岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/03/31

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2015/07/19配信「安保法案問題の考え方と、又吉作『火花』芥川賞受賞に見るコンテンツ産業の未来の光と影」の内容をご紹介します。
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2015/07/19の内容一覧

質疑/文芸とお笑い芸人の関係

 かつて落語家はメインで司会ができたっていう時代があったんだけども。
 ところが時が変わって、今見たら当たり前なんだけども、漫才師さん、お笑い芸人さんがメインで司会が取れる時代になってる。
 逆に言えば、もう紅白の司会をやってもおかしくないし、あと24時間の回しとかもまだ今SMAPとかがやってんだけど。
 SMAPとか嵐とかがやってるんだけど、SMAPとか嵐っていうのは、かつてのアイドルから見たら、もう充分お笑い芸人化してるところがあるんだよね。
 お笑い芸人なのにイケメンというのがSMAPとか嵐の、僕は成功してるところだと思ってんだけども。
 じゃあそうなってくると、お笑い芸人のほうもどんどんどんどんアイドル化していってもおかしくないところに来てるのに、いろんな、今回の又吉のこともあるんだけど、境界線が崩れていってると。
 基本的に文芸の世界っていうのは芥川賞って、今回又吉が取ったからみんな騒いでるだけであって、又吉が取らなかったら、おそらく今年の芥川賞も発表されて、次の文芸春秋とかでは大々的に次回作とか出るんだろうけども、みんなろくに見ないままで終わってしまうだけになっちゃうんだよね。
 つまり芥川賞自体のレベルっていうのかな。
 意味や価値っていうのがガーッと下がってきてるから、お笑いというもっと売れてるモノを入れて、なんとか権威を保ってる状態にしか過ぎないわけだよね。

 これは昔の舞台と映画の関係に似てると。
 舞台のほうが上で映画のほうが下だったから、この舞台役者さんが映画に出るっていうふうなことで格が上な気がしてきたんだけど。
 ところが、どんどんどんどん舞台っていうのがそんな上じゃなくなってきちゃった。
 今はもう歌舞伎役者が映画に出ても、映画に出たおかげでファンが増えて、歌舞伎のお客さんが来てくれるでしょうという。
 もうなんか本末転倒なことになってるよね。
 文芸の世界も同じで、又吉の『火花』っていうののおかげで、つまりお笑いタレントが書いた、お笑い芸人が書いた文学作品のおかげで、文学というものに目が向くようになった。
 もうこれ、関係者が自分で言ってることだよね。
 これによって、また芥川賞をみんなが見てくれるようになったらみたいなことを、もう目をキラキラさせて言ってるのが、ああ、もう芥川賞が終わりつつあるなっていうのを見てるんだけど。
 そうやって終わりつつあるところにこういう、流行ってるんだけど全く権威のない人がどんどんどんどん入ってくるという現象がこれからも見られるでしょ。
 だから、文芸がきただろ。次はたぶんクラッシック音楽とかだろうな。
 日本国内のみで成立しているようなスポーツ競技があったら、それでも使えると思うんだよな。しずちゃんとかオードリーの春日みたいに本当に実力があって、プロスポーツ選手になるっていうのが。
 あれがどちらかって言うとレアであって、本来お笑いという知名度を利用して、確かに小説家として十分な素質があって取るみたいなもんで。確かにそのジャンルで充分な実力がある。
 でも、その実力以上に評価され、何でかって言うと知名度があるからっていうふうになっていくのが当たり前。

 あとは政治だよね。
 政治も日本国内の知名度でいけて、その本人の実力よりも、その本人がどういうイメージを回りに持たれているかによって、有利不利がすごく変わってくるから。

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