岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/08/20

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2018/08/12配信「『ハウルの動く城』は、宮崎駿にとって“初の恋愛映画”であり、ジブリにとって“初の敗戦作品”だった!」の内容をご紹介します。
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2018/08/12の内容一覧

幻となった「細田守版ハウル」

 もともと、『ハウルの動く城』というのは、細田守初監督作品として作られるはずだったんですよね。
 その「細田版ハウル」のコンテというのが、いくつか残っています。
(パネルを見せる)
 ここには「Aパート」と書いてあるんですけど、実は、この細田版のハウルの絵コンテは、全体の3分の2くらいまで完成してたそうです。
 ところが、そこまで進んでいた段階で……ここが、よくわからないところなんですけど。細田さん本人が言うには「降ろされた」と言うし、宮崎駿が言うには「スタッフが勝手に解散しやがった」言う。鈴木さんに至っては、言葉を濁すという、よく事情がわからない中で、細田版ハウルの製作は終わってしまいます。

 僕はやっぱり、この細田版のハウルというのがどんなものだったのか興味があったので、残っているコンテとかを引き伸ばしてみたんですけど。
(パネルを見せる)
 細田版では、舞台が現代だったんですよね。現代の車がソフィーの店の前に停まっています。
 そして、ソフィーが「メガネっ娘」なんですね。「仕事をしてる最中はメガネをかけていて、あれこれ自分の生き方に悩んでいる」みたいな描写があるんですよ。
 「これはこれで悪くない」というか、「案外、舞台を現代にした方が面白かったかもしれないな」って思うんですよね。

 僕、今回の放送の予告として、メルマガとかに「『ハウルの動く城』はジブリ初の「敗戦処理」」って書いたんですけど。これ、どういうことかと言ったら、この作品って、ヨーロッパで受けが悪かったんですよ。
 当時、フランスでは『千と千尋の神隠し』を中心とした大規模な美術展をやっていたんです。その美術展にはお客さんもいっぱい入りました。この時に『ハウルの動く城』の宣伝を行って、その後に公開したんですけど。
 ところが、『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』での大評判に比べて、『ハウルの動く城』っていうのは、フランスを始めとするヨーロッパでは、やや受けが悪かった。あくまでも「やや」なんですけどね。
 その理由は何かというと「なぜ日本の話をやってくれないんだ? ハヤオ・ミヤザキの作品は現代の日本というのが見れてすごく良いのに、なぜ、こんなヨーロッパのモノマネ世界を舞台にするんだ?」と思われたからなんですよ。こんなふうに言われた宮崎さんは、やっぱり悔しかったみたいなんですけど。
 その一方で、細田版のコンテを見てみると、ちゃんと現代の世界観になっているんですよね。なので、そこら辺も含めて「細田さんが監督をやっていたら、評価も影響も今とは違ったのかな?」と思います。

 宮崎さん自身も、ヨーロッパを舞台にすることには、すごく迷いがあったそうです。
 例えば、一番最初に主人公のソフィーという女の子が街に出かけるシーンがあるんですけど、彼女が街を歩く時、どう動かすべきかということに悩んだそうなんですよ。
 実は、19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパの女の人というのは、表を歩く時に、絶対に肩も腕も動かさず、下半身だけ動かしてスススっと歩くんですよね。でも、そうやって動かすと、主人公のソフィーが、なんだか必要以上にツンと構えた印象になってしまう。
 その結果、宮崎さんも悩んだ末に、ソフィーが歩く時にも現代日本人の女の人みたいに普通に両手を動かして歩くようにしたんですけど。そしたら、やっぱり、そこら辺について「宮崎駿は19世紀ヨーロッパをわかってない」とか、いろいろ言われることになって、宮崎さんも悔しかったそうです。

 この細田版のハウル、せめてコンテ集だけでも表に出してほしいんですよね。
 だけど、ジブリとしては、徹底的に封印するつもりらしくて、出てこないんですよ。

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