岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/12/20
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この記事は、PHP新書から発売された岡田斗司夫の新刊『ユーチューバーが消滅する未来』から、一部抜粋してお届けします。
「ニュースが真実かどうか判断する」ことが重要なのではない
2016年、アメリカの大統領選でドナルド・トランプとヒラリー・クリントンが争っている時、『RealTrueNews』は「実は秘密裏に行われた世論調査によると、トランプ大統領の方が支持が多かった」という主旨のウソ記事を載せました。そうしたら、その記事があっという間にツイッターで何十万ツイートされ、「実はトランプの方が支持者が多い。でもそれはあまりにもショッキングな結果だから、ABCもCBSも載せてない」という尾ひれまでついて拡散していきました。
真面目なニュースサイトが反論すると、ウソ記事を信じた人は「じゃあ、証明しろ!」と言ってくる。でも、「そんな秘密調査なんてなかった」ということを証明するのは、ものすごく難しいわけです。
その時のアメリカの大統領選では、遠く離れた東ヨーロッパはマケドニアの、英語もそれほど流暢ではない若者がフェイクニュースを量産して大金を稼ぐ、なんて状況も起こっていました。フェイクニュースサイトを運営している若者は、どちらの陣営がいいとか悪いとか、そんなことは気にしていません。とにかくあらゆる方法でウケるニュースを量産し、ひ たすらアクセスを集めただけなんです。
この頃から、「フェイスブックやグーグルは、フェイクニュースを排除しろ!」という声がユーザーから上がるようになってきました。
(中略)
ただ、僕は「こうした努力は無理筋だ」と思っているんです。
グーグルなんかの人たちは「みなさん自身が情報を集めて判断してください」と言うけど、そんなことができるのは一部の人であり、情報消費者ではないでしょう。消費者側の能力を高めて、フェイクニュースによる被害を防ごうというのは原理的に無理じゃないでしょうか。
それどころか、「ウソよりも真実を信じろ!」と相手に強制するのは、近未来社会では「マナー違反」になってしまうかもしれません。「宗教より科学を信じろ!」と言うのと同じで、傲慢とまでは言わないけど、みんなに要求するのは無理がある。
極論すれば、もうすでに「ニュースが真実かどうか判断する」ことはたいていの人にとって重要ではなくなっている。
この記事は、PHP新書から発売された岡田斗司夫の新刊『ユーチューバーが消滅する未来』からお届けしました。
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