岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/06/06
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/05/20配信「特集『かぐや姫の物語』姫の犯した罪と罰~アニメ界の怪物・高畑勲が描いた世界で最も美しい怪物」の内容をご紹介します。
岡田斗司夫アーカイブチャンネルの会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。
サイトにアクセスするためのパスワードは、メール末尾に記載しています。
(※ご注意:アーカイブサイトにアクセスするためには、この「メルマガ専用 岡田斗司夫アーカイブ」、「岡田斗司夫 独演・講義チャンネル」、DMMオンラインサロン「岡田斗司夫ゼミ室」のいずれかの会員である必要があります。チャンネルに入会せずに過去のメルマガを単品購入されてもアーカイブサイトはご利用いただけませんのでご注意ください)
2018/05/20の内容一覧
- Amazonで動画販売始めました
- 高畑勲の演出意図は、生クリームが美味しすぎて伝わらない
- 本当はエロい『かぐや姫の物語』
- 実はギャグも多い……が、スベっている
- かぐや姫の超能力「チャーム」
- かぐや姫疾走シーンの意味
- 『竹取物語』から、女の子が主役の『かぐや姫の物語』へのダイナミックな転換
- キャラに冷たい高畑演出
- 高畑勲は泣かせようと思って作ってない
- 常に「表現の革命」を求めた高畑勲
- 『かぐや姫の物語』はどんな物語だったのか
- 『かぐや姫の物語』のテーマとは?
- まとめ
本当はエロい『かぐや姫の物語』
一番最初、竹林の中から翁が見つけた時のかぐや姫は、「すごく小さな姫君」だったんですよ。
だけど、家に連れて帰って、それを媼に見せると「赤ん坊」になるんです。
(中略)
これは、目立たないけど「かぐや姫が作中で起こした3つ目の奇跡」なんですね。
1つ目の奇跡は「かぐや姫が竹の中から生まれた」ということ。2つ目は「手の平の中でいきなり重くなって成長した」ことです。
そして、このおっぱいを吸うと、また、いきなり成長しはじめます。「なんだか急に重くなりました」というふうに、お婆さんが言うんですよね。
これ、赤ん坊がおっぱいを吸うだけのシーンだから、僕らは「ああ、それだけのことなんだ」と、ごく自然に受け止めてしまうんですけども。
これは、一番最初の大きな成長を「赤ん坊がおっぱいを吸うシーン」として見せることで、ミスリードさせているんですね。
実は、幼少期に「タケノコ」と周りから呼ばれていたかぐや姫には、「セ●クスを暗示する場面でのみ大きく成長する」という特徴があるんです。
例えば、この次にタケノコが大きくなったのは、「カエルを追いかけてる時」なんですよ。
まだハイハイもできない状態から、カエルがピョンピョンと跳んでいるのを見て、急に嬉しそうに寄っていきます。すると、そのカエルが2匹で繋がるんです。そうしたら、いきなり成長して、近づいていくんですね。
これについては、絵コンテにも「急に加速して追いかける」というふうに指示が書いてあります。
(パネルを見せる)
このくっついている状態のカエルというのは何かというと、カエルの求愛行動なんですよ。交尾ではなくて、「抱接」と言います。
これ、何をやってるかというと、オスのカエルがメスのカエルの上に乗っかってお腹を激しく抱えることによって、メスのカエルに卵を産ませているんですね。そうやって産ませた無精卵の上からオスのカエルが精子をかけることによって繁殖しようとしてるんですけど。
ただカエルを見て喜ぶ無邪気な姿を描きたいのなら、こんなものをわざわざ描かなくていいんですよ。普通にカエルだけを描けばいいのに、わざわざ絵コンテにも「抱接をしているカエル」という指示があるんです。
そして、それを見た瞬間に、タケノコは、それを捕まえようとして、いきなりハイハイをして、その後、立ち上がって歩いてしまいます。
(パネルを見せる)
タケノコは、カエルのオスを捕まえると翁に渡します。おじいさんは、わけがわからないから、ただ「ああ、いい子だいい子だ。急に大きくなったな」と言って笑うんですけども。
このカットの後、それを庭から見ていた村の子供達が「なんだ? あいつ急に大きくならなかったか? 急に大きくなったよな。変だよな。まるで「タケノコ」みたいなヤツだ。ターケノコ! ターケノコ!」と言って囃します。で、村の子供達に囃されたかぐや姫は、ここでまた大きくなるんですけど。
(パネルを見せる)
これを見たらわかる通り、ここでタケノコを囃す村の子供達は、全員「男の子」なんですよ。
この後にも、村の中のシーンは結構出てくるんですけども、基本的にタケノコと絡んで遊ぶ子供達というのは全員男子なんですね。
(中略)
タケノコが成長して、かぐや姫と呼ばれるようになってから、「あの頃に帰りたい。野山の中に帰りたい。みんなと一緒に」と言うんですけども。
ここでいう「みんな」とか「あの頃」というのは、「男の子ばっかりの世界」であるということが、こういった描写からわかるんです。
この作品の中では、「男性社会の中で、かぐや姫という1人の女の人権が、いかにして侵されていったのか」という女性問題的なテーゼがわかりやすく描かれているんですけども。それと同時に、高畑勲は「かぐや姫というのは、実は、小さい頃から男ばかりを相手にしてるような女なのだ」ということも、わかりにくくも、しっかり描いているんですよね。
まあ、それは本人の性というよりも、おそらく、かぐや姫が地球に持ってこられた時に植え付けられた属性とか能力みたいなものとも関係しているんじゃないかと僕は考えてるんですけど。これについては後でゆっくり話します。
とりあえず、「画面の中から慎重に女子が外されている」ということだけ覚えておいてください。
次の成長は、水浴びのシーンです。
(パネルを見せる)
子供たちで水浴びをしている時に、男の子たちが「こっちこいよ!」と言うんです。そう言う男の子たちは全員、素っ裸です。つまり、「女のタケノコが裸になるなんて、恥ずかしくてできないだろう」と男の子たちは思っているんですね。
しかし、呼ばれたタケノコは、もう本当にためらいもせずに素っ裸になって、水の中にドーンと飛び込むんです。素っ裸で飛び込んだタケノコを見た男の子たちは「えー!?」って見てるんですけども。
すると、水から出てきたタケノコは髪の毛も伸びて、美少女になってるんですね。
これもやっぱり「男に裸を見せると成長してしまう」ということなんですね。
カエルの抱接を見たら成長して、男とおじいちゃんに交互に呼ばれたら成長して、捨丸兄ちゃんに抱かれたら成長して、村の男の子たちに裸を見せるとまた成長するという。もう言い逃れができない状態になってるんですね。
かぐや姫というのは、このように極めてエロティックな……というか、性的な話です。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
アーカイブサイトへのアクセス方法
限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画など、岡田斗司夫のコンテンツを下記のアーカイブサイトからご覧いただけます。