様が刻まれているのが見えますよね? あれは「あそこまでアップにすると内部構造の1段目が見える」ということなんです。本当は、その奥にはさらに10数段くらいの構造が隠れているんだけど、現実世界ではその1段目くらいまでしか見えません。
要するに、あれは単なる「記録装置」なんですね。
で、ここからがポイントなんですけども。
実は、敵役である、ネオアトランティスの親玉のガーゴイルは、最後に死ぬまで、ブルーウォーターが何であるのかを理解できなかったんですね。それどころか、ネモ艦長も理解していない。
そして、おそらくは、監督である庵野くんも、こういった設定について完全に理解してくれていないんですね。僕も一生懸命、説明したんですけど(笑)。
なので、ブルーウォーターを奪い合うんですよ。でも、奪い合っても無意味なんですよ。あれは、ただ単にレコーダーだから、誰にも使えないんです。
さて、『ラピュタ』のオマージュとして作られた『ふしぎの海のナディア』には、もちろん、天空の城的なオブジェクトも登場します。
それが「バベルの塔」という光線兵器と、遺跡として出てきた「巨大宇宙船レッドノア」や「ニュー・ノーチラス」です。
しかし、最終回付近に出てくる、レッドノアと呼ばれる宇宙船って不思議なんですよね。あの船、宇宙船と言いながら、実は惑星間飛行能力を持っていないんですよ。
そればかりか、宇宙に出ていくこともできない。復活してから地球の上空を飛んでるんですけども、そこから上に行きませんよね? あれは、そこから上に行けないからなんですよ。
なぜかというと、あれは「地上と軌道衛星までの往復シャトル」に過ぎないからなんですね。
では、バベルの塔というのは何かというと。周りに反射衛星みたいなものがあるから、一見すると攻撃兵器みたいに見えますね? 違うんですよ。
あれはただ単に「連絡用のレーザー通信機」なんですね。その出力があまりにデカいから、地上に向かって使えば攻撃兵器にもなってしまうだけで、あれは数百光年、数千光年先まで届く巨大なレーザー通信機なんですね。「軌道上の反射衛星を使って、地球上のどこにでもエネルギーが送れる」というすごく便利な仕掛けがついているだけの通信機なんです。
アニメの中には出てきませんでしたけど、古代アトランティス文明と言うからには、はるか昔に宇宙からやってきて人類に科学技術を伝えた「アトランティス人」という人達がいたわけです。つまり、そのアトランティス人の本星との通信用の機械なんですよ。
僕らの世界でも「電子レンジ」という機械がありますよね? この電子レンジの概念というのは、アメリカで軍事用のレーダーの実験中に偶然発見されました。
第2次大戦後すぐだったと思うんですけれど、レーダーの装置の前にパーシーなんとかというオッサンが立ってたら、ポケットに入れていたチョコレートバーが溶けていた。で、「なんだこれは?」ということで発見されたんです。
つまり、「本当はレーダーなんだけど、調理器具としても使えるよ」というのが電子レンジなんです。まあ、最初にポップコーンを作ったそうなんですけども。
ガーゴイルやネモ艦長というのは、大本にある機能が理解できなかったので、レーダーを電子レンジとして使っちゃった人達なんですね。なので、バベルの塔を起動した時も、通信機器としてではなく、破壊兵器みたいに使っちゃったんですね。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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