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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『ナニワ金融道』で描かれた、目に見えない「信用」とは?」

2018-09-26 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/09/26

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2018/09/09配信「中国で進む「評価経済社会」の波。その現状と、来るべき未来を大解説」の内容をご紹介します。
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    2018/09/09の内容一覧

    『ナニワ金融道』で描かれた、目に見えない「信用」

     では、日本ではどうだったのか?
     『ナニワ金融道』というエゲツないマンガがあるんですけど。
     このマンガの第1話では、務めている印刷所が潰れて「これはダメだ」と思った主人公の灰原くんが、大手のサラ金会社に入社しようとするところから始まります。
     この灰原くんは、入社試験では抜群の成績な上に、履歴書も非の打ち所がない。なので「絶対に雇って貰えるはずだ」と思ってたんですけど。
     しかし、こういう機械に掛けられて、信用調査をされることになったんですね。
    (パネルを見せる)
     「ハイバラ タツユキ」という本名を、電卓みたいなものを叩いて機械に入力して、しばらく待つと、ツーツーという音と共にFAXが返ってきて、「サラ金で、去年と今年、10万ずつ借りて、ちゃんと返済している」という情報がわかるんです。

     それを見たサラ金の社長は、「え、彼が「つまんで」いたって? しょうがねえ野郎だ」と、急に態度を変えるんです。
     ちなみに、この「つまむ」という言葉は、このマンガの中では「金を借りる」という意味を表した用語なんですけど。
     そして、社長はこう言います「我々は現金を扱う商売なんだぞ? 一旦、金を借りたようなやつは、また手を出すものなんだ。そういうやつを入れると事故の元だ、断りたまえ」と。
     すごいですよね。サラ金の会社って「お金を借りることが恥ずかしくないことです」みたいなことをテレビで宣伝してるんですけど、本音としては「サラ金で金を借りるようなやつを会社に入れるわけにはいかない! つまみ出せ!」って言ってるわけですね(笑)。

     その上、灰原くんとしては、なぜ、自分が雇って貰えないのか教えてもらえないわけですよ。
     「試験は出来たと自負してるんですが。どこがダメだったんでしょう? なぜ雇ってもらえないんですか?」と聞くんですけど、「それは言われへんのや」と教えてもらえない。
     「僕は、プライベートなことも何もかもそちらに教えたんだから、それはヒドイじゃないですか」と言っても、「金を貸す貸さんもこちらの勝手や。あんたを雇う雇わんのもこっちの勝手なんや!」とドーンと言われてしまいます。
     ここで灰原くんは、人生や社会というのを教わるんですけど。これが、『ナニワ金融道』の第1話の流れですね。
     結局、まともな消費者金融会社には雇ってもらえなかった灰原くんは、この後「帝国金融」という、「金を返されへん女はソープへ沈めてまえ!」なんて怒鳴り声が飛び交うような、ナニワの恐ろしい街金会社に就職することになるんですけども。

     この、自分が雇ってもらえない理由を「それは教えられへん」と言われるということは、何を意味しているかというと。
     名前を入力するだけで、カシャカシャと「その人がいくらのお金を借りているのか?」というデータが出てくる機械の存在すらも教えてもらえない、ということなんですよね。
     僕も、『ナニワ金融道』を読むまでは、こんな機械の存在を知りませんでした。言われてみれば、ありそうなものなんですけど、知らなかったんですよね。
     こういうふうに、実は、日本の社会では、こういった自分のスコア、信用度が見えないんですよ。
     そして、中国の芝麻信用というのは「こういうのをすべて見える化しちゃおう!」という話なんですよ。

     この記事にも、「綺麗事や建前でなく、社会の本音として」と書かれているんですけど。
     この社会の本音というのが明示化されていくというのが、僕がいうところの「評価経済」であり、今回取り上げる芝麻信用なんです。

     『ナニワ金融道』からは、もう1つ、お見せしたいシーンがあるんですよ。
     第3話で、「300万貸してくれ」という客を、灰原が見つけてくるんです。
     すると、灰原の上司はまだ審査もしてないのに、「貸します貸します」と言うんですよ。「客の長女の正子さんは29歳で、区役所にお勤め」という情報を聞いただけで、声色が変わったんです。
     その客の報告を聞いた時、上司は「ずいぶん「汚れとる」の」と言っていたにもかかわらず、です。
     「汚れとる」というのは、例えば、家が抵当に入っていて、その上、抵当権が1番ついて、2番ついて、3番ついて、賃借権まで出てる。おまけに、いろんなサラ金からお金をつまんでいて「100万が1箇所、250万が1箇所、300万が1箇所」となっている。こういう部分を指して「ずいぶん汚れてるな」と言ってるんです。
     ところが、「正子を連帯保証人に付けたら、500万貸してくれますか?」と言うと、「おお、かまへんがな」ということで、あっさりお金を貸すことを決めるんです。
     そして、こういうことも、実はお金を借りる側には一切知らされてないんですよね。

     「なぜ、灰原が普通のサラ金会社に就職できなかったのか? それは、過去にサラ金でお金を借りたことがあるからだ」
     「なぜ、この人は汚れているのにお金を貸してもらえるのか? それは長女が区役所に勤めているからだ」
     こういうことがすべて見えないのが、現代に続く日本の社会なんですね。

    (続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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