岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/06/13
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/05/27配信「『海賊の経済学』プラス、大英帝国の繁栄の礎は海賊が築いたものだった!」の内容をご紹介します。
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2018/05/27の内容一覧
- 海賊も「神の見えざる手」に導かれていた!
- そもそも、海賊とは何か?
- 海賊の分類
- “黒髭”こと、エドワード・ティーチ
- なぜ、彼らは海賊になったのか?
- 当時の水夫たちの最低な労働環境
- 最高に公平な海賊船
- リーダーの権力を分散させる「クオーターマスター制度」
- 海賊の資料の紹介
- 後半のお品書き
- 海賊船の公平さの裏にある「プリンシパル・エージェント問題」
- 船長よりもはるかに偉い「海賊の掟」
- 髑髏マークに込められた意味
- 仲間になるか死ぬか、計算ずくの入団儀式
- 海賊たちの黄昏
- イギリスは海賊産業で成り上がった
当時の水夫たちの最低な労働環境
もともと、当時から船乗りには4種類いたんだ。
1つ目は「漁船の漁師」だよね。これが船乗りとしての一番スタンダードな形。
次に「商船の水夫」。いわゆる、普通の輸送船に乗っている水夫。
で、「海軍の船乗り」。水兵と言われる人だね。
そして、「海賊」。
この内、イギリス海軍の水兵というのは、さっきも言ったように、みんな急にクビにされて「うわー! リストラだー! 大変だー!」ってなったんだけど。
もともと、イギリス海軍の水兵になりたがる人は、メチャクチャ少なかったんだよ。なので、当時のイングランドでは「強制徴募」という手法で船に乗せていたんだ。
これ、すっごいヒドいよ。俺、もう、今日はイギリスの悪口いっぱい言うからね(笑)。
(パネルを見せる)
これが、当時の強制徴募の様子を描いたイラストなんだけど。
何をやっているのかというと。この偉そうにしてるやつ、制服みたいなのを着てるんだけど、実は政府の役人でもなんでもないんだよ。政府が雇った暴力団、ギャングなんだよ。
屈強なギャングが、街で元気そうな若者を適当に見つけると、縛り上げて船に乗せる。これで終わりなんだよ。縛り上げられて乗せられた若者には拒否権がない。全員、これで海軍の水兵になっちゃうんだ。
さらには、「この強制徴募は合法である」という法律まであった。
その結果、とりあえず、港町にいる元気そうなヤツで、なおかつ15歳から55歳の間だったら、ほとんど連れて行かれてしまって、終いには港町をうろつく若者がいなくなってしまった。
この法律は、散々「改正しろ!」と言われたんだけど、イギリスの裁判所は「イギリスにとって必要な海軍力を維持する方法はこれしかない」という理由で、絶対にこの法律を引っ込めなかったんだって。これに怒った港町から、何度も裁判を起こされたんだけども、裁判書の判断はいつも「強制徴募に関しては合法である」という判断だった。
まあ、そんなことを続ける内に、段々、港街から男がいなくなっちゃった。
そこで、強制徴募を下請けにしているギャングたちは、次に、飲み屋やホテルを買収した。
どうするのかというと、ガタイのいい兄ちゃんが飲み屋に来て、うっかり「船に乗ったことあるよ」と口走ったら、その酒場のオッサンが、100%「俺もだよ! いやあ、お前は友達だ!」と言って、酒をおごってくれるんだって(笑)。
この酒を飲んだが最後、クラクラときて、ばったり倒れて、気がつくとグルグル巻きに縛られる。で、同じようにグルグル巻きに縛られた連中と一緒に、酒場の2階から上にある安ホテルに放り込まれてる。
次の日の朝になると、さっきのギャング団が馬車に乗ってやってきて、そいつらを荷物みたいに運んで、そのまま海軍船にまで乗せて、その場で忠誠の宣誓をさせられる。
そこからは、10年とも20年とも、いつ終わるかわからない海軍の暮らしが始まる。その上、終わる時は、いきなり現地でリストラされる。……すごいよね、本当に。
ヨーロッパの歴史の中で、「市民革命が~」とか、「権利が~」とか、「選挙権が~」とかってあるじゃん。それは当たり前なんだよ。昔からこんなことやってたんだから。まったく人間扱いしてないんだよね(笑)。
縛られて泣き叫ぶ男たちをギャングたちが海軍船まで運んで、その場で海軍の軍人にしちゃう。
自分の夫とか息子とかを海軍に盗られたと怒り狂った市民たちは、「こうなったらしょうがない」ということで、こういった悪質な酒場を焼き討ちしたりすることもあったそうなんだ。港町の酒場だけじゃなく、街の酒場も「あそこで強制徴募をやってるぞ」と噂になったら、焼き討ちあったりしたんだけども。でも、これはなくならなかったんだ。
これが、当時の海軍の実態です。
じゃあ、普通の民間のビジネス商船というのはどうなっていたかのかというと、もっとヒドかった。
意外なことに、海賊船の船長よりも、普通の商船の船長の方がずっと残酷だったそうなんだ。
下っ端の水夫たちは理由もなく殴られるし、ご飯も最低でいつも栄養不足。
おまけに、商船の船長というのは、当時の法律でものすごい権利を認められていたんだ。もちろん、雇った水夫には給料を払わなければいかない。ただし、その給料の「天引き」がいくらでも認められたんだ。
だから、「荷物の扱いが気に食わない」とか、「朝の挨拶がちゃんと出来てない」とか、「キビキビ動かない」というだけの理由で、バンバン給料から天引きしちゃうんだ。
なので、手元にお金がほとんど貰えない。さっき言った15から35ポンドの給料というのも、満額を貰える人なんか、ほとんどいない状態だったんだよ。
さらに、船長たちは「やっぱり、船員に給料を渡すと、やつらはその金持って田舎に帰っちまうからな」って、酒を飲んで笑いながら話してたっていうから、もう本当にヒドい話だよね。
普通の商船の水夫というのが、こういう労働環境だった。
だから、船で働いたことがある男にとって、海賊というのは、わりと当たり前の選択肢の1つだったということですね。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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